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2013年05月14日

【新著連載】Q11.力不足をさらけ出すのが怖い

Q.力不足をさらけ出すのが怖い

→A.現実とのギャップの向こうに、自分の成長と周囲の支援がある

 誰しも自分の「力不足をさらけだす」のは「怖い」ものです。そして、もっと「怖い」のは、「若くして大きな夢を語る」こと、それを「笑われる」ことでしょう。
 自ら、実力以上の高い目標を公言してしまうことは、それ自体が、大きなリスクに見えるかもしれません。しかし、充実した人生を生き抜くことができるかどうかは、若いころの「夢と現実のギャップ」の大きさにあると言っても過言ではありません。20代、30代に知識や経験がないことは当たり前。問題は、大きな夢とのギャップを、どうやって埋めて行くかという、前向きな「心のベクトル」なのです。

●夢を抱くのに遅すぎることはない

 例えば、私たち久米繊維の中で、最も壮大な夢を描いて公言しているのは、NPO法人やCSR企業担当の竹内裕さんです。竹内さんは私よりも年上ですが、50代にさしかかった時に、3.11東日本大震災を体験して人生が変わりました。被災地の厳しい現実を見て回って、人生が変わったのです。夢を抱くのに遅すぎることはないのです。
 竹内さんの夢は、「復興支援で活躍する東北のNPOを、Tシャツで応援すること」です。東北各地のNPOのためのオリジナルTシャツを作って、その販売収益を寄付し続けるプロジェクトを始めています。その事業を通じて、竹内さんは10年後に壮大な夢を描いています。「岩手〜宮城〜福島の海岸線を、各地の復興支援Tシャツを着た人で埋め尽くし、手をつないで一列に並ぼう」というのです。そして、ギネスブックに登録しようとまで考えているのです。これは、言い換えれば、10年がかりで、数十万枚のTシャツを販売して、数億円単位の寄付をすることを意味します。

●プロジェクトへの熱い思いとその意義を伝える

 しかし、竹内さんは、Tシャツ製造の知識こそあれ、現地のNPOとのネットワークも、独自にTシャツ販売をする仕組みも持っていませんでした。被災地の惨状を見て「なんとかしたい」という熱い想いだけがすべてでした。そこで、竹内さんは、自分よりも大きな知恵や力がある人たちと共に夢を見て、協業するしかないと思いました。
 まずは、被災地のNPOを支援する強力なネットワークを持つ日本財団に協力を仰ぐことにしました。幸いにして、日本財団とは、JMAAチャリティTシャツアート展を毎年共催していて友好関係がありました。そこで、竹内さんは、日本財団のご担当者に、復興支援Tシャツプロジェクトの意義を熱く語りました。同時に、Tシャツのスペシャリストではあっても、復興支援の知識やNPOとのネットワークがないことも正直に伝えました。その大きな夢と誠実な姿勢が共感を生んだのでしょう。日本財団から、応援するNPOのみなさんをご紹介いただくことができたのです。

●夢を語りつつ、自分に足りないものをさらけ出す

 さらに、3.11復興支援Tシャツを広めるためには、メディアの協力も欠かせません。しかし、多くのマスメディアは、いずれ3.11のことを報道しなくなるでしょう。被災地支援にずっと関心をもつ人が定期購読するような「心あるメディア」の協力を仰ぐことが必要でした。
 そこで、竹内さんは、社会貢献に熱心な企業やNPOの経営者愛読する雑誌「オルタナ」に、復興支援Tシャツの構想を話そうと思い立ちました。
 竹内さんは、もともとオルタナの編集方針に共感し、個人で購読し応援していたので、担当者に耳を傾けていただけました。まず、久米繊維や自分の力だけでは、この壮大な構想を実現できないと告白しました。その上で、オルタナ読者の企業経営者と被災地のNPOを結んで、10年がかりの末永い復興支援を進めたいと熱く語ったのです。
 さらに、ネットで多くの人に知ってもらい、Tシャツを数多く販売をするためには、インターネットで力を持つ会社との協業も必要でした。そこで、3.11以降、真剣に被災地支援をしていたヤフーにプロジェクトを提案しました。当初は、ヤフーにネットショップを開くだけの小さなスタートでした。しかし、これからは、復興支援Tシャツに限らず、様々な社会貢献Tシャツを通じて社会を変えて行こうと話は進んでいます。
 こうして、竹内さんは、大きな夢を語りつつ、自分に足りないものもさらけ出すことで、日本財団、オルタナ、ヤフーという素晴らしい企業との協業を実現したのです。実際に起業する時に重要なのは、自分自身のノウハウ(Know How)ではなく、自分より力のある人を見つけて協業する力(Know Who)なのです。

A.現実とのギャップの向こうに、自分の成長と周囲の支援がある

【バックナンバー】
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Q02.そもそもリスクとはどういうものでしょうか?
Q03.「リスク」をとったらどんな変化がありますか?
Q04.「リスク」と「リターン」を見極めるコツは?
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Q09.失敗するのが怖い
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