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脳科学ブログ(教育への架橋)

脳科学の知見を生かし、実践現場との架橋・融合をめざす。仮説・実践・検証により、教育のエビデンスを生みだし、揺るぎなき教育の一端を担いたい。“教育は愛、愛こそ教育” 願いは子どもの幸せである。


記憶メカニズムH [2010年02月08日(Mon)]
脳科学の知見を生かす(3)

1 記憶のメカニズム

 記憶の司令塔 それは海馬である。直径1p、長さ10p、細長いキュウリのように湾曲した形。耳の奥あたりに左右1つづつある。発生学的には古い脳、大脳辺縁系にある。本能行動をする視床下部や情動行動の中枢・扁桃体に繋がっている。そのため思いの外動物性が強い。鳥類など下等な動物でも十分に発達し極めて重要な部位である。

 扁桃体を破壊されると感情が薄れ無気力になり、扁桃体が活動するとすると海馬のLTP(長期増強)が大きくなる。喜怒哀楽の情動が記憶の形成を促進しているのである。
 勝って嬉しい・負けて悔しい、褒められて喜び・叱られて悲しい、その体験をたっぷり味わって欲しい。学校は体験活動の宝庫である。

  五感を経て獲得した「ものごと」の情報は、側頭葉の嗅内皮質から海馬に入り、時計回り一周して側頭葉に還っていく。海馬の神経細胞はたった1000万個、脳全体で1000億個、0.001%である。大きさ25ミクロン、記憶という最重要事項をフル回転で取り仕切る少数精鋭集団である。激務激職、生成死滅が速い。

 「歯状回→CA3野→CA1野」を「海馬の主要3シナプス回路」と呼び、重要性の順番に並んでいる。歯状回は下等な動物でより発達し、CA3野は中継点、CA1野は高等な動物で発達している。 

 回路がONになると情報は、側頭葉→歯状回→CA3野→CA1野→海馬支脚→側頭葉に移っていく。時計回りの一方通行である。回路がOFFになると情報はつたわらない。ここではCA1野がきえている。2本の黒いすじはぎっしり整列した神経細胞の集まり。

 歯状回は海馬の入り口、その顆粒細胞は鍛えられて増殖する。反対に凄いスピードで死んでいく。3・4ヶ月もすれば全部の顆粒細胞がまったく新しい神経細胞に入れ替わっている。子ども・老人を問わない。全体量が増えるほど記憶力も増強する。これは記憶力だけの問題ではない。古い脳、海馬、その中でも原初的な歯状回のことである。教育の原理である。良い学校は活動量が多い。運動量が多い。豊かな体験活動に満ちている。悪い学校はちんたらちんたら漫然と動いている。

 「記憶」は海馬の中だけで起こっているわけではない。全脳的に起こっているのである。脳は海馬を中心に「記憶回路」を形成し、扁桃体を中心に「情動回路」を形成している。2回路を両輪に人間は生きて働いて死んでいく。海馬より扁桃体が古い。古いから強い。より重視しなければならない。

 脳は、「秩序とバランスの世界・補完と調和の世界・全体最適の世界」である。記憶中心・知識中心に偏ってはならない。

 記憶記憶システムの模式図である。短期記憶は30秒、長くて数分程度であり、それよりも長い時間の記憶を長期記憶とよんでいる。意識下の記憶には「手続き記憶」「情動記憶」「プライミング」があり、前意識の記憶には「意味記憶」「エピソード記憶」がある。エピソード記憶は自分の経験や出来事に強く結びついている。意識して容易に思い出すことができる。意味記憶は単なる「知識」であったり、覚えた状況が消えてしまった知識であり、何か特別なきっかけがなければ意識に上がってこない。 

  記憶は歴史の階層であり、人間の成長過程にそっくりあてはまる。下の層であるほど原始的であり生命維持にとってより重要な記憶である。下層の記憶原理を活かさなければ、「記銘(覚える)−保持(保存する)−想起(思い出す)」もうまくいかない。「短期記憶」と「プライミング」は大脳皮質・前頭前野46野のワ−キングメモりーで作られ、「手続き記憶」は基底核・線状体で作られている。新皮質は大事、でも古い皮質はもっと大事である。図「神経心理学」(八木文雄)より

             次回は一緒にABを出します。お楽しみに
コメント
 返事遅くなりました。記憶記憶システムの模式図は放送大学講座「神経心理学」(八木文雄)より転載させていただきました。ご覧下さい。(桑原)
Posted by:桑原清四郎  at 2010年09月03日(Fri) 09:00
はじめまして、うつ病の研究をしている鈴木と申します。
現在、記憶システムとストレス反応を纏めていて、このブログにたどり着きました。
初めてこのブログを拝見しました。
非常に参考になりました。ありがとうございます。

ところで、お忙しいと思いますが、質問してよろしいでしょうか?
最後の図の多重記憶システムの模式図はなんという本に掲載されているのでしょうか?

お時間のある時にご返答いただけると幸いです。
Posted by:鈴木  at 2010年08月09日(Mon) 15:51
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