
11月10日第2回経過報告会の報告[2014年11月13日(Thu)]
バイオマス発電事業化促進WGは、11月10日(月)夕、提言に関するいままでの活動経過を報告し年内提出予定の第3次提言について考える「WG経過報告会」を、昨年に続いて開催しました。
参加は、バイオマスWGメンバーの56名でした。
まず、木村WG座長より、「第3次提言(第1次案)」の提案と内容の説明が次のようにありました。
参加は、バイオマスWGメンバーの56名でした。
まず、木村WG座長より、「第3次提言(第1次案)」の提案と内容の説明が次のようにありました。
・いままでの勉強会、意見交換会等の結果やMLでのご意見を踏まえ、提言は7項目(再エネ目標と主な実現方策、焼却灰の処分・利用と用途開発、送電網の利用促進、FIT:木質バイオマスについての規模別区分の導入、木材証明ガイドラインの運用の円滑化、石炭混焼の促進、間伐材等の伐採・搬出方法の改善)と、今後の検討課題を2項目(“エネルギー協同組合”への取組の強化、熱電併給・熱供給事業の評価)等としている。
・論点としては、(1)「規模別区分」導入を前提とするが、導入の考え方は如何か(エネ庁新エネ小委へのJORAの資料等、参照)、(2)「輸入材に関する木材証明ガイドラインの運用改善」については、現在の仕組みや運用の実状がまだ不明、(3)「伐採・搬出の改善」において、「人材確保・育成」のための外国人技能実習制度との連携可能性などがあり、本日のご議論も踏まえ、対応していきたい。
→木村座長の「第3次提言(第1次案)」資料(PDF)
続いて、提言検討の経過報告が、各報告者によって行われました。
WGアドバイザーの澤氏は、「FITによるバイオマス発電の推進」のテーマで、(1)再エネ導入目標、(2)バイオマス発電のメリット・ディメリット、バイオマス発電の各種方式、ガス化炉の方式別比較、(3)バイオマス混焼発電のメリットと課題、TorrefactionPelletのメリット、(4)木質バイオマス発電の形態別・規模別での状況分析・予測等の報告をされました。
→澤氏の報告資料(PDF)
同じく、アドバイザーの山家氏より、「送電網の利用促進」について、「運用(再エネの優先接続・給電、系統双方向利用等)と増強(設備投資をして容量を拡大する)の2つの話があり、『増強しないと容量不足で接続保留』というのは理由にならない。ヨーロッパでは、再エネの優先接続・優先給電および送配電会社の増強義務が徹底している。送配電会社の完全かつ前倒しの分離が必要」等の報告がありました。
アドバイザーの竹林氏は、「規模別区分の設定」について、「(1)木質バイオマスは、人手の要らない気候任せの自然エネルギーとは異なり、労働と資本を要し、燃料費用が発生する。本来はFITと別の論議が必要。(2)小規模は割高、しかし導入がしやすい『地域創生型』であり、バイオマスにも規模別価格を設定する必要がある。エネ庁・林野庁で調整が行われているが、1,000kW以下の規模で、37〜41円/kWhと推測している。この価格適用には、熱利用(CHP、コジェネ)が原則の模様。(3)木質バイオマスエネルギー利用における熱の取り扱いについてもいろいろ検討の要がある」等の報告をされました。
→竹林氏の報告資料(PDF)
7月勉強会の講師の守谷氏(東京製綱)からは、「未利用材の伐採・搬出方法の改善」のテーマで、「集材架線の生産性向上への取組については、(1)生産性向上対策として、集約化(団地化)、先進機械の導入、新しい工法の開発がある。(2)機械化による新システムの効果を、短距離・中距離・中長距離別に分析。特に大規模搬出間伐『H型架線集材』として、とされいほくの生産性の推移に注目。(3)新しい工法の開発では、H型架線、コレクター式架線に注目」等の報告がありました。
→守谷氏の報告資料(PDF)
WG運営委員の米谷氏は、「集材コストの引下げについては、10年以上前から取り組まれている。当初は車両方式、しかし、急峻な地域では困難とのことで、数年前から、かつて行われていた架線系も検討。しかし、架線を張ることは、コストもかかり大変、危険でもある。そこで、『NPO等でも、安くて、安全に出来る方式を』ということで、Kシステム(チェーン方式)を考え出し、改善・普及に努めている」等の報告をされました。
また、会員の黒川氏作成の「再エネ・バイオマスのマクロ・データ」資料の配布もありました。
→黒川氏の配布資料(PDF)
その後、質疑と意見交換が活発に行われ、現在一般の耳目を集めている送電網の利用促進に関して、「発送電分離が、きちんと行われるのか」などの議論もあり、今後のWGの提言等でも対応していくことが確認されました。
最後に、木村座長より、「今後の進め方として、本日のご報告・論議を踏まえ、第3次提言の『第2次案』を作成するので、また、いろいろとご意見をいただきたい。提言は月内にも取りまとめ、関係方面へ提出したい」との話がありました。
アンケートでは、「欧米と日本の発電事業者の違いが根本的という説明がわかりやすかった」、「持続的供給に不安がある木質バイオマスの問題点についての切り込んだ議論が不足」、「バイオマス熱発電を普及させる為には、国産材を豊富に使用した建築市場の創造が不可欠」、「焼却灰の処分・再利用と用途開発について国の積極的取組みを提言に含めてほしい」など、多数のご意見、ご提案をいただきました。今後の参考とさせていただきます。
ご報告の皆様、ご参加の皆様、貴重なご報告と真摯で活発なご意見の交換をありがとうございました。
→11月26日WG経過報告会の報告(2013年)
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