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脳科学ブログ(教育への架橋)

脳科学の知見を生かし、実践現場との架橋・融合をめざす。仮説・実践・検証により、教育のエビデンスを生みだし、揺るぎなき教育の一端を担いたい。“教育は愛、愛こそ教育” 願いは子どもの幸せである。


側坐核が社会的行動を強化する [2013年12月02日(Mon)]
「意欲」・「やる気」は側坐核と深いかかわりを持ってい
る。報償系回路は即座核を通って脳全体に伝播する。これ
は個人的な働きである。社会的行動の場合はどうか。その
強化に即座核が関わっていることがわかった。愛の細胞=
即座核の重要性がますます分ってきた。

1 動物の社会行動は、ハチからヒトまで多様な動物種を通
 じて普遍的である。
2 種の生存を最優先し、時に個体にとっては犠牲を強いる
 こともある。
3 スタンフォード大学医学部ロバート・マレンカは、側坐
 核の中心部にある神経細胞が、社会的行動を支配してい
 ること。シナプス前性の長期抑圧をおこすことを見出した。
4 オキシトシンは側坐核の中型の有棘性の神経細胞に働きか
 け、社会的行動を増加する。
5 側坐核には、脳の広範囲の領域からオキシトシン受容体を
 もつ神経線維が入力する。
6 背側縫線核はセロトニン神経細胞を多く含み、脳の全域に
 セロトニンを含む神経線維を送っている。
7 オキシトシン受容体を、ウイルスベクターの局所注入で選
 択的に不活化した。複数のマウスで社会行動は出にくくな
 った。
8 行動変化の原因として、オキシトシンによる側坐核の神経
 細胞のシナプスの長期抑圧があることが示唆される。さら
 に、この長期抑圧が生じるには、側坐核内でのセロトニン
 受容体のひとつの5-HT1Bの活動が高まることが必要である
 ことが実験的に示された。
9 これらの所見は、マウスの社会活動が脳内で強化されるの
 には、側坐核でオキシトシンとセロトニンが共同で作用す
 ることが必要であることを示唆する。
10 自閉症やうつ様行動に、オキシトシンやセロトニンが関
  与すると考えられている。この研究の所見は、自閉症や
  うつ病で生じる社会行動の異常の病因を理解する上で、
  重要な手がかりを与えるものである。
           (By S. Nagao, M.D. & Ph.D.)
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