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手塚建築研究所代表 手塚貴晴さま [2008年12月22日(Mon)]

手塚建築研究所 
建築家 手塚貴晴さま


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幅60センチの隙間に眠り、一切のプライバシーが存在しない。
しかもその生活が半年間も続く。
あたかも第二次世界大戦中の強制収用キャンプの様な生活が
21世紀の日本で今でも続いている。

小児癌病棟である。子供は一人で入院する訳ではない。
子供は母親の一部であり、母親は子供の延長である。
子供が入院すれば親が付き添うというのは小児病棟ではあたりまえの光景である。
ところが病院設計の基準の中にこの親のスペースは存在しない。
やむなく母親は仮設ベッドに寝起きすることになる。
仮設ベットの幅は精々60センチ程度である。寝心地が良いはずが無い。
プライバシーも全く存在しない。

病棟にはキッチンが無い。当然のことながら親の食事は出ない。
結果的にコンビニの非常食を食べることになる。
親は体を壊してしまう。
残念ながら一部の例外を除き病院食は大変に不味い。
子供はなかなか食べない。
その中でどうしても食べたいとき、自宅であればささやかでも何か
こしらえたくなるのが親というものであろう。
ところが病院で料理することは許されない。

子供は親の顔を敏感に読み取る。
子は親の鏡というが、小さい子の場合は現在進行形の鏡となる。

病院建築がこのあたりまえの要求を満たしにくいのには、
いくつかの理由がある。
一つは設計打ち合わせに主役が存在しないこと。
これから癌になって入院する予定であるから、
打ち合わせに参加させてもらいたいという人などいない。
いざそのときになると本人や家族は、それどころではないのである。

第二に病院設計は必要な部屋面積が既に決まっている。
その設計基準に従わなければ補助金でないし認可も下りない。
これ以外の病院を作ることは非常に難しい。

現在これに公然と立ち向かう動きが小児癌の子供を抱える親の間で始まっている。

先日小児癌の親御さんと高台から住宅地を見下ろす機会があった。
住宅地繰り広げられているのはあたりまえの生活である。
その夕餉の匂いや子供の歓声が一番胸にしみると言う。
小児癌の子供に何が欲しいと聞いてみると、家に帰りたいというという。
親が望むのは贅沢なことではない。
あたりまえの一般家庭に存在する最低限の生活である。

手塚貴晴


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【プロフィール】
1966年東京都生まれ。
武蔵工業大学卒業。
ペンシルバニア大学大学院修了。
1994年、手塚由比と手塚建築研究所を共同設立。
外部環境と一体化した空間設計を得意とする。
住宅から公共建築まで広く手がける。

代表作は、屋根の上で生活が展開する「屋根の家」や深さ5メートルの雪の下に埋もれる自然科学館「森の学校キョロロ」。

アートディレクターの佐藤可士和と共同で手がける「ふじようちえん」では、一周200メートルの楕円型の屋根上空間を形成。

「手塚貴晴+手塚由比建築カタログ」に全38作品が収録されている。

グッドデザイン金賞、日本建築学会賞他多数受賞。

ホームページ>>
http://www.tezuka-arch.com/


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手塚さま 心のこもった応援メッセージをありがとうございました。

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コメント
手塚貴晴様
手塚様には、小児がんの家族として正直な気持ちを話しています。手塚様はそれらをいつも真摯に受け止めて下さり、病院の設計プランに組み込んで下さるとともに、さらに外へむけて伝わりやすく表現してくださいます。私たちの活動が当事者だけではなく、より多くの方々に応援して頂くためには、手塚様のような方のお力が必要です。今後ともどうぞよろしくお願い致します。この度は本当にありがとうございました。
チャイルド・ケモ・ハウス
田村亜紀子
Posted by: 亜紀子  at 2008年12月23日(Tue) 12:36