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脳科学ブログ(教育への架橋)

脳科学の知見を生かし、実践現場との架橋・融合をめざす。仮説・実践・検証により、教育のエビデンスを生みだし、揺るぎなき教育の一端を担いたい。“教育は愛、愛こそ教育” 願いは子どもの幸せである。


脳科学と教育(小泉英明) [2016年09月12日(Mon)]
        脳科学と教育(小泉英明)

・学習:「脳が環境からの外部刺激に適応し、自ら情報処理神
     経回路網を構築する過程」
・教育:「環境からの刺激を制御・補完して学習を導き鼓舞す
     る過程」
・生まれた直後は最も神経回路網の構築が盛んな時期です。
・神経接続は遺伝子によって大雑把につくられ、環境からの刺
 激を受けたシナプスだけが生き残り成長します。
・睡眠のリズムも乳幼児期に形成される。夜間に強い光を浴び
 たりすると、一生睡眠障害に悩まされることもあります。
・環境に対して脳が最適化するプロセスが乳幼児期にある。こ
 の時期の学習が重要、脳科学で実証されています。
・胎児期から死に至るまで、一生を通じてすべての学習と教育
 の過程を包括的な視点で捉え直すのが脳科学のアプローチで
 す。
・読み書きや計算などの基礎学力、学習意欲の根源、臨界期と
 感受性期(学習効果の高い年齢)、神経回路網の構築におけ
 る遺伝因子・環境因子、記憶のメカニズム、損傷した脳の機
 能回復(リハビリテーション)、加齢と能力維持・健やかな
 老い、創造性や寛容性など研究課題は多いのです。
・「学習意欲」や「志」は情動とも関係が深い。動物的な欲望
 とも違うし、完全に理性が支配する領域でもない。古い皮
 質と新しい皮質の相互作用から生まれるもの。
・知識や自己抑制ばかり強くなっても、何かをしようという意
 欲が育まれなければ、人間性に問題が生じかねない。
・脳の構造からも、進化の順番で学習するのが自然です。胎児
 から乳幼児への成長は進化の再現です。
・学習も脳進化に準じるのが自然です。初めに本能的なことが
 完成し、欲求が芽生え、そのうち自己抑制を身に付け、知識
 を吸収していくプロセスを大事にしなければいけません。
・ところが最後の知識の点だけが外側から見えやすいので、ど
 うしても知育に偏りがちになります。
・古い皮質との連携をきちんと育てる前に、新しい皮質にどん
 どん情報を入れてしまうと、後で取り返しのつかないことに
 なる恐れがある。早期教育は決して間違いではありませんが、
 知育偏重にならないように注意すべきです。
・ 「憎しみ」や「コンパッション・共感(compassion)」は
 新しい皮質と古い皮質の兼ね合いで生まれている。
・ 「憎しみ」は人間特有の一段深い心の問題です。前ローマ法
 王ヨハネ・パウロ2世は9.11 のテロ以降、一貫して「憎しみ
 の連鎖を断ち切る勇気」に言及されました。「憎しみ」は重
 要なキーワードになっています。
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