迷った時に立ち返る教え
[2014年09月04日(Thu)]
成人期の方々の苦しみに突き当たる時、無力であることを感じると共に、“私たちじゃなくて誰が寄り添える?!”って気持ちを奮い立たせます。
私は幸いなことに自閉症の子の親としても学ぶ機会をたくさんいただいて来ました。
TEACCHアプローチと出会えたことで、日本ばかりではなくたくさんの素晴らしいジェネラリストの皆さんと出会いました。
ここ数日、成人期の方が不調で苦しんでいます。
暑かった今年の夏、乱高下する気圧…いろんなことが襲い掛かっています。
とっても困難な状況の方と相対していると、支援者としての「覚悟」を突き付けてくださった札幌の加藤潔さんを思います。
加藤さんは「支援者はもがき、苦しみ、のたうち回れ」と言い放ちます。
それは「彼らはこれまでの人生の中で今あなたが感じている数倍ももがき、苦しみ、のたうち回ってきたのだから。」と。
3年前のちょうど今頃、加藤さんに仙台にお越しいただいた時のレジュメの一部です。
感情コントロール
<感情コントロールのうまいへた>
加藤理論では、2次的な症状は治療の対象。
だって、生まれたときにはもってないもん。したがって、2次的な症状を「自閉症だから」という理由で治療放棄する医者を加藤は全く信用していない。
感情コントロールは2次的なこと。だから、戦える領域(勝たなくても負けなければいい)。
感情コントロールのうまい人は、発達障がいであろうがなかろうが、そこそこ社会でうまく生きていける。
<感情コントロールは2大戦略をベースにする>
(参考:ドーパミンとセレトニン
ほめられたらうれしいのはドーパミンの分泌が増えるから。
しかし、ドーパミンの濃度が高いほど攻撃性が増すこともわかっている。
ドーパミンなどを抑制し、衝動的な行動や攻撃性を抑えるのがセレトニンである。)
ドーパミン的戦略
自分への誇りを高めモチベーションをあげるための戦略である。
自尊感情→状況理解→作戦会議という基本的な流れを意識したい。
セレトニン的戦略
ほっとする空間や時間をもつための戦略である。
いやしや趣味の保証ももちろんであるが、自分の居場所があることも生活リズムをつくり、心の安定につながることを意識したい。
<ドーパミン的戦略〜3段階の構図>
自尊感情を高める
自分に対する「そんなに悪くない」思いは次へ進むための基本エネルギーとなる。
状況理解を促す
周囲の状況が見えれば、自分を客観視することが多少なりとも増える。
作戦会議を行う
その前提があって、どうするかの作戦を考えることができる。
<自尊感情を高める大原則>
話し言葉で、書き言葉で、態度で、物で・・・。
ほめることを伝える方法なんて、いくらでもありますよ。
すごいことをほめるのはだれでもできる。
あたりまえにできていることをほめるのである。
つまり・・・
×おれはすごい。おれだけがすごい。
○けっこうわるくない。
うまくやれている部分もある。
<彼らは評価されたくてたまらない>
自分がダメだなんて思いたい人はいない。
でも、他者からの評価が高くないと感じている。
だけど、自分でどうしていいかわからない。
自閉症支援の根幹にあるのは、彼らが自分に対して「そんなに悪くない」と思えること
<何より大切なこと それは自己実現>
自分はけっこういけてるという実感だれかが認めてくれているという実感
だれかのために(何かのために)生きているという実感
そして「がんばってみようかなと思う自分」がいること
(加藤辞書より検索)
☆自立は「できる」と「できない」だけの論理ではない
☆定型発達に近づける支援は自己実現にはつながらない
(自分は自分のままでけっこういいというのが自己実現だから)
☆修正や訂正のない完了は十分にほめたことになる
☆報酬に向かって頑張ることは十二分にほめたことになる
☆本人セッションで加藤がよく使うフレーズ
「それが魅力のひとつです」
「少なくとも加藤はそう思います」
「○○さんはきっと喜んでくれるでしょう」
<障がい受容ってありえるの?>
ご本人にせよ、ご家族にせよ、100%障がい受容できるなんてありえない!というのが加藤の基本〜だって人間だもん
「しっかり受けとめていこう」「自分なりの、その子なりの成長でいいんだ」と思い続ける努力を続けなければ、心がふっと揺れてしまう
〜ふつうになりたい(したい)というのはある意味日本人の本能だもん
つまり、受容しようとする努力こそが「受容」なのである。
<すぐに受容できるものなの?>
100%受容できないとしても、少しずつ受容
に向かうのにはかなりの時間がかかる。
現実から目をそらしたい、考えたくないという時期はある。それは無関心という態度としてあらわれる。
事実を突きつけられることに対し、他者への攻撃という行動で自分の心のバランスをとることもある。
だからこそ、その歯止めになるのが「そんなに悪くない自分」なのである。
<加藤の頻出フレーズ>
「よかったねえ」「それがいいとこなんだよな」
相手の方に「えっ?」「加藤は何を言ってんの?」と思わせる。
「社会性のスキルはそれなりに学んでるよ。
社交性がないだけでしょ。ボクも社交性はかなりレベル低いよ」
どの人ともうまくやろうとして苦しむのはむなしい努力。
「好かれなくていい。嫌われなきゃいい」と知ってほしい。
<状況理解を促す大原則>
書いて見せる、書いて説明すること
一時一事の説明
・長々と書かない〜一文は短めに
・ひとつのスペースにひとつの内容
・できれば、図も使いながら
<作戦会議の大原則>
書いて見せる、書いて説明すること
完璧な作戦実行を求めない。「やってみようと思います」程度を求める。できなかったマイナスではなく、できた分のプラスに注目させる。
物や行動に名前をつける
・「そう、あれ」「それだよ、それ」
「それをあれすればいいんだ」???
今日は、就労のスタッフ全員と、改めてここに書いていただいたことを確認し合いました。
ご本人とは午後一でお目にかかり、親御さんからも「一週間ぶりでまともな会話をしました。久しぶりに笑いました。」と言っていただけるところまで状況の整理をお手伝いできることが出来ました。
でも、私たちのこどもが壊れるのは本当に瞬間芸のようなものです。
彼らの苦しみの奥の深さは計り知れません。
だからこそ、これまで導いてくださった先輩支援者の経験から学び続けていきたいと決意を新たにしています。
私は幸いなことに自閉症の子の親としても学ぶ機会をたくさんいただいて来ました。
TEACCHアプローチと出会えたことで、日本ばかりではなくたくさんの素晴らしいジェネラリストの皆さんと出会いました。
ここ数日、成人期の方が不調で苦しんでいます。
暑かった今年の夏、乱高下する気圧…いろんなことが襲い掛かっています。
とっても困難な状況の方と相対していると、支援者としての「覚悟」を突き付けてくださった札幌の加藤潔さんを思います。
加藤さんは「支援者はもがき、苦しみ、のたうち回れ」と言い放ちます。
それは「彼らはこれまでの人生の中で今あなたが感じている数倍ももがき、苦しみ、のたうち回ってきたのだから。」と。
3年前のちょうど今頃、加藤さんに仙台にお越しいただいた時のレジュメの一部です。
感情コントロール
<感情コントロールのうまいへた>
加藤理論では、2次的な症状は治療の対象。
だって、生まれたときにはもってないもん。したがって、2次的な症状を「自閉症だから」という理由で治療放棄する医者を加藤は全く信用していない。
感情コントロールは2次的なこと。だから、戦える領域(勝たなくても負けなければいい)。
感情コントロールのうまい人は、発達障がいであろうがなかろうが、そこそこ社会でうまく生きていける。
<感情コントロールは2大戦略をベースにする>
(参考:ドーパミンとセレトニン
ほめられたらうれしいのはドーパミンの分泌が増えるから。
しかし、ドーパミンの濃度が高いほど攻撃性が増すこともわかっている。
ドーパミンなどを抑制し、衝動的な行動や攻撃性を抑えるのがセレトニンである。)
ドーパミン的戦略
自分への誇りを高めモチベーションをあげるための戦略である。
自尊感情→状況理解→作戦会議という基本的な流れを意識したい。
セレトニン的戦略
ほっとする空間や時間をもつための戦略である。
いやしや趣味の保証ももちろんであるが、自分の居場所があることも生活リズムをつくり、心の安定につながることを意識したい。
<ドーパミン的戦略〜3段階の構図>
自尊感情を高める
自分に対する「そんなに悪くない」思いは次へ進むための基本エネルギーとなる。
状況理解を促す
周囲の状況が見えれば、自分を客観視することが多少なりとも増える。
作戦会議を行う
その前提があって、どうするかの作戦を考えることができる。
<自尊感情を高める大原則>
話し言葉で、書き言葉で、態度で、物で・・・。
ほめることを伝える方法なんて、いくらでもありますよ。
すごいことをほめるのはだれでもできる。
あたりまえにできていることをほめるのである。
つまり・・・
×おれはすごい。おれだけがすごい。
○けっこうわるくない。
うまくやれている部分もある。
<彼らは評価されたくてたまらない>
自分がダメだなんて思いたい人はいない。
でも、他者からの評価が高くないと感じている。
だけど、自分でどうしていいかわからない。
自閉症支援の根幹にあるのは、彼らが自分に対して「そんなに悪くない」と思えること
<何より大切なこと それは自己実現>
自分はけっこういけてるという実感だれかが認めてくれているという実感
だれかのために(何かのために)生きているという実感
そして「がんばってみようかなと思う自分」がいること
(加藤辞書より検索)
☆自立は「できる」と「できない」だけの論理ではない
☆定型発達に近づける支援は自己実現にはつながらない
(自分は自分のままでけっこういいというのが自己実現だから)
☆修正や訂正のない完了は十分にほめたことになる
☆報酬に向かって頑張ることは十二分にほめたことになる
☆本人セッションで加藤がよく使うフレーズ
「それが魅力のひとつです」
「少なくとも加藤はそう思います」
「○○さんはきっと喜んでくれるでしょう」
<障がい受容ってありえるの?>
ご本人にせよ、ご家族にせよ、100%障がい受容できるなんてありえない!というのが加藤の基本〜だって人間だもん
「しっかり受けとめていこう」「自分なりの、その子なりの成長でいいんだ」と思い続ける努力を続けなければ、心がふっと揺れてしまう
〜ふつうになりたい(したい)というのはある意味日本人の本能だもん
つまり、受容しようとする努力こそが「受容」なのである。
<すぐに受容できるものなの?>
100%受容できないとしても、少しずつ受容
に向かうのにはかなりの時間がかかる。
現実から目をそらしたい、考えたくないという時期はある。それは無関心という態度としてあらわれる。
事実を突きつけられることに対し、他者への攻撃という行動で自分の心のバランスをとることもある。
だからこそ、その歯止めになるのが「そんなに悪くない自分」なのである。
<加藤の頻出フレーズ>
「よかったねえ」「それがいいとこなんだよな」
相手の方に「えっ?」「加藤は何を言ってんの?」と思わせる。
「社会性のスキルはそれなりに学んでるよ。
社交性がないだけでしょ。ボクも社交性はかなりレベル低いよ」
どの人ともうまくやろうとして苦しむのはむなしい努力。
「好かれなくていい。嫌われなきゃいい」と知ってほしい。
<状況理解を促す大原則>
書いて見せる、書いて説明すること
一時一事の説明
・長々と書かない〜一文は短めに
・ひとつのスペースにひとつの内容
・できれば、図も使いながら
<作戦会議の大原則>
書いて見せる、書いて説明すること
完璧な作戦実行を求めない。「やってみようと思います」程度を求める。できなかったマイナスではなく、できた分のプラスに注目させる。
物や行動に名前をつける
・「そう、あれ」「それだよ、それ」
「それをあれすればいいんだ」???
今日は、就労のスタッフ全員と、改めてここに書いていただいたことを確認し合いました。
ご本人とは午後一でお目にかかり、親御さんからも「一週間ぶりでまともな会話をしました。久しぶりに笑いました。」と言っていただけるところまで状況の整理をお手伝いできることが出来ました。
でも、私たちのこどもが壊れるのは本当に瞬間芸のようなものです。
彼らの苦しみの奥の深さは計り知れません。
だからこそ、これまで導いてくださった先輩支援者の経験から学び続けていきたいと決意を新たにしています。