7月26日「SDGsが目指したい社会とは?」勉強会の報告[2024年08月08日(Thu)]
NPO法人農都会議は、7月26日(金)夕、「SDGsが目指したい社会とは?」勉強会をオンライン・会員限定で開催しました。
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本勉強会は、SDGsの幅広いテーマをどなたにもわかりやすく解説することを意図して実施しました。農都会議宛てにご用命いただければ、SDGsに関心があるグループ(大小問わず)、職場、団体などへ講演にお伺いいたします。お気軽にご連絡ください(noutokaigi@gmail.com)、お待ちしております。
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第1部は、日本工業大学NIT-EMS本部長客員教授の雨宮隆氏より、「SDGsが目指したい社会とは?」のテーマで講演がありました。
雨宮氏が講演で述べた要旨は次の通りです。
●SDGs(持続可能な開発目標)は、主に2030年までの時間軸で取り組むべき社会課題を明示し、2015年の国連総会で採択された世界共通の目標である。
貧困、飢餓、健康、教育、ジェンダー平等、水と衛生、エネルギー、働きがい、産業と技術革新、不平等、持続可能な都市、資源循環、気候変動、海洋、陸の豊かさ、平和と公正、パートナーシップの17の目標で構成されている。
●SDGsが目指しているのは、以下のような社会の実現である。
1.誰もが豊かに暮らせる社会: 貧困や飢餓をなくし、すべての人が健康で文化的な生活を送れる社会す。
2.多様性を尊重する社会: 年齢、性別、地域、言語など、あらゆる違いを認め合い、尊重し合う社会。
3.持続可能な経済成長: 環境に配慮しながら経済成長を実現し、社会課題を解決している社会。
4.平和で公正な社会: 紛争をなくし、人々が安心して暮らせる社会。
●SDGsの目標と、具体的な取り組みの事例を17項目にわたって紹介した。大くくりにまとめると以下のようになる。
貧困対策: 子供の貧困、高齢者の貧困など、様々な貧困問題への対策
食料問題: 食料の安定供給、食料ロス削減、持続可能な農業
健康問題: 医療の平等なアクセス、精神保健の充実、健康寿命の延伸
教育問題: 質の高い教育の提供、ジェンダーギャップの解消
環境問題: 気候変動対策、海洋プラスチック問題、生物多様性保全
経済問題: 働きがいのある仕事、持続可能な産業、技術革新
●日本のSDGs実績の状況: 2024年段階で日本のSDGsの進捗度は16%であり、まだ課題も多い。特に、ジェンダー平等、消費と生産、気候変動対策、海洋、陸の豊かさ(生物多様性保全)などのテーマで深刻な課題が残っているとされている。
●私たちにできること: SDGsは、国や企業だけでなく、私たち一人ひとりができることから始めることができる。簡単に言えば「社会性のある良いこと」をすることは、SDGsのどれかに当てはまるはず。それぞれの事情、特色に合うテーマで活動すればよい。SDGsは、私たちがより良い未来を築くための羅針盤といえる。
第2部ディスカッションでは、参加者全員から発言があり、活発な意見交換が行われました。主なものを記します。
・国際的なSDGs貢献の代表例として、2019年にアフガニスタンで亡くなった中村哲さんの現地支援活動についての詳しい紹介がされた。
・日本への評価でSDGs2番「飢餓(及び農業)」の評価が低いのは意外だが、その原因は食料自給率が低く、また化学肥料を全面的に輸入に頼っていることにあると理解され、有機農業の重要性があらためて再認識された。
・SDGsの語句のうち「development」は「開発」優先に感じられ、本来SDGsの目指す社会にそぐわないのではないかとの意見もあり、経済成長を重視することへの疑問および一定レベルに制限すべきとの意見が提示された。
・これに対し、経済成長の価値観はお金中心の過去のとらえ方から変化しており、人間の活動の集大成の指標として無限に成長していくものととらえるのが相応しいとの意見もあった。
・IPCCの次期27年特別報告書では脱炭素における都市問題がテーマに入ったとの情報が提供された。
今回は10数名の参加者がありました。講演では丁寧な説明があり、ディスカッションでは多くの質問と意見があり、上記のような議論へ及びました。
講師並びにご参加の皆様へ心より感謝いたします。
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