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みなかみフィールドワーク「熊崎実先生講演と林材おろし実習」の報告[2014年09月04日(Thu)]
 農都地域部会とバイオマス発電事業化促進ワーキンググループ(WG)は共同で、8月30日・31日の二日間、群馬県内でフィールドワークを行いました。
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みなかみ町フィールドワーク

 WGとして4回目となるフィールドワークは、再生可能エネルギーを活用して地域づくりを進める「みなかみ地域エネルギー推進協議会」が開催する連続学習会(第6回最終回)に参加する形で行われ、部会・WGから二日間で延20数名が参加しました。
1日目
 8月30日(土)は、みなかみ町公民館で、群馬県内を中心に50名弱が参加して、「林業再生、生きる道」学習会が開催されました。

みなかみ町フィールドワーク

 みなかみ地域エネルギー推進協議会の河合進会長の「災害対策としても林業は重要」などのご挨拶の後、みなかみ町環境政策室林室長より、町の概要の説明がありました。
 町内の主要産業は観光であり、年間400万人超が訪れ(宿泊は110万人)、消費額は約200億円。農業は、畜産、野菜、果樹等で約35億円(林業はここに含まれる)。町の特色の一つに企業連携がある。平成20年にみなかみ・水・「環境力」宣言を行い、森と水を守る推進プランを進めているなどのお話の他、友好都市の説明もありました。

みなかみ町フィールドワーク

 続いて、筑波大学名誉教授で日本木質ペレット協会会長の熊崎実氏による講演「木質バイオマスによる地域興しの視点」と質疑等が行われました。熊崎氏の講演要旨は次の通りです。

○IEAの2013年公表の「世界の長期エネルギー見通し」によると、(1)一次エネルギーの供給源別では、石油・石炭・天然ガスのウェイトは、2010年81.1%に対し、2035年75.5%と低下(それでも天然ガスの増加により、4分の3を占める)、バイオマスのウェイトは、2010年10.0%に対し、2015年10.9%と微増(Mtoeでは1.42倍)、原子力は、それぞれ5.7%、6.6%、その他の再エネはそれぞれ3.2%、7.0%となっている。(2)バイオマスエネルギーの仕向け先では、OECD加盟国では、発電のウェイトが高いが、非OECD加盟国では、旧来の建築物向け(暖房用等)が高い。

○日独等比較すると、(1)木質エネルギーの一次エネルギー総供給に占める比率を見ると、ドイツ4.3%、フランス3.6%に対し、日本1%となっている(2011年)。他方、人口あたり森林蓄積は、それぞれ42m3/人、42m3/人、47m3/人と大差ない。(2)森林1ha当たりの木材生産量(2006〜10年平均 m3/ha/年)は、ドイツ5.36、オーストリア4.98、フランス3.39に対し、日本は0.69となっている。かつては、フランス並みだったが、大きく低下している。(3)木質原料の仕向け先を見ると、ドイツは、1987年から2007年までは、マテリアル利用がエネルギー利用を大きく上回っていたが、この間エネルギー利用が増大を続け、2009年過ぎから逆転している。日本の場合、立木伐採材積の80年間の推移をみると、戦前は「薪炭材」向けが圧倒的に多かったが、戦後、「用材」向けが増大し、1970年過ぎからは「用材」向けのみとなり、その減少が続いている。(4)日本とドイツの森林資源基盤を見ると、森林面積・森林蓄積とも日本がドイツを上回るが、路網密度(m/ha)は、日本19、ドイツ118と圧倒的な差がある。

みなかみ町フィールドワーク

○ドイツの事情は、(1)FIT対応木質バイオマス発電を規模別に見ると、初期(2000年以降数年)は、500kW以上が多かったが、ここ数年は、150kW以下が多くなっている。(2)また、発電方式別に見ると、初期は、蒸気タービンが多かったが、ここ数年は、ORCタービン(数百〜1,000kW)、ガスエンジン(500〜2,000kW)が急増している。(3)固形バイオマスを用いた発電コスト(ユーロセント/kWh)は、熱供給を含む費用の合計は、30kWガス化27.6,1,000kWORC29.6,4,000kW蒸気24.0、また、熱収入を考慮した発電コストは、30kWガス化19.7,1,000kWORC19.3,4,000kW蒸気15.6となっている。

○日本の事情は、(1)新設が予想されるFIT対応発電プラントは、現在、93件に上る。運転開始(予定)時期は、2015年が32件、2014年・2016年が各12件、不明31件などとなっている。出力規模別では、3〜6MWが30件を超える。(2)木質バイオマスの直接燃焼による発電コストは、木エネ協議会報告書(平26.3)によれば、出力4.8MW、発電効率26%、燃料単価11.5千円/t、発電方式:国内流動床燃焼前提で25〜30円とされる。

○木質エネルギー政策は、再エネ推進の視点からすれば、地球温暖化の防止(CO2の削減)、エネルギー安全保障、中山間地の振興ということになるが、特に地域振興(エネルギーの自立、雇用の拡大)が重要と考える。かつて、木質燃料は、中山間地の重要なエネルギー源だったが、「燃料革命」により、石油に代替された。中欧では、21世紀に入って、「燃料革命」とは逆の、化石燃料を木質燃料で置き換える「エネルギー転換」(Energiewende)が始まっている。この主要な舞台は、都市ではなく、有利な条件に恵まれる中山間地である。

みなかみ町フィールドワーク

みなかみ町フィールドワーク

 講演終了後、湯宿温泉で交流会が行われました。

2日目
 31日(日)は、朝から、「誰にでもできる間伐材の搬出方法」実習が行われ、約30名が参加しました。講師は、酒井千富氏をはじめ「桜山きづきの森」の方々でした。

みなかみ町フィールドワーク

みなかみ町フィールドワーク

 あいにくの雨模様でしたが、湯宿温泉地内の杉林を会場に、実習は行われました。
 まず、手ごろな木の数メートル上に索具を固定して起点を作り、降ろす又は引き上げる材をロープで結び、立木に固定した小型のエンジンウィンチを動力源にして牽引します。方向転換するにはコーナーブロック等の器具を使います。
 間伐が行われても、伐採された木材の多くは山林に放置されてることが多く、それをバイオマスエネルギーとして利用するには、地域の人々の手で簡便に山から降ろすことが課題となっています。

みなかみ町フィールドワーク

みなかみ町フィールドワーク

 桜山きづきの森グループの搬出方法は、牽引ロープを使った誰にでもできる簡便なやり方です。最低二人が必要ですが、高価な機材を使わず、市民ボランティアに適した方法と思います。
 機能性に優れた輸入品を使っているとのことで、機材の入手方法と、注意事項として、森林を伐採する時には一か月前に届出が必要などの説明がありました。
 木材センターへ出荷できる太い部分は長さを切りそろえ、これにて、「森林資源を活用した『バイオマスエネルギー』みなかみの活性化を目指すための連続学習会」は終了となりました。

みなかみ町フィールドワーク

みなかみ町フィールドワーク

 今後、みなかみの協議会は、木質ペレットボイラー設置、熱電供給へ向けて具体的な調査を進めるとのこと。
 今回の学習会では、「日本は豊富な森林資源があるのに木を使わないのはなぜか? これからのエネルギー政策は地域振興の視点を持つことが大事。特に中山間地が重要であり、木質バイオマスを生かすため路網整備を進める政策、援助策が必要。群馬県北部の系統連携の問題(送電容量不足)は、政策の整合性ができてないということだ」との熊崎先生のお話が印象に残りました。
 講師の皆様並びにご参加の皆様、二日間大変お疲れ様でした。ありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 09:26 | フィールドワーク | この記事のURL | コメント(0)
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