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不思議な場所に咲く桜とスイセン [2025年02月09日(Sun)]
 雪解け後、笹が起き上がる前に、丸山の朱太川沿いに

トラック一台が通れる幅員の道が顔を出す。
 
 これは、寿都線の廃線跡。

 黒松内から寿都までの全線の、多くは、農地改良され

て、痕跡は限られている。

 丸山の対岸は、黒松内市街地まで、築堤されているが、この

築堤と道々に挟まれた三角形の狭い原っぱ(白炭川の合流点より

30m上流)に、毎年、桜とスイセンが咲く。

 28才で役場に転職した私の配属先は、地籍調査室。

技師として、公図であった査定図や登記図等を参考に調査図、調

査簿を作り、所有者の立会の下、土地の地目、境界の確認作業が

主な任務だった。

 職権で、明治時代からの登記図、登記簿、課税台帳、字地番改正

帳、国や道の敷地管理図面等を借用し、調査分析できるので、歴史

や地理が好きだった自分にとって、楽しく、有意義な時間を過ごす

ことができた。

 北海道所有の河川用地の中に、民有地が、飛び地で残っていて、不

思議に思っていた 普通なら、買収され、北海道になっているはずなのに。・・・・

 地籍調査では、所有者を調査し、立会していただいて 現地確認、

聞き取り調査もするが、転居していたり、代替わりで、隣接者に委

任する場合も多い。

 調査当日が来た。

 多分、不立会になるだろうなが調査員の私の予測だった。

 登記図上は、河川敷地内の民地だし、飛び地だし、今更、どうしよ

うもない資産価値の無い土地だものと・・・

 北海道所有の公有地の立会は、河川、道路等、長狭物として、管轄土

木現業所の管理課担当が一括担っていて、立会行為は、調査員に全権委任

されている。

 二級河川、道道などには、石杭が設置されていて、三角点から測量され、

座標が確定し、管理図もしっかりしているから、民有地の調査が、終わり、

地籍図が確定した段階で、微調整を経て、優先的にはめ込まれる仕組みに

なっている。

 だから、当日は、だれも、来ないはずだった。

指定した時間、場所は、現地に一番近い酪農家の玄関先だった。

 私は、いつものように、調査図を携え出向いた。

課税調査のための、航空写真と地番地形図を重ねた図面から、現地の目星

はついていたので、一時間もかからない、こなし外勤のはずだった。

 だれも、居ないはずの玄関先に、腰を少し曲げた小柄で、品の良い、白髪

のおばあさんが、息子さんと思しき人と、一緒に、待っていた。

 あの、役場ですけど、○○さんの関係者ですか?と・・・尋ねると、私は娘です

と、微笑んだ。

えっ。と私・・・

 今は、函館で暮らしています。毎年、桜が咲く頃を見計らって、訪れるんです

よ。

 子供の頃、朱太川は、氾濫することが無く、数頭の牛と、馬一頭いれば、自給的

暮らしができたんです。

 川も深くて、流れが穏やかで、魚もたくさん簡単に捕れました。

黒松内岳の麓で、樺太引揚者に対する戦後の農地開拓がはじまり、ブナの民有林

、国有林がどんどん、切られるようになってから、洪水が頻発し、暮らせなくなり

、家族は、函館に身寄りを頼って移住したんです。

 幸い、堤防が出来たので、桜は、残っていますし、スイセンも咲きます。

北海道に、寄附してもよかったのですが、・・・この場所から見える雪を被った黒

松内岳の早春の風景が、好きで、人生の壁にあたった時、よく、訪ねて、癒されてき

ました。

 当時の暮らしを思えば、ほとんど、取るに足りない小さい悩みなんだと・・私を元

気にしてくれた・・この土地、ルーツを、孫子に、伝えたいのかも知れません。

 あれから、40年以上、時は過ぎている。

 彼女は、とっくに他界していると思うが、イエローグローブに買い物に行く途中、

付近に差し掛かると、車からチラ見してしまう。

 今年も、桜とスイセンは、咲いてくれているのだろうかと。

Posted by 若見 at 10:40
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https://blog.canpan.info/bunanokomorebi/archive/1481
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