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脳科学ブログ(教育への架橋)

脳科学の知見を生かし、実践現場との架橋・融合をめざす。仮説・実践・検証により、教育のエビデンスを生みだし、揺るぎなき教育の一端を担いたい。“教育は愛、愛こそ教育” 願いは子どもの幸せである。


「認識」「臨界期」研究の歩み [2019年10月14日(Mon)]
        「認識」「臨界期」研究の歩み

桜の木を実際にみて、桜だと認識しているときに働く

 脳の領域と、目をつぶって心の中で桜を想像するとき

 に働く脳の領域は重なるのです。

生まれたばかりの神経細胞は移動して、あるべき位置
 におさまり、正しい相手と結びついてネットワーク
 できあがっていくのです。
  どの段階で、どの遺子が働いているのかがわかっ
 てきています。赤ちゃんの神経回路は初めはおざっ
 ぱで、余分な結びつきもたくさんあります。
  しかし、過剰なものは淘汰・整理され、精密なネッ
 トワークが完成するのです。この精密化には、環境
 らの刺激が重要です。(桝正幸)

子供の時に使われなかったネットワークは消えてしま
 い、大人になってからは、いくらがんばっても作れな
 いことがあるだろう。
  しかし、脳のネットワークは複雑で、領域によって
 精密化の時期がちがうので、簡単に結論づけてはいけ
 ないのです。

最初は複数あったシナプスのうち、刺激が入って信号
 伝達に利用されたシナプスが残り、使われなかったも
 の淘汰されるのです。(狩野方伸)

エピソード記憶とは、「朝、ばったりAさんにあった」
 というように、日常の経験を時間や場所と関連して覚
 えるものです。(中沢一俊)

「胚性幹細胞(ES細胞)」と遺伝子操作を組み合わせ
 て、マウスの、特定の時期、かつ特定の場所だけ、あ
 る遺伝子をはたらかせることができるようになった。
                  (饗場篤)
IQや絶対音感に関わる遺伝子の研究も進んでいます。
                  (戸田達史)
期間限定で、ある能力を身につけるー臨界期の発見―。

  1930年代、コンラート・ローレンツ・・・「刷り

        込みー孵化後約8時間から24時間の

        み可能」の発見、

  1960年代、トーステン、ウィーゼルとデイビット

        ・ヒューベル・・・「小ネコの片目遮

         蔽実験」、

  1974年 コリン・ブレイクモア「片目逆転遮蔽実

         験・・・逆転後は後で開い右眼に

         よく反応―生後3週から12週のみ」

  1995年 トーマス・エルバート「弦楽器研究」・

        ・・・5歳・10歳はOK1215歳は

           あまり変わらず、

   1,999年 クリスト・バンテフ「ピアノ研究」・・

        ・・・3歳から6歳は大きな反応、その

           後は変わらない。

 1989年 エリッサ・ニューポート 7歳以前の移住は
      ほぼ完璧、8歳以後は遅くなればなるほど悪
      い。17歳以降では非常に悪い。バイリンガル
      はブローカ領域のほぼ同じ部分だが、他は違
      った領域で処理している。

「臨界期」に起きた脳の変化は「柔らい」のです。その
  後の体験によって元に戻る、あるいは後の体験によっ
  て置き換えられてしまい、脳にはあとの体験のみが
  るのです。

縦縞しか見えない環境で子ネコを育てると、縦縞に良く
 反応する大脳皮質視覚野の神経細胞は増えますが、横縞
 に反応する神経細胞は減ります。
  その結果、その小ネコは縦縞に対する視力はよくなり
 ますが、横縞はあまりよく見えなくなるのです。

「運動視」の臨界期は、「両眼視」の臨界期より少し早
  く終わる。

子供の両眼視機能は、1歳から1歳半あたりが一番敏感
 で、3歳ごろまで臨界期が続きます。(眼帯は絶対ダメ)

なぜ、臨界期があるのか。
  @ 過剰なシナプス、冗長性 
    A シナプス競合 
    B 神経伝達物質

・ 初め、大まかな回路網ができ、次にそれが次第に緻密に
 なってゆく。この時、過剰なシナプス間で、より多くの
 刺激を受けたシナプスが拡大し、入力の少ないシナプス
 が退行していく現象がある。それを「シナプス競合」と
 いう。
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