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2013年04月19日

【新著連載】Q02.そもそもリスクとはどういうものでしょうか?

Q.そもそもリスクとはどういうものでしょうか?

→A.リスクとは「成長のために欠かせない栄養素」

「リスク」を、辞書で調べてみると、【1 危険。危険度。また、結果を予測できる度合い。予想通りにいかない可能性。「―を伴う」「―の大きい事業」「資産を分散投資して―の低減を図る」2 保険で、損害を受ける可能性。(大辞泉) 】とあります。これだけを見ると、リスクは「避けたり小さくしたりすべき悪いもの」に見えます。
 しかし、Wikipediaを見ると、【リスク (risk) の定義にはさまざまあるが、一般的には、「ある行動に伴って(あるいは行動しないことによって)、危険に遭う可能性や損をする可能性を意味する概念」 と理解されている】とも書かれています。ここで注目すべきは「行動しないことによって」も危険に遭ったり損をする可能性があるとの指摘です。「何もしないこと」で、逆に「リスクが高まること」もあるわけです。

●「十年に一度、新しい改革に挑戦しないと企業はつぶれる」

 私は国産Tシャツメーカーの三代目経営者ですが、父からは「十年に一度、新しい改革に挑戦しないと企業はつぶれる」と厳しく教えられてきました。ドルショック、オイルショック、バブル崩壊、デフレスパイラルなど激動の中で、か弱き中小製造業が生き延びてこられたのも「十年に一度、新しい改革に挑戦」してきたからなのです。
 たとえば、父は、祖父から肌着メーカーを引き継いだ後、日本で最初にTシャツ作りに挑戦しました。「Tシャツ」という名前が受け入れられず「色丸首」と呼びかえてのリスキーな挑戦だったのですが、もし肌着にこだわっていたら、とっくに大メーカーや中国製品との競争に敗れていたでしょう。続いては、VANやJUNというブランドの下請けをしながら、自分たちでもブランド作りに挑戦して、脱下請けを目指しました。これも同業者からは笑われましたが、メーカーとして自立する第一歩になりました。
 さらに、FAXの普及を好機として、異業種の法人向けに、現金取引で小口数量のオープン販売をする新会社を作りました。メーカーが直販をするのかと旧来の問屋さんからはクレームもあったそうですが、もしここでお客様の幅を拡げていなかったら、バブル崩壊後に廃業に追い込まれていたでしょう。
 幼い頃から、こうした父の挑戦を見ていたからこそ、私は、インターネット、エコロジー、ソーシャルビジネスといった新境地に、リスクを恐れず挑戦できたのです。

●「リスク」を小さくしながら、「リターン」を大きくする
 
 それから、「日本国語大辞典」では、リスクに関しての名言も紹介しながら、こんなユニークな定義をしています。【〔名〕({英}risk )危険。また、冒険。(中略)*小林多喜二問題〔1947〕〈小田切秀雄〉一「賭けの精神、リスクを求める態度」 】
 つまり、「リスク」を「冒険」と前向きに訳した上で、あえて「賭けの精神」で「リスクを求める」人がいるということを、例に挙げているのです。これは、尊敬する起業家の先輩や仲間を見ても、また私自身のことを振り返っても納得のいく考え方です。
 私は、かつて証券会社で、資産運用の金融商品ポートフォリオ(組み合わせ)作成システムを作り、「リスク(損をする可能性)」を小さくしながら、「リターン(利益)」を大きくする提案をしていました。
 原則として「リスク」と「リターン」は連動します。「高いリターン」を得るためには、貯金よりも株式を増やして「高いリスク」を取る必要があります。もちろん、欲をかいて深い考えもなく「高いリターン」ばかりを追い求めると失敗します。予測が外れたり思いがけない事が起きた時「高いリスク」の代償で致命傷を負うのです。
 しかし「ほど良いリスク」に挑戦すれば「ほど良いリターン」を得られます。失敗しても致命傷にならず、むしろ大きな学びを体験できます。「リスク」を、半ば楽しんで成長しながら、より賢く「リスク」をとれるようになります。そして、より安全に「高いリターン」を得られるようになるのです。
 つまり、私にとって起業家とは「ただ業を起こす」人ではなく、「危険を上手に避けながら(リスク感知力)、適度な冒険を楽しみ(リスク耐性)、自分と組織を成長させ、時代に合わせる(リスク突破力)を兼ね備えた人」なのです。言い換えれば、起業家にとって、リスクとは「成長のために欠かせない栄養素」なのです。ところが、子供が、ホウレンソウやニンジンなど栄養のある野菜を嫌うように、多くの大人は、自己成長に必要なリスクを避けてしまうのです。

A.リスクとは「成長のために欠かせない栄養素」

【バックナンバー】
Q01.起業家にとって一番大切なことは?
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