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脳科学ブログ(教育への架橋)

脳科学の知見を生かし、実践現場との架橋・融合をめざす。仮説・実践・検証により、教育のエビデンスを生みだし、揺るぎなき教育の一端を担いたい。“教育は愛、愛こそ教育” 願いは子どもの幸せである。


中野信子:脳科学からみた「祈り」C [2013年11月06日(Wed)]
中野信子:脳科学からみた「祈り」C

1 脳科学からみた幸福な人、不幸な人
 ・ 幸福感を科学的に測るには?
 ・ 釈尊:「人生で一番大切なことは何でしょうか?」と
   聞くと「幸せになることです」と即答した。
 ・ 恋愛やグルメで喜びや興奮を与えるのを「神経伝達物
   質」と呼び、幸福感や快感をもたらす物質を「脳内快
   感物質」という。fMRI、SPECTで観察できる。
 ・ 利他行動は、脳にとって「快感」でもある。根源的な
   脳活性の原理・生命の原理だ。
 ・ 褒められる・良い評価を受けるなど、社会的報酬を受
   けると線条体の一部が活動する。
 ・「利他行動」は他者からの良い評価が必ずしも必要ない。
   無くても納得・満足がある。
 ・ 内側前頭前野が自分の行動をつぶさに監視し、OKの印
   として、内面に喜び報酬が与えられる。 内側前頭前野
   は「社会脳」と呼ばれる社会性中枢である。
  *天台大師の「摩訶止観」巻8に良く似た働きをする「
   同生天」「同名天」がある。
  *ジョージ・プライスは、「愛他主義はいのちの原理」
   とし、数学的に解き明かした。
  *愛他の対極は「ひとりよがり」、幸せに「しない・
   させない・続かない」
2 祈りがもたらす鮮烈な幸福感
 ・「方向定位連合野」:「自分」と「他人」の境界を認
   識する部分。「自分が孤立したものではなく、万物
   と分かちがたく結ばれている直感」「時間を超越し、
   無限がひらけてくるような感じ」
 ・ 困難を乗り越える達成感を脳は喜ぶ。
 ・ 困難を乗り越え達成感・喜びを感じると報酬系が活性
   化し、脳内快感物質が盛んに分泌される。
 ・ 平穏無事な人生よりも、様々な困難が次々と襲ってく
   る人生のほうが、それを乗り越えるたびに深い幸福感
   を感じることができる。
 ・ 対話こそ、脳を育てる最高の「刺激」
 ・ 言語情報よりも口調やトーン、表情などの「非言語コ
   ミュニケーション」からたくさんの情報を得ている。
   メールのやり取りは言語情報のみで脳への刺激が乏し
   い。
 ・ メラビアンの法則「言語情報7%、視覚情報55%、
   聴覚情報38%」
 ・ 対話のない孤独な生活では、脳が受ける刺激が乏しい
   分、脳が受ける刺激が少なく、神経ネットワークの成
   長が抑えられてしまう。
 ・ 日本がいくら経済的に豊かであっても、協力・共助、
   対話・交流のない無縁社会である限り、「幸福度ラン
   キング」が上昇するはずがない。
 ・「幸福度ランキング」は福井がトップ、富山・石川・
   鳥取・佐賀と続き、東京38位、大阪が最下位。世
   界では、デンマークなどの北欧諸国がもっとも幸せ
   な国に入り、貧困にあえぐアフリカ諸国や旧ソ連圏、
   東欧圏の国々は幸福度が低い。
 ・ 何歳になっても、人は変われる。
 ・ 1998年 神経新生を発見(エリクソン・ゲージ)
   した。大人の新生細胞は刺激が乏しいとすぐ死んでし
   まう。適切な刺激が連続的に入るとネットワークの一
   部として機能し、活性化していく。
 ・ 脳を若く保つには、適度の刺激と適度に困難な課題を
   乗り越えていくことが必須である。
3 学びつづけ、成長しつづける幸福
 ・「全ての人間は生まれながらにして知ることを欲する」
                 (アリストテレス)
 ・「新規探索遺伝子」Novelty Seekerがある。遺伝子
   にも繰りこまれた人間の本能だ。
 ・「知的欲求が旺盛な個体のほうが、生存に有利」であ
   る。
 ・ 難問が解けた時、強烈な快感を覚え、幸福感に満たさ
   れる。
 ・ ノーベル賞を受けるほどの一流の学者は「もっと知り
   たい」「この謎を解きたい」という強い知的衝動を持
   つ。その力に突き動かされ研究し、その結果ノーベル
   賞がついてきたというのが実感であろう。受賞者の大
   半が「結果ノーベル賞」だと思う。
 ・「社会に出たらもう勉強なんかしない。」「本も読ま
   ない」では、余りにも残念!!
 ・ 学び続け、成長し続け、達成を繰り返すこと。それが
   脳の幸せ、人の幸せである。
 ・ 脳にとっての幸福とは静的・固定的なものではなく、
   変化のダイナミズムの中にこそあるのです。
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