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4月27日「ふくしまの森林・バイオマス」勉強会の報告[2015年05月04日(Mon)]
 バイオマス発電事業化促進WGは農都地域部会と共同で、4月27日(月)夕、「ふくしまの森林・バイオマス活用の可能性」勉強会を開催しました。
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ふくしま勉強会1

 市民キャビネット農都地域部会は、3年半前に「ふくしま復興フォーラム」を開きましたが、3.11から4年経ち、改めてふくしまのいまを知り、これからを考える場として、今年前半に2回の勉強会を開くことになりました。
 今回はその第1回目として再生可能エネルギーと森林・バイオマスにフォーカスし、「ふくしまの森林・バイオマス活用の可能性」のテーマで講演と質疑応答、コメントと意見交換が行われました。
 会場の港区神明いきいきプラザに60名が集まりましたが、東京近郊を中心に福島県からの参加者もありました。
 勉強会はバイオマスWGの木村座長のご挨拶で始まり、第1部は、福島県で再生可能エネルギーの普及推進に取り組む行政、団体、企業の三氏の講演でした。

ふくしま勉強会1

 初めに、南相馬市新エネルギー推進課長の志賀俊一氏より、「原発事故後のまちづくり ―南相馬市の再生可能エネルギー推進ビジョンと取組状況」のテーマでお話がありました。
 南相馬市は、原子力発電への依存から脱却するため、市の消費電力に匹敵あるいはそれ以上の電力を再生可能エネルギーで生み出すことをめざす、2020年度の再エネ導入比率約65%、2030年度にほぼ100%という目標を掲げている、津波被害を受けたエリアの新たな土地利用として、メガソーラーや風力発電、植物工場を計画するなど具体的な取組みも進んでいる等、原子力災害を克服して再生を図る市の姿勢について丁寧な説明がありました。

 志賀氏の講演の概要です。
・南相馬市は、人口63,000人余(3.11前は約71,000人)、面積約400km2(約55%が山林)、主要産業は農業、その他工業である。相馬野馬追で有名。平成18年1月に、鹿島町、原町、小高町の合併により誕生。いわき市と仙台市の中間に位置する浜通りの中核都市。
・3.11地震・津波・原発による甚大な被害(人的被害、農地被害)を受けた。現在、震災時からの市内居住者は約47,000人、市外避難者は約12,000人、転出者は約8,300人となっている。学校生徒数の回復は徐々に進んでいるが、医療関係(看護師数等)の回復はあまり進んでいない。
・津波により、沿岸部(約41km2、市の耕作地の約3割)に甚大な影響が出た。そのため、沿岸地域の新たな土地利用として、住宅の集団移転、防潮堤・防災林、メガソーラー、風力発電、工業団地、植物工場等を計画。平成24年6月、東芝がメガソーラー、同年10月、福島県が南相馬市に研究施設の立地を決定、平成25年3月、植物工場が完成し生産開始するなど、具体化が進んでいる。
・平成23年12月には、再エネの推進を掲げた「南相馬市復興計画」を策定した。これを踏まえ、平成24年10月には、「南相馬市再生可能エネルギー推進ビジョン」を策定した。(平成24年3月策定の「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」との整合にも留意した)
・「再エネ推進ビジョン」の目標値として、2020年度において再エネ導入比率約65%、2030年度においてほぼ100%を目標に設定。(その内訳は、ほとんど太陽光と風力、小水力がちょっと。バイオマスはない)
・再エネ事業として、沿岸部大規模太陽光発電事業(約7万kW)、沿岸部風力発電事業(約2万kW)。木質バイオマスでは、大町地域交流センターに木質バイオマスボイラー(180kW)を設置、熱エネルギーを利用して施設の冷暖房を行っている。この他スターリングエンジンで発電9.9kW、蓄電池11.1kW。資源作物バイオマスでは、低コスト栽培に関するノウハウの研究等(燃料用になたね、ソルガム、デントコーン)。県が小水力にも取り組んでいるが(横川ダム)、水利権の取得に時間を要している。
・また、家庭用太陽光発電についてHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の導入、スマートコミュニティの構築、公共施設への再エネ・蓄電池設備や電力管理システムの導入などにも取り組んでいる。平成25年3月には、「南相馬ソーラー・アグリパーク事業」も完成した。太陽光発電所(500kW)、ドーム型植物工場(2棟)、体験施設から成る。

ふくしま勉強会1

 続いて、一般社団法人会津自然エネルギー機構理事の金澤秀光氏により、原発被災者が多く避難している会津地域で現在進められているエネルギー自立の動きや、きこりプロジェクトや山学校など林業再興とバイオマス活用の取組みについてお話がありました。

 金澤氏の講演の概要です。
・福島県は日本の中心地である。南北、また、太平洋側・日本海側の植生がある。鉱物資源も豊富。
・原発事故は、国や原発推進者や東電の経営者に責任を押し付けて済む問題なのか、この体制を支持し、電力を使ってきた国民にも少し責任があるのではないか。放射能は危険だと言ったとたんに、福島では生きられなくなってしまう。人が住まなくなった場所は、代が変われば記憶から消えてゆく。
・「会津と自然エネルギー」について、2011年の7月から、市民会議やシンポジウムなどで20回以上話し合いを重ね、議論を深めていった。
・福島県における会津(17市町村、23万人)の役割は何か。2013年2月、「会津自然エネルギー機構」を起ち上げ、啓蒙・調査研究などを行ってきたが、原発被災者が多く避難している会津地区でエネルギ―の自立を考えて行った。
・同年8月に「会津電力株式会社」を設立(喜多方市、社長は大和川酒造店の佐藤弥右衛門氏、27年度になって新たに4町が出資)。資金があればすぐにできるということで太陽光発電から入っていった。高さ2.5m(雪が積もることへの対応)、傾斜角度30度。
・現在では、木質バイオマスに重点を置くようになった。総合プランを作成しているが、先日、新エネルギー開発の森さんが言われたように、どれ位、木材を集められるかが最重要だ。そこで、きこりプロジェクトを推進している。実習(間伐、チェーンソー、ロープワーク、ワイヤワークなど)を行っているが、今後、きこりライセンス、賃金体系と福祉の充実、技術の伝承と学校づくりが課題だ。
・福島県の会津だからこそ世界のエネルギー問題に巻き込まれない地域づくりをめざしたい。会津電力による自然エネルギー事業の取組は、分散ネットワーク型の社会や文化を作っていくことである。「コミュニティパワー国際会議2014in福島」で、コミュニティパワー三原則を打ち出した((1)地域の利害関係者がプロジェクトの大半を所有、(2)プロジェクトの意思決定はコミュニティに基礎を置く組織によって行われる、(3)社会的・経済的便益の多数は地域に分配される)。
・復興・再生などと言葉とカネが躍る中、自分たちの力を信じ、地域の持っている知財、人財を活用して、地域が自由で機能する持続可能なシステムを見つけ出し、次の世代につなげる地域の青写真をつくらなければならない。

ふくしま勉強会1

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 講演の最後は、IFCJエコライフラボ事業統括責任者のオスカー・バルテンシュタイン氏より、「エコ村の小型木質バイオマス熱電併給プラントの事例紹介とふくしまの森林除染に対して考えていること」のテーマで、苗代湖畔江湖村の小型木質バイオマス熱電併給プラントの事例紹介や、福島の森林除染についてスピーチがありました。

 バルテンシュタイン氏の講演の概要です。
・福島の森林除染は、一般人が解決すべき問題ではない。原発汚染は福島より日本国の問題だ。政府が約束通り責任をもってやれば良い。
・地震・津波は自然災害で発生を防げないから避難訓練が理解できる。原発事故の発生は原発を止めるだけで完全に防げる。国民を人災から避難訓練させる政府のありかたは理解できない。我々エンジニアーが原発に代わる新しい技術があると説明する責任がある。
・日本は、中央管理国家の政策で「脱先進国宣言」をした。1978年、オーストリアは国民投票で最後の原発を止めた。その結果、バイオマスの技術、自然エネルギー利用の最先端の国になった。
・弊社のお客様は江湖村で、50kW弱の小型ガス化発電を実施している。熱100kWで、地域暖房や農業に供給もしている。

 第2部は、福島県内で再エネビジネスを手掛ける事業者のコメントの後、第1部の講師も交えて、参加者との意見交換が行われました。

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 いわき市のクレハ環境株式会社環境技術本部長付の百瀬克氏は、同社の取り組みや福島県・いわき市のバイオマス資源量などについてコメントされました。
・クレハ環境はいわき市にある。元々は廃棄物処理事業を行ってきた。がれき処理も行っているが、廃棄物について、1,000ベクレル以上は受け入れていない。
・最近、森林資源・木質バイオマス利用に関心を持ち出した。林地残材(平成22年)とバイオマス利用目標量(平成32年)とを比較すると、日本2,000万m3/年:600万m3/年、福島県74万m3/年:84万m3/年、いわき市14万m3/年:17万m3/年となっており、福島県やいわき市での利用目標は相対的に大きなものがある。

ふくしま勉強会1

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 郡山チップ工業株式会社代表取締役会長の大内正年氏は、豊富な資料を元に、福島で事業展開を行っていく上での留意点など現場を知る人ならでの貴重なお話とコメントをされました。
・バイオマス発電について、現在福島県内で計画中が3件(飯館村、南相馬市、川内町)、構想中が1件(田村市)。
・郡山チップ工業は、「阿武隈・八溝木質バイオマス協議会」及び「田村森林組合」に参加している。塙町バイオマス発電所計画にも取り組んでいるが、燃料調達の広域化、住民の反対(放射能問題に対して)等への対応が課題となっている。
・福島の復興には森林・バイオマスの活用が欠かせないが、行政が計画して推し進めるのではなく、地域住民の合意を得ながら民間が進めて行くほうが良いと思っている。

ふくしま勉強会1

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 福島では、3.11地震・津波災害に加えて原発事故による影響がいまも強く続いていますが、除染と復旧がまだ終わってないことや風評被害などの厳しい現実があります。その中で、森林・バイオマス資源の活用は復興と結びついた大きなテーマですが、木質バイオマス発電所が稼働している会津地方と、森林除染に手が着けられない浜通り・中通り地方では、取り組み方が全く異なることを改めて確認しました。
 鮫川村の焼却炉事故をきっかけに、放射性物質が濃縮される焼却灰処理への住民の不安が高まり、ゴミ焼却施設の建設反対運動となって塙町などのバイオマス発電の計画がとん挫した現実があることもよくわかりました。

 意見交換では、ふくしまについての認識、考えに参加者間で違いがあるように見えましたが、再生可能エネルギー活用で地域活性化に取り組む南相馬の団体の方から、ソーラーシェアリング事業を行っているがいつか森林・バイオマスに取り組むために今から勉強したいとの発言が印象的でした。
 最後に、ご出演の皆様からまとめを一言ずついただいて、勉強会は終了しました。

ふくしま勉強会1

 アンケートに、多くの回答をいただきました。
 第1部の志賀氏の講演に対して、「南相馬市の現状がよくわかり参考になりました。民間の動きや汚染された木の処理について詳しく聞きたい」、「まだまだ復興が進んでいないという印象を受けた。その中でも太陽光発電を活用し事業を進めてゆき、2030年度には再生可能エネルギー発電量100%を目指すという大きな目標をかかげている事は是非とも成功させほしい」、「原発事故の教訓を生かした南相馬市の再生可能エネ100%発電計画報告には感動した」、「非常に高い理念的な所を感じ、ソロバン勘定をしてしまう自分に疑問を感じた」などのご意見がありました。

 同じく、金澤氏の講演には、「地域の自立を推進して行く上で、エネルギーを地域資源活用した自給推進構想の報告は大変よかった」、「木こりプロジェクトには賛同いたします」、「福島の水力発電は是非期待したい」、「独立した活動、運用形態をもって会津の再生を行うというのはとても素晴らしい考えだが、実際には資金や人材の不足で困難である。福島会議での20代女性の言葉は、自身の立場や状況に対する葛藤や今後の不安、真摯な思いが良く伝わってきた」、「地産地消の考え方には基本的に賛同しますが、BOTスキームの様に大企業の資金をうまく活用するのも一案と思います」などのご意見、ご提案がありました。

 バルテンシュタイン氏には、「『福島の放射能問題は、その県のみで考えるのではなく国全体の問題として考えるべきである』という発言には大いに共感できる」、「灰の処理は国の責任かというポイントは重要と再確認しました」、「原発事故の責任追及と再生可能エネ普及推進の姿勢に心打たれた」、「視点が外国からのものでおもしろかった。民主主義と総理大臣のくだりがよかった」などのご意見が寄せられました。

 第2部のコメントと意見交換に関しては、「かなり混沌としている状況が、福島で続いていることがよくわかりました」、「焼きゃく灰からセシウムを分離する技術には大変興味がありますので、改めてお話ししていただければ」などのご感想、ご希望がありました。

 勉強会全体に対しては、「南相馬市の意欲的な再生可能エネ100%計画を励ますよい機会となったと思う」、「福島県の各自治体がそれぞれガンバッテいるのがわかり、これからどのように関っていくか考えたい」、「福島の汚染材の実態について知らなかったがショッキングな話であった」、「森林・バイオマス活用への取り組みが会津から南相馬まで広がる時期が来ることを期待します」などのご意見がありました。

 今後やってほしい勉強会のテーマはの質問に、「汚染された灰の処理の動向」、「林業全体の詳細、C材よりD材が高くなっている?A材、B材の需要について」、「林業の担い手育成について」、「中規模以下の木質バイオマスボイラーを特集して」、「バイオマス農林3号とフィンランド製ガス代発電」などのご希望がありました。

ふくしま勉強会1

 勉強会後の交流会では、「国がビジョンを示さない中で森林が放置されている」、「原発事故の原因究明が不完全で誰も責任を取らないままというのが復興が遅れる本当の原因ではないか」、「原発災害を忘れようという風潮も感じられる」、「会津電力に続いて飯館電力を作った。浜通りの再エネ事業にも取り組む必要があると思っている」、「バイオマスは発電だけでなく熱利用も重要。汚染された森林に手を付けられるのは何十年先になるかわからないが、バイオマスの熱利用などが進むことで地元の理解が得られると良い」、「熱意ある地元の人々の手によって森林除染への取り組みが近い将来始まることを期待したい」などの意見もありました。


 ふくしま復興を取り上げた今回の勉強会ですが、「森林・バイオマス」のテーマはやはり重かったと言えます。対立点が顕れてもおかしくない意見交換も不発に終わりましたが、同じ県内でも会津地方と浜通り・中通り地方では森林・バイオマス活用の前提に大きな格差があることを参加者に知ってもらうだけでも開催した意味はあったのではと思います。
 福島県外から応援・支援の活動を続けている方々や、これから福島での事業に取り組むという会社の方などの参加もありました。
 木質バイオマスを除く自然・再エネ事業が広く進められているなど、福島の現実は一様ではありません。現状を詳しく知る情報が身近に十分あるとは言えない中で、もっともっと事実を知る必要があると思いました。知る努力、関わる努力をこれからも積み重ねていくことが大切と思います。

 5月29日開催予定の ふくしま勉強会2「ふくしま南相馬の暮らし、農林業のいま」もよろしくお願いします。
 ご出演の講師並びにコメンテーターの皆様、ご参加の皆様、まことにありがとうございました。

■参考
 →12月2日「ふくしまの現在(いま)を考える」ミニ勉強会等の報告
 →ふくしま復興フォーラム2 (2011年9月19日開催)
 →ふくしま復興フォーラム1 (2011年9月5日開催)
Posted by NPO農都会議 at 23:19 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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