就学前に数の学習は必要かA
[2015年11月30日(Mon)]
〇就学前に数の学習は必要かA

前回、数の特徴として「形と音と数概念」についてお話をしました。数字を書く練習だけ、声を出して唱える練習だけを続けるのはあまり良い方法とは言えないこと。数字を見て音が分かり、いくつを表しているかがリンクして理解できる学習を、学校に入る前の段階で意識していただければという内容でした。
今回は、数字の形や音からリンクしてわかる能力をもう少し掘り下げてみたいと思います。
年長児になれば、三つのアメと五つのアメを見て比べて、少ない方(多い方)がどちらなのかわかります。ところが具体的なモノを使わずに「3(サン)」と「5(ゴ)」ではどちらが小さい(大きい)のかと聞かれると、答えられない子どもが出てきます。園児に使う言葉としては、「小さい(大きい)」よりも「ちょっと(いっぱい)」のほうがいいかもしれませんね。
要は見て比べることができる具体物があればわかるのに、数字やその音だけではいくつを表すのか瞬時に出てこないので答えられないというわけです。
このように、書くことや読むことはできるのに数字だけでは大小の比較が難しい子どもがいます。
そんなときは、次のような練習を日頃から意識してみてください。
食事の際に(例えば)ウインナーを与えるときは、「お兄ちゃんだからいっぱいね。イチ、ニ、サン、シ(ヨン)、ゴ!」「妹はちょっとね。イチ、ニ、サン!」。
また洗濯物を取り込んだときに、「お父さんのシャツは、イチ、ニ、サン、シ(ヨン)だからいっぱいだね」「お兄ちゃんのは、イチ、ニ、サンだからちょっとだね」などです。
ここでくれぐれも単位にはこだわらないでください。ウインナーだから一本、二本と言わせようとしたり、シャツだから一枚、二枚と言わせたいなどと、他のことも同時に学ばせたいと欲張ると結局どれも身につかないことになりかねません。
また、数の勉強をするときに「いっぱい・おおい・ちいさい」と「ちょっと・すくない・ちいさい」といった言葉をつけ加えるのもひとつです。
就学前の知育教材などを使って、数字と具体物の両方書かれている数の大小比較から始めて、最終的に数字だけで比較する練習へ段階を踏んで練習するのも良いでしょう。
小学校になると引き算の勉強があります。最初は教科書にも具体物が描かれていますし、それを使って大小関係を確認しながら学ぶようになっています。教科書の構成にしたがって学んでいくうちに、数字を見て大小関係が瞬時に判断できるようになる子どももいます。
また「5−3」のように計算式から答えを求める場面では、最初から引かれる数が決まっているので、「5」と「3」はどちらが大きいのか(小さいのか)をわざわざ意識しなくても計算できてしまいます。それゆえに、子どもの課題に気がつかないまま進んでしまうこともあります。
ところが、二学期になると次のような場面に出くわします。
「おとうとは、アメを 5こ もっていました。おかあさんから 2こもらいました。
いもうとに 3こ あげました。のこりは、なんこでしょうか」
読んで文章の内容を頭に浮かべることができれば、順番に「5+2−3」で良いわけです。またなかなか文意がつかめなくても、「もらった」「あげた」「のこりは」といったキーワードから理解につなげていくことも可能です。
ところが数字から大小関係を瞬時に判断できない子どもは、上記の文章を読んでから式を考える過程で、例えば「・・・2こ もらいました。いもうとに 3こ あげました・・・」のところだけを見て「2−3」を先に計算しようとすることがあります。
そこで間違いに気がついた先生やお母さんは、「2は3より小さいから、引き算できないよ」と助言してしまいます。
でも、そもそも子どもは「2は3より小さい」ことが判断できないから間違えたわけですから、効果がありませんね。子どもは頭が真っ白になって固まってしまいます。
さらにその後の単元では、
「みかんが 5こと りんごが 3こ では、どちらが なんこ おおいでしょうか」
といったことも学習します。
教科書では、ほぼ全ての文章に具体物が描かれていますし、必要に応じてブロックなどを使って考える構成にもなっています。ただし、もうこの単元の段階では、具体物やブロックを使う意味が、引き算は、「残りはいくつ?」という場面と「差はいくつ?」という場面があることを学ぶという目的に変わってきます。
数字から大小関係を瞬時に判断できていないままだと、授業そのものがわからず見通しがもてなかったり、いままでできていた引き算そのものができなくなったりすることもあります。
このように就学を控えた年長児が数字を学ぶ際、数字の形や音の構成に目を向けることに加えて、大小関係が判断できるようにすることも意識してみることも大切かと思います。
前回、数の特徴として「形と音と数概念」についてお話をしました。数字を書く練習だけ、声を出して唱える練習だけを続けるのはあまり良い方法とは言えないこと。数字を見て音が分かり、いくつを表しているかがリンクして理解できる学習を、学校に入る前の段階で意識していただければという内容でした。
今回は、数字の形や音からリンクしてわかる能力をもう少し掘り下げてみたいと思います。
年長児になれば、三つのアメと五つのアメを見て比べて、少ない方(多い方)がどちらなのかわかります。ところが具体的なモノを使わずに「3(サン)」と「5(ゴ)」ではどちらが小さい(大きい)のかと聞かれると、答えられない子どもが出てきます。園児に使う言葉としては、「小さい(大きい)」よりも「ちょっと(いっぱい)」のほうがいいかもしれませんね。
要は見て比べることができる具体物があればわかるのに、数字やその音だけではいくつを表すのか瞬時に出てこないので答えられないというわけです。
このように、書くことや読むことはできるのに数字だけでは大小の比較が難しい子どもがいます。
そんなときは、次のような練習を日頃から意識してみてください。
食事の際に(例えば)ウインナーを与えるときは、「お兄ちゃんだからいっぱいね。イチ、ニ、サン、シ(ヨン)、ゴ!」「妹はちょっとね。イチ、ニ、サン!」。
また洗濯物を取り込んだときに、「お父さんのシャツは、イチ、ニ、サン、シ(ヨン)だからいっぱいだね」「お兄ちゃんのは、イチ、ニ、サンだからちょっとだね」などです。
ここでくれぐれも単位にはこだわらないでください。ウインナーだから一本、二本と言わせようとしたり、シャツだから一枚、二枚と言わせたいなどと、他のことも同時に学ばせたいと欲張ると結局どれも身につかないことになりかねません。
また、数の勉強をするときに「いっぱい・おおい・ちいさい」と「ちょっと・すくない・ちいさい」といった言葉をつけ加えるのもひとつです。
就学前の知育教材などを使って、数字と具体物の両方書かれている数の大小比較から始めて、最終的に数字だけで比較する練習へ段階を踏んで練習するのも良いでしょう。
小学校になると引き算の勉強があります。最初は教科書にも具体物が描かれていますし、それを使って大小関係を確認しながら学ぶようになっています。教科書の構成にしたがって学んでいくうちに、数字を見て大小関係が瞬時に判断できるようになる子どももいます。
また「5−3」のように計算式から答えを求める場面では、最初から引かれる数が決まっているので、「5」と「3」はどちらが大きいのか(小さいのか)をわざわざ意識しなくても計算できてしまいます。それゆえに、子どもの課題に気がつかないまま進んでしまうこともあります。
ところが、二学期になると次のような場面に出くわします。
「おとうとは、アメを 5こ もっていました。おかあさんから 2こもらいました。
いもうとに 3こ あげました。のこりは、なんこでしょうか」
読んで文章の内容を頭に浮かべることができれば、順番に「5+2−3」で良いわけです。またなかなか文意がつかめなくても、「もらった」「あげた」「のこりは」といったキーワードから理解につなげていくことも可能です。
ところが数字から大小関係を瞬時に判断できない子どもは、上記の文章を読んでから式を考える過程で、例えば「・・・2こ もらいました。いもうとに 3こ あげました・・・」のところだけを見て「2−3」を先に計算しようとすることがあります。
そこで間違いに気がついた先生やお母さんは、「2は3より小さいから、引き算できないよ」と助言してしまいます。
でも、そもそも子どもは「2は3より小さい」ことが判断できないから間違えたわけですから、効果がありませんね。子どもは頭が真っ白になって固まってしまいます。
さらにその後の単元では、
「みかんが 5こと りんごが 3こ では、どちらが なんこ おおいでしょうか」
といったことも学習します。
教科書では、ほぼ全ての文章に具体物が描かれていますし、必要に応じてブロックなどを使って考える構成にもなっています。ただし、もうこの単元の段階では、具体物やブロックを使う意味が、引き算は、「残りはいくつ?」という場面と「差はいくつ?」という場面があることを学ぶという目的に変わってきます。
数字から大小関係を瞬時に判断できていないままだと、授業そのものがわからず見通しがもてなかったり、いままでできていた引き算そのものができなくなったりすることもあります。
このように就学を控えた年長児が数字を学ぶ際、数字の形や音の構成に目を向けることに加えて、大小関係が判断できるようにすることも意識してみることも大切かと思います。
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