時計の読みが苦手なときは
[2016年03月15日(Tue)]
〇時計の読みが苦手なときは
一年生で学習する時計の読み(何時何分)は、教えるのが難しい単元のひとつです。何時何分なのかわからないまま終わってしまう子どもが、必ず何人か出てきてしまいます。
それにも関わらず、学校の先生の間でもあまり話題にならないのは、何年かすると生活の中で学習して読めるようになる子どもがそれなりにいるからです。ただ、大人になっても読めないままの方もおられます。本人も恥ずかしさから、それとわからないように振る舞いますし、今はデジタルの数字だけの時計も普及しているので困ることは少ないかもしれません。
ただ、授業でわからないままの子どもを、それは時が解決してくれると放置しておくのはどうかと思います。二年生になると、時計が読めることを前提に60分で一時間になることや、ある時刻から「20分後」や「20分前」が何時何分なるのかといった内容を学習します。ここで失敗体験をさらに積み重ねる結果になり、時が来る前に子どものモチベーションを下げてしまう結果になることがあるからです。
ところで、時計の読みが難しい主な理由として下記の三つが挙げられます。
@ 短針の示す位置が数字と数字の途中にあると、どちらの数字なのか混乱してしまう。
A 短針を読んだ後、長針の数字を読んでいるうちに、短針の数字を忘れてしまう。
B 特に長針を読むときに、目盛りを目で追っていくことが難しい。
最近の教科書は、時計の読みの難しさを意識して、単元をふたつにわけているものが増えてきました。最初の単元では「7時」や「7時半(7時30分)」のように何時と何時半だけを読めるようにして、繰り上がりの足し算や引き算などの単元が終わってから「7時23分」のように何時何分を学習するよう工夫されています。
その結果として@のような数字の途中にある短針の読みについては、理解できないままの子どもの数はかなり少なくなってきています。
ただ、AとBのつまずきにまで配慮している教科書はまだ少なく、単元をふたつにわけても解決はできていません。
そこで今回は、AとBのつまずきに配慮した学習方法についてお話ししたいと思います。
最初に用意していただきたいのは、下のような時計の図です。
見てわかるように、ふたつの特徴があります。ひとつは短針の時刻を表す数字の範囲がわかるようにしてあること。もうひとつは、分の目盛りにも数字が書かれていることです。
最初はこのように視覚的にわかりやすくすることで、子どもは教えられたことを自分でもできそうだと見通しをもつことができます。
このような方法だと、癖がついて数字のない時計だと読めるようにならないのではないかという意見があります。数字のない時計が読めない理由は、そもそも何時何分が読めないことが原因なのであって、「癖がついた」わけではありません。上のような時計を使ってできるようになると、文字盤のない時計でもちゃんと読めるようになりますので安心してください。
では時計を読む学習方法について順を追って説明します。
まずは短針だけの練習です。ここで大切なのは、長針について一切触れないず、短針のみ練習することです。
下のような図を使って、最初は数字にピッタリ合った時刻を練習し、読めるようになったら数字と数字の途中にある時刻を練習します。最初にお話ししたように、短針が途中にあるとわからなくなることがありますから、丁寧に説明しながら繰り返し練習してください。
そして読めるようになったら、下のように短針が示す範囲が書かれていない時計を使って練習します。
スムーズに読めるようになったら、次は長針の読みに移ります。
長針の読みで配慮していただきたい点はふたつ。短針には触れず長針のみ練習することと最初は30分以内の読みから始めるということ。
短針は読めるようになったのだから、そこに積み重ねていけばよいのではと考えがちですが、それでは難しい子どももいます。
短針の数字を頭の中に置いたまま、長針の数字を目で追っていくと、いつのまにか短針の数字を忘れてしまうことがあるからです。
また、初めて習う子どもにとって、目盛りの位置で大まかな予測をすることはできません。
長針や目盛りの位置を見て、瞬時に10分、20分、30分、40分、50分と目安をつけることができないので、目盛りを順に追って数えます。そのため目で追っていくうちに目盛りの位置がずれてしまうことや、いまいくつなのかわからなくなることがあります。
最初は、7分や14分、そして19分や23分といったように、少しずつ目で追う距離を長くしていくようにしましょう。
30分までスムーズに読めるようになったら、次は30分を超えた数字を読む練習に。
それがスムーズにできたら、数字のない目盛りだけの時計を使って練習します。
ここまでで、短針と長針それぞれを読むことができるようになりました。
いよいよ普通の時計と同じように、短針と長針を合わせて読む練習に入ります。
少しでも不安があるようでしたら、下のように時計は別々にしながら合わせて読む練習から始めてください。
上のような図をみて「7時12分」と読むことがスムーズにできるようになってから、ひとつの時計で練習するというのもスモールステップのひとつです。
ところで、針先が目盛りに対して微妙にズレていると、どうしても納得がいかないという子どもがときどきいます。このような場合は、印刷などの都合でずれてしまうことがあるので「一番近いところを読む」ように教えてください。
ズレているからといってピッタリ合うように直してあげることは、できれば避けてください。
直してあげることで、先々ズレを意識しないと気が済まなくなることがあるからです。学校の授業でも、日常の中でも、針先がずれているか気になってばかりいたらかわいそうですからね。
一年生で学習する時計の読み(何時何分)は、教えるのが難しい単元のひとつです。何時何分なのかわからないまま終わってしまう子どもが、必ず何人か出てきてしまいます。
それにも関わらず、学校の先生の間でもあまり話題にならないのは、何年かすると生活の中で学習して読めるようになる子どもがそれなりにいるからです。ただ、大人になっても読めないままの方もおられます。本人も恥ずかしさから、それとわからないように振る舞いますし、今はデジタルの数字だけの時計も普及しているので困ることは少ないかもしれません。
ただ、授業でわからないままの子どもを、それは時が解決してくれると放置しておくのはどうかと思います。二年生になると、時計が読めることを前提に60分で一時間になることや、ある時刻から「20分後」や「20分前」が何時何分なるのかといった内容を学習します。ここで失敗体験をさらに積み重ねる結果になり、時が来る前に子どものモチベーションを下げてしまう結果になることがあるからです。
ところで、時計の読みが難しい主な理由として下記の三つが挙げられます。
@ 短針の示す位置が数字と数字の途中にあると、どちらの数字なのか混乱してしまう。
A 短針を読んだ後、長針の数字を読んでいるうちに、短針の数字を忘れてしまう。
B 特に長針を読むときに、目盛りを目で追っていくことが難しい。
最近の教科書は、時計の読みの難しさを意識して、単元をふたつにわけているものが増えてきました。最初の単元では「7時」や「7時半(7時30分)」のように何時と何時半だけを読めるようにして、繰り上がりの足し算や引き算などの単元が終わってから「7時23分」のように何時何分を学習するよう工夫されています。
その結果として@のような数字の途中にある短針の読みについては、理解できないままの子どもの数はかなり少なくなってきています。
ただ、AとBのつまずきにまで配慮している教科書はまだ少なく、単元をふたつにわけても解決はできていません。
そこで今回は、AとBのつまずきに配慮した学習方法についてお話ししたいと思います。
最初に用意していただきたいのは、下のような時計の図です。
見てわかるように、ふたつの特徴があります。ひとつは短針の時刻を表す数字の範囲がわかるようにしてあること。もうひとつは、分の目盛りにも数字が書かれていることです。
最初はこのように視覚的にわかりやすくすることで、子どもは教えられたことを自分でもできそうだと見通しをもつことができます。
このような方法だと、癖がついて数字のない時計だと読めるようにならないのではないかという意見があります。数字のない時計が読めない理由は、そもそも何時何分が読めないことが原因なのであって、「癖がついた」わけではありません。上のような時計を使ってできるようになると、文字盤のない時計でもちゃんと読めるようになりますので安心してください。
では時計を読む学習方法について順を追って説明します。
まずは短針だけの練習です。ここで大切なのは、長針について一切触れないず、短針のみ練習することです。
下のような図を使って、最初は数字にピッタリ合った時刻を練習し、読めるようになったら数字と数字の途中にある時刻を練習します。最初にお話ししたように、短針が途中にあるとわからなくなることがありますから、丁寧に説明しながら繰り返し練習してください。
そして読めるようになったら、下のように短針が示す範囲が書かれていない時計を使って練習します。
スムーズに読めるようになったら、次は長針の読みに移ります。
長針の読みで配慮していただきたい点はふたつ。短針には触れず長針のみ練習することと最初は30分以内の読みから始めるということ。
短針は読めるようになったのだから、そこに積み重ねていけばよいのではと考えがちですが、それでは難しい子どももいます。
短針の数字を頭の中に置いたまま、長針の数字を目で追っていくと、いつのまにか短針の数字を忘れてしまうことがあるからです。
また、初めて習う子どもにとって、目盛りの位置で大まかな予測をすることはできません。
長針や目盛りの位置を見て、瞬時に10分、20分、30分、40分、50分と目安をつけることができないので、目盛りを順に追って数えます。そのため目で追っていくうちに目盛りの位置がずれてしまうことや、いまいくつなのかわからなくなることがあります。
最初は、7分や14分、そして19分や23分といったように、少しずつ目で追う距離を長くしていくようにしましょう。
30分までスムーズに読めるようになったら、次は30分を超えた数字を読む練習に。
それがスムーズにできたら、数字のない目盛りだけの時計を使って練習します。
ここまでで、短針と長針それぞれを読むことができるようになりました。
いよいよ普通の時計と同じように、短針と長針を合わせて読む練習に入ります。
少しでも不安があるようでしたら、下のように時計は別々にしながら合わせて読む練習から始めてください。
上のような図をみて「7時12分」と読むことがスムーズにできるようになってから、ひとつの時計で練習するというのもスモールステップのひとつです。
ところで、針先が目盛りに対して微妙にズレていると、どうしても納得がいかないという子どもがときどきいます。このような場合は、印刷などの都合でずれてしまうことがあるので「一番近いところを読む」ように教えてください。
ズレているからといってピッタリ合うように直してあげることは、できれば避けてください。
直してあげることで、先々ズレを意識しないと気が済まなくなることがあるからです。学校の授業でも、日常の中でも、針先がずれているか気になってばかりいたらかわいそうですからね。