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11月10日「林業の成長産業化」勉強会の報告[2014年11月14日(Fri)]
 農都地域部会とバイオマス発電事業化促進ワーキンググループ(WG)は、11月10日(月)、経過報告会に続いて、「林業の成長産業化」勉強会を共同で開催しました。
 →イベント案内

11月部会・WG共同勉強会

 会場の港区神明いきいきプラザに74名の参加者が集まりました。
 勉強会は、「林業の成長産業化 ―森林資源を活用した農山村の雇用・所得の創出―」のテーマで行われ、講師は、林野庁林政部林政課長の野津山喜晴氏と、林野庁林政部木材利用課長の吉田誠氏のお二人でした。

11月部会・WG共同勉強会

 冒頭、三菱商事株式会社環境エネルギー政策担当・WGアドバイザーの澤一誠氏からご挨拶がありました。
 講演では、野津山氏は、「林業の成長産業化に向けて 〜森林資源のフル活用による山村の雇用・所得の創出」と題して、政府の成長戦略における林業・木材産業の位置付け、林業の成長産業化による地方創生、国産材の安定供給体制の構築に向けた国有林の取組についてお話をされました。
 森林・林業・木材産業の現状と課題では、林業生産と経営、木材需給、価格・流通、CLT、林業女子についてなどの説明がありました。また、これからの取り組みとして、木質バイオマス・木材利用の促進、低コスト・高効率な作業システムの構築、人材育成などのお話もありました。

 →野津山喜晴氏プレゼン資料(PDF)

 野津山氏の講演要旨を記します。
(1)「日本再興戦略」(平成26年6月24日閣議決定)に「林業の成長産業化」を明記。材価は下がったが、その分国産材の供給量や自給率が上昇。木材輸出も増加。新たな木材需要を生み出すことが最も重要。その上で、需要にマッチする国産材の供給体制をつくる、即ち木材の需要と供給をつなぐバリューチェーンを構築していく。具体策として以下の様な施策を推進すべく林野庁が取組んでいる。
・国産材CLT(クロス・ラミネイテッド・ティンバー:直交集成材)の普及:50万m3、700億円/年、8800人雇用創出
・FIT(固定価格買取制度)を活用した木質バイオマスによる地域密着型の小規模発電や熱利用との組合せによるエネルギー利用促進
・木材輸出の促進(中国、韓国、台湾等)
・土木分野の木材利用促進(型枠、木杭等)
・セルロースナノファイバー(超微細植物結晶繊維)等マテリアル利用の促進
・国産材消費:1,800万m3(2009年)を3,900万m3(2020年)へ拡大
・間伐の促進:2013〜2020年の間、毎年52万ha。CO2森林吸収量:2.8% 以上確保
(2)日本は国土(3,779万ha)の2/3が森林(2,508万ha)で、スギ、ヒノキ等人工林の蓄積量は49億m3。46〜50年生以上の森林が51%を占めるので正に切り時。計算上は年間8千万m3の木材需要を利子(資源増加量)でまかなえる状況。
(3)近年林業に従事する女性(林業女子)の人口が3千人を超えた。林野庁も支援して全国でネットワーク化を図っている。

11月部会・WG共同勉強会

 続いて、吉田氏は、「木質バイオマスの活用による地域活性化の促進」と題して、人工林の現状や木質バイオマス利用の推進、再生可能エネルギー特措法の概要、FITの調達区分と該当する木質バイオマス・種類別の設備認定状況などのお話をされました。
 バイオマス発電所の事例や熱利用の事例、コジェネの事例、支援制度、次世代施設園芸の木質バイオマス利用など、多くの具体的な説明もありました。

 →吉田誠氏プレゼン資料(PDF)

 吉田氏の講演要旨を記します。
(1)現在、間伐材が毎年2千万m3づつ発生しているが、この未利用の資源は宝の山。この活用が喫緊の重要課題である。
(2)この活用方法の一つの選択肢として、近年FITを利用したバイオマス発電の推進を林野庁は積極的に支援している。
(3)バイオマス発電は、太陽光・風力発電とは違い、安定電源であると同時に、地域に富が還元される。(経済・雇用効果大)
(4)現在、未利用間伐材を年間2万トン以上使用する専焼発電は、計画段階を含め35件。内以下5件が既に稼働中。
・グリーン発電会津(福島県会津若松市) 5,000kW
・グリーン発電大分(大分県日田市) 5,000kW
・ウッティかわい(岩手県宮古市) 5,000kW
・三重エネウッド(三重県松坂市) 5,800kW
・真庭バイオマス発電(岡山県真庭市) 10,000kW
(5)キーポイントは木質バイオマスの収集である。5000kWの専焼発電案件では年間6万トン程度のチップを消費するので、年間10万m3程度を半径50km圏内くらいの範囲から収集するが、これが可能な立地は限られる。
現実的な集荷は精々半径20km圏内くらいからが妥当なので、2000kW程度の小規模案件も推進する必要がある。
(6)又、発電のみならず、バイオマスの本来の利用用途として世界的には主流である熱利用の促進を図ることが必要である。この熱利用を併用する「熱電併給」を行なった場合には、通常の蒸気タービン変換率20%程度が80〜90%迄上がる。
国内熱利用事例として、青森県八戸市の病院、山形県最上町老人保健施設、北海道下川町バイオマスタウン等を紹介。
今後、熱の安定的な利用先として、植物工場や温室等の次世代施設園芸の促進を農水省が支援している。

11月部会・WG共同勉強会

 限られた時間でしたが、活発な質疑と意見交換が行われました。
 アンケートへも、多数の参加者からご回答をいただきました。「林業について集約した説明で知らなかった情報もたくさんあり参考になった」、「林野庁の方向性が理解できたが、地域林業家が儲かる具体的施策が必要」、「森林所有者不明、境界不明などの具体策は?」、「自治体の実態について把握されると良いと思います」、「全国の林業従事者5万人は少な過ぎ、年収100万円の若者1千万人の活用を国は考えて欲しい」、「女性というよりも、弱力で作業できるものが求められている」、「バイオマス発電の増加が林業の発展にリンクしなければ、持続的に原料供給することは難しい」等々のご意見・ご提案がありました。今後の参考とさせていただきたいと思います。

11月部会・WG共同勉強会

 今回、講師のお二人から、政府(林野庁)が考える「林業成長化」へ向けての総合的な説明をいただき、バイオマス活用の具体化へ一層の理解が深まったと思います。
 講師の皆様並びにご参加の皆様、誠にありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 04:46 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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