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2つの「マリキータ」 [2013年08月04日(Sun)]

皆さん、こんにちは。

今日は「マリキータ」という名前が登場する、
グアムの物語が書かれた本を、2冊ご紹介します。

マリキータとはスペイン語で天道虫のことですね。
スペイン語圏ではこのマリキータは
マーガレットなどの名前の女性に
使われるニックネームでもあります。

グアムも3世紀にも渡るスペイン統治時代がありましたから、
その名残で近年までそのようなニックネームが聞かれました。

でも、現在は、私の知る人や親戚の中には
この可愛らしい愛称で呼ばれている子はいませんから、
今では過去の遺物になってしまったのかもしれません。

さて、一つ目の本は
mariqita.jpg
クリス・ペレス・ハワード著、伊藤成彦訳
『マリキータ―グアムのひとつの物語』 (ほるぷ現代ブックス〈7〉)


今から30年程も前に日本語に翻訳されたこの本は
日本軍による占領時代の頃、マリキータと呼ばれ愛された
実在のチャモロ女性の悲しい物語がしたためられています。

著者のハワード氏は、この女性が結婚した
アメリカ軍人との間に生まれたハーフの息子さんで、
アメリカ目線で書かれた戦争時代ということになりますが、

後に、彼自身がチャモロ人としての視点を持ち、
グアムの米国からの自由獲得を願った人であったこと、
その思想に対してさまざまな圧力がかかっていたこと、
なども、最後の解説まで読み終えるとわかり、
グアムと米国の関係も見えてくる一冊です。


次に、
mariko.jpg
池澤夏樹 著
『マリコ/マリキータ』 (角川文庫)


こちらも20年近く前に出版された短編小説集ですが、
マリコ/マリキータは、その中の代表作の題名です。

代表作は、
ミクロネシアのある島の民俗学的調査のために
グアムを中継地として訪れ滞在する研究者と、
グアムでマリキータと呼ばれて暮らす
日本人女性マリコとの出会いの物語。

現代小説でグアムが登場することは、珍しくはないのですが、
在住者にとって、グアムの描写が薄っぺらで
違和感を感じてしまうものも中にはありますよね。

この作家は、ほかにも『マシアスギリの失脚』など、
南の島の物語をたくさん書いていますが、
彼の作品に出てくるこの島嶼地域の背景・文化に対する理解は
大変深いものであることが、登場人物の行いや
何気ない描写の端々からも溢れでています。

若い頃、ミクロネシア中の島々を転々と旅してまわった
その体験が、彼のこの頃の作風に多くの影響を与えたのでしょう。

この本は、
彼の創作する作品一つ一つに宿る精霊に出会っているような、
ちょっと不思議な体験ができる、私の大好きな一冊です。


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Posted by Grass-Roots at 10:51 | 本・文献 Books | この記事のURL | コメント(0)

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