11月14日「バイオマスアカデミー第7回 オープンセミナー」の報告[2022年12月30日(Fri)]
NPO法人農都会議 バイオマスアカデミーは、11月14日(月)夕、「バイオマスアカデミー再エネ熱普及セミナー『バイオマス熱利用の拡大の道筋、温水ボイラー分科会から提案』」をオンラインで開催しました。
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今回は、2021年4月に続く2回目の「オープンセミナー」でした。バイオマスアカデミーとして2年半ぶりの勉強会となりましたが、100名余の参加者があり、バイオマス熱利用への関心が非常に高いことが示されたと思います。アカデミー事務局からの報告と提案に続いて、講演とディスカッションが行われました。
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今回は、2021年4月に続く2回目の「オープンセミナー」でした。バイオマスアカデミーとして2年半ぶりの勉強会となりましたが、100名余の参加者があり、バイオマス熱利用への関心が非常に高いことが示されたと思います。アカデミー事務局からの報告と提案に続いて、講演とディスカッションが行われました。
開会にあたって農都会議の杉浦英世代表理事がご挨拶し、丸山智也運営委員が司会進行を務めました。
第1部は、NPO法人農都会議の山本登事務局長より、「『木質バイオマス熱利用の本格的な普及拡大に向けて、化石燃料ボイラーからの脱却』バイオマスアカデミー活動の最新状況」の報告がありました。
山本登事務局長は、2019年9月に設立したバイオマスアカデミーのバイオマス熱利用活動について説明し、「この間、『バイオマス熱利用理論と実践』書籍を発刊し、政策提言を行っている。また、ベストプラクティス研究会を発足させ、温水ボイラー(小型)と蒸気ボイラー(大型)に別れて各々10数名のメンバーで隔月に分科会を開き、意欲的に取組んでいる。今回のオープン・セミナーはその活動の一環だ」と述べました。
また、それぞれの分科会の活動とベストプラクティス研究会の参加メンバーを紹介を行いました。
続いて、熱エネルギー利用技術デザイン代表、元神鋼リサーチ株式会社代表取締役、バイオマスアカデミー幹事の黒坂俊雄氏より、「バイオマス温水ボイラー接続マニュアル、申請書の提案 〜ベストプラクティス研究会 温水分科会の活動の報告」のテーマで講演がありました。
黒坂氏は、今後のバイオマスボイラーの方向性を示すものとして従来のバイオマス熱利用報告とは異なる技術説明とエンジニアリングを中心としたお話をされました。
黒坂氏の講演の論点を記します。
(1) ベストプラクティスの必要性
・ 温水ボイラー普及拡大に向けて、何故ベストプラクティスか
・ バイオマスボイラー導入の事業性の特徴
・ バイオマスボイラーの技術的特徴
(2) ベストプラクティス接続マニュアルと申請書の提案
・ ベストプラクティスで何をしたいか
・ 接続マニュアルの内容
・ 申請書のイメージ
(3) 今後の進め方
ベストプラクティスの優良事例の募集を行い、今後導入を検討するユーザーから事業性を示すデータと共に優良事例が見える状態にする。
・ 稼働率、依存率、熱効率、電気使用量の目標値については、高性能だが十分達成可能
・ 応募書類のチェックリストを簡素化する
・ 技術資料となる接続マニュアルは、もっと分かり易くするなど内容を見直す必要がある
また、応募書類作成のためのチェックリストだけでなく、他の有効活用法についても検討する。
第2部は、最初に、一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会(JWBA)顧問の加藤鐵夫氏より、「木質バイオマス熱利用(温水)計画実施マニュアルの刊行『木質バイオマス熱利用(温水)の新たな展開』」のテーマで講演がありました。
加藤氏は、8月に発刊された『木質バイオマス熱利用(温水)計画実施マニュアル』(以下「マニュアル」と略す、基本編と実行編の2冊あり)についても丁寧に説明されました。氏はマニュアル編纂の中心的役割を担ってこられました。
加藤氏の講演の概要を記します。
(1) バイオマス熱利用の主な論点
・ 欧州と日本の対応の違い
・ ボイラーの規制緩和
・ 石油ボイラーと木質ボイラーの違い
・ 我が国もバイオマス利用の問題点
(2) バイオマス熱利用テキストの歴史
この項ではバイオマスアカデミーで発刊された書籍『実務で使うバイオマス熱利用の理論と実践』も紹介されました。
・ マニュアル作成の当たっての留意点
・ 熱利用マニュアル技術研修会の開催
(3) マニュアルをどう使ってほしいか
・ コンサルや設計者が 実際に計画設計の概略について理解できるようにする
・ このマニュアルに沿って計画設計をした場合、これまでに比べて事業性が向上することが実感できるようにする
・ 基本的考え方のみならず、熱需要量の把握方法等、実際に取り組める内容を明らかにする
・ なぜそのようにしなければならないか、理由がわかるようにする
・ 守るべき事項や判断すべき事項についてはできるだけ基準化する
・ 想定対象は、発注者・メーカー・設計者・工事施工業者・コンサル・燃料供給業者・行政担当者等
次に、一般社団法人徳島地域エネルギー常務理事の羽里信和氏より、「神戸バイオマスラボの設立とバイオマスエネルギー革命をめざして」のテーマで講演がありました。羽里さんの論点は、経験に元づくものであり注目に値する。
羽里氏の講演の概要を記します。
(1) バイオマスラボの設立・紹介
・2022年徳島地域エネギーは、徳島県佐那河内村の山村に設置していたバイオマスラボを神戸市北区有野町の都市圏に移し、新たに営業所とともに建設して12月よりスタートする。
・従来の佐那河内ラボは1年間に約200人の研修実績があり、利便性を高めた神戸の地で木質バイオマス熱利用の日本全国へのさらなる普及を目指す。
・神戸バイマスラボは、以下の設備と機能を有する。
@木質バイオマスの実機による研修施設
A木質バイオマスの燃料試験施設
Bバイオマスボイラの全国部品倉庫と営業拠点
C燃料の乾燥機器の土場
Dメンテナンスの基準機械の再現環境
・別途宝塚の玉瀬にて、広葉樹チップの燃料を生産している。
(2) バイオマス熱利用は世界を救う
・忘れられている点として、発電は燃料チップの7割近くが熱で消えてしまう(大気中への放熱)。大変な森林資源の無駄である。EUでもバイオマス発電は今後座礁資産になっていく。大切なバイオマス資源を有効に使えるものはやはり熱利用である。
・解決策は次を考えている。
@一気通貫で熱利用を実証する:本法人は兵庫県と利用協定を結び、宝塚市西谷地区の広葉樹林(県有環境林)で環境に負担を掛けない燃料生産の実証を3年間行っている。NEDO事業で、1kg13円以内、従来の生産CO2を52%削減する。川上から川下まで1事業者が一貫して行える木質バイオマス熱利用の実証を行い、満天下にひろく広告し、日本のどこでも熱利用事業を行えるスキームを確立する。
Aコスト削減と事業性:何よりも事業性(採算性)がないと事業は行えない。都市剪定枝を含めて広葉樹林をカスケード利用し、移動式チッパを活用するなど、運搬や乾燥等にコストをかけない低コスト高品質の燃料生産を行う。
事業性はボイラーの地域での設置も含めて計算し、熱供給事業者への道も探っていきます。
B使いやすさ:化石燃料や電気と大差ない操作性が必要であるが、技術革新により、もうすでに電気以上の操作性を実現している。電源が急に切断された時も、電気が無くても安全に停止できる設備を備えている。
最後に、株式会社バイオマスアグリゲーション代表取締役社長の久木裕氏より、「地域主導のバイオマス熱利用の進め方〜長崎県対馬市での取組」のテーマで講演がありました。
久木氏の講演の概要を記します。
(1) 地域でバイオマス熱利用を進める上での課題
・ スキル・ノウハウの浸透不足(メーカー・コンサル・現場)
・ 普及のための市場展開ビジョン・政策ビジョン
・ 採算性の追求が不十分(設計段階・運用段階)
・ 主体性・本気度
・ 地域での普及の戦略性がない
・ コンサル・メーカーにお任せ、地域にノウハウが定着してない
(2) ESCO型事業のメリット
○需要家のメリット
・ 初期投資がない
・ 専門的な知識、スキルも特別な人員の配置や手間も必要ない
・ 原油価格の影響なく、エネルギーコストが安定する(安価になる)
・ CO2排出の削減が図れる、排出の削減が図れる、SDGsにも貢献
○地域目線でのメリット
・ 意欲ある民間の力で地域での広がりが期待、潜在的ユーザーも獲得
・ エネルギー会社がスキルアップし、基盤も強化されることでサービスの質が向上し、ユーザーの安心感とコストメリットのさらなる拡充が向上し、ユーザーの安心感とコストメリットのさらなる拡充
・ 新たな産業創出・雇用機会の創出
・ まとまった需要形成につながる可能性があり、チップ業者や地域林業にとってもビジネスとしての魅力向上とってもビジネスとしての魅力向上
(3) 公共施設に於けるバイオマスボイラー導入の課題
・ 専門性がないため、メーカー、コンサル任せの計画・設計で見積りも含めた妥当性が判断できない
・ 公共事業の積算のルールにより、建築・土木・設備工事費一体で割高
・ 担当者の異動、指定管理者の変更により、スキルが継承されない
第3部は、質疑応答と、「バイオマス熱利用の本格的普及拡大のために我々は何を実践すべきか?」をテーマにディスカッションが行われました。
質疑応答では、Zoomのチャット機能を通じてたくさんの質問があり、各講師から回答がありました。質問の一部を記します。
・森林の循環利用・建築材料利用・再造林についてはどのような戦略をお持ちでしょうか?
・広域の広葉林から樹木伐採して燃焼することにより、森林域の物質循環に狂いが生じることはありませんか?例えば、樹木再生力の低下とか。
・太陽熱温水器は夏なら70℃冬でも30℃のお湯が沸くのでバイオマスボイラとハイブリッドにすれば更なる効率化はできないでしょうか?
・燃やすことそのものがダメという意見があり、中小規模のものであってもバイオマスの利活用そのものが全否定されかねないと思います。このような論調が出始めていることに関して、どのように対処し、誤った認識が拡がらないようにすべきでしょうか?
・久木氏にお伺いします。補助金の条件で使用するバイオマスはFITのように未利用材であるとの制限や証明の条件がついているのでしょうか?

ディスカッションは、バイオマス熱利用の最新動向、問題点や課題の解決策などについて、熱心で活発な討議が行われました。
パネリストは、第1部・2部に登壇された加藤氏、羽里氏、久木氏、黒坂氏でした。モデレーターは、山本事務局長が務めました。
(1) バイオマス熱利用業界の変化について
最近になり、バイオマスボイラーの引き合いも多くなりゼロカーボンの影響がバイオマスボイラー業界にも出始めた。
(2) バイオマス関連の人材教育のあり方については、
JWBA、JORA、NPO法人農都会議のほか、民間業者でも人材教育がされるようになって来た。機を見て、これらの力を結集してバイオマス人材教育システムの検討を開始を望む声が多い。
(3) バイオマスボイラー工業会設立については、
現在バラバラともいえるバイオマスボイラーメーカー、コンサルタントの組織化については、賛同意見が多い。バイオマスアカデミーでは、その具体化に向けて取組んでいく予定である。
オープンセミナーの最後は、株式会社WBエナジー社長の梶山恵司氏が閉会の辞を述べられました。
今回も盛況な勉強会となり、バイオマス熱利用とベストプラクティスの重要性についての理解が一層進み、課題や今後について、多様な視点で深く考える、大変有意義な場の創成になったと思います。
アンケートには、大勢の皆さまから回答をいただきました。「バイオマスアカデミーの方向性を再確認できた」、「標準化、マニュアル化は非常に重要な取り組み、優良事例を集め広めることで安定した稼働を実現することが普及につながる」、「バイオマス熱利用を脱炭素と持続可能な地域内エネルギー自給を地域づくりと併せた形で実現したい、そのモデル的事例として全国数カ所で試みるような国の事業を考える時期にきている」、「広く国民・生活者層への理解の共有や促進が重要と感じる」、「最近のバイオマス懐疑論(バイオマスは石炭より悪い)をどのように受け止めてるか聞いてみたかった」、「率直に申し上げてシニア男性が多いのがこの業界の最大の危機ではないか、積極的に女性や若手を表に出していっていただきたい」などの他、たくさんの意見・提案がありました。同様の機会を改めて設けたいと考えます。
講師の皆さま並びにご参加の皆さま、誠にありがとうございました。
第1部は、NPO法人農都会議の山本登事務局長より、「『木質バイオマス熱利用の本格的な普及拡大に向けて、化石燃料ボイラーからの脱却』バイオマスアカデミー活動の最新状況」の報告がありました。
山本登事務局長は、2019年9月に設立したバイオマスアカデミーのバイオマス熱利用活動について説明し、「この間、『バイオマス熱利用理論と実践』書籍を発刊し、政策提言を行っている。また、ベストプラクティス研究会を発足させ、温水ボイラー(小型)と蒸気ボイラー(大型)に別れて各々10数名のメンバーで隔月に分科会を開き、意欲的に取組んでいる。今回のオープン・セミナーはその活動の一環だ」と述べました。
また、それぞれの分科会の活動とベストプラクティス研究会の参加メンバーを紹介を行いました。
続いて、熱エネルギー利用技術デザイン代表、元神鋼リサーチ株式会社代表取締役、バイオマスアカデミー幹事の黒坂俊雄氏より、「バイオマス温水ボイラー接続マニュアル、申請書の提案 〜ベストプラクティス研究会 温水分科会の活動の報告」のテーマで講演がありました。
黒坂氏は、今後のバイオマスボイラーの方向性を示すものとして従来のバイオマス熱利用報告とは異なる技術説明とエンジニアリングを中心としたお話をされました。
黒坂氏の講演の論点を記します。
(1) ベストプラクティスの必要性
・ 温水ボイラー普及拡大に向けて、何故ベストプラクティスか
・ バイオマスボイラー導入の事業性の特徴
・ バイオマスボイラーの技術的特徴
(2) ベストプラクティス接続マニュアルと申請書の提案
・ ベストプラクティスで何をしたいか
・ 接続マニュアルの内容
・ 申請書のイメージ
(3) 今後の進め方
ベストプラクティスの優良事例の募集を行い、今後導入を検討するユーザーから事業性を示すデータと共に優良事例が見える状態にする。
・ 稼働率、依存率、熱効率、電気使用量の目標値については、高性能だが十分達成可能
・ 応募書類のチェックリストを簡素化する
・ 技術資料となる接続マニュアルは、もっと分かり易くするなど内容を見直す必要がある
また、応募書類作成のためのチェックリストだけでなく、他の有効活用法についても検討する。
第2部は、最初に、一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会(JWBA)顧問の加藤鐵夫氏より、「木質バイオマス熱利用(温水)計画実施マニュアルの刊行『木質バイオマス熱利用(温水)の新たな展開』」のテーマで講演がありました。
加藤氏は、8月に発刊された『木質バイオマス熱利用(温水)計画実施マニュアル』(以下「マニュアル」と略す、基本編と実行編の2冊あり)についても丁寧に説明されました。氏はマニュアル編纂の中心的役割を担ってこられました。
加藤氏の講演の概要を記します。
(1) バイオマス熱利用の主な論点
・ 欧州と日本の対応の違い
・ ボイラーの規制緩和
・ 石油ボイラーと木質ボイラーの違い
・ 我が国もバイオマス利用の問題点
(2) バイオマス熱利用テキストの歴史
この項ではバイオマスアカデミーで発刊された書籍『実務で使うバイオマス熱利用の理論と実践』も紹介されました。
・ マニュアル作成の当たっての留意点
・ 熱利用マニュアル技術研修会の開催
(3) マニュアルをどう使ってほしいか
・ コンサルや設計者が 実際に計画設計の概略について理解できるようにする
・ このマニュアルに沿って計画設計をした場合、これまでに比べて事業性が向上することが実感できるようにする
・ 基本的考え方のみならず、熱需要量の把握方法等、実際に取り組める内容を明らかにする
・ なぜそのようにしなければならないか、理由がわかるようにする
・ 守るべき事項や判断すべき事項についてはできるだけ基準化する
・ 想定対象は、発注者・メーカー・設計者・工事施工業者・コンサル・燃料供給業者・行政担当者等
次に、一般社団法人徳島地域エネルギー常務理事の羽里信和氏より、「神戸バイオマスラボの設立とバイオマスエネルギー革命をめざして」のテーマで講演がありました。羽里さんの論点は、経験に元づくものであり注目に値する。
羽里氏の講演の概要を記します。
(1) バイオマスラボの設立・紹介
・2022年徳島地域エネギーは、徳島県佐那河内村の山村に設置していたバイオマスラボを神戸市北区有野町の都市圏に移し、新たに営業所とともに建設して12月よりスタートする。
・従来の佐那河内ラボは1年間に約200人の研修実績があり、利便性を高めた神戸の地で木質バイオマス熱利用の日本全国へのさらなる普及を目指す。
・神戸バイマスラボは、以下の設備と機能を有する。
@木質バイオマスの実機による研修施設
A木質バイオマスの燃料試験施設
Bバイオマスボイラの全国部品倉庫と営業拠点
C燃料の乾燥機器の土場
Dメンテナンスの基準機械の再現環境
・別途宝塚の玉瀬にて、広葉樹チップの燃料を生産している。
(2) バイオマス熱利用は世界を救う
・忘れられている点として、発電は燃料チップの7割近くが熱で消えてしまう(大気中への放熱)。大変な森林資源の無駄である。EUでもバイオマス発電は今後座礁資産になっていく。大切なバイオマス資源を有効に使えるものはやはり熱利用である。
・解決策は次を考えている。
@一気通貫で熱利用を実証する:本法人は兵庫県と利用協定を結び、宝塚市西谷地区の広葉樹林(県有環境林)で環境に負担を掛けない燃料生産の実証を3年間行っている。NEDO事業で、1kg13円以内、従来の生産CO2を52%削減する。川上から川下まで1事業者が一貫して行える木質バイオマス熱利用の実証を行い、満天下にひろく広告し、日本のどこでも熱利用事業を行えるスキームを確立する。
Aコスト削減と事業性:何よりも事業性(採算性)がないと事業は行えない。都市剪定枝を含めて広葉樹林をカスケード利用し、移動式チッパを活用するなど、運搬や乾燥等にコストをかけない低コスト高品質の燃料生産を行う。
事業性はボイラーの地域での設置も含めて計算し、熱供給事業者への道も探っていきます。
B使いやすさ:化石燃料や電気と大差ない操作性が必要であるが、技術革新により、もうすでに電気以上の操作性を実現している。電源が急に切断された時も、電気が無くても安全に停止できる設備を備えている。
最後に、株式会社バイオマスアグリゲーション代表取締役社長の久木裕氏より、「地域主導のバイオマス熱利用の進め方〜長崎県対馬市での取組」のテーマで講演がありました。
久木氏の講演の概要を記します。
(1) 地域でバイオマス熱利用を進める上での課題
・ スキル・ノウハウの浸透不足(メーカー・コンサル・現場)
・ 普及のための市場展開ビジョン・政策ビジョン
・ 採算性の追求が不十分(設計段階・運用段階)
・ 主体性・本気度
・ 地域での普及の戦略性がない
・ コンサル・メーカーにお任せ、地域にノウハウが定着してない
(2) ESCO型事業のメリット
○需要家のメリット
・ 初期投資がない
・ 専門的な知識、スキルも特別な人員の配置や手間も必要ない
・ 原油価格の影響なく、エネルギーコストが安定する(安価になる)
・ CO2排出の削減が図れる、排出の削減が図れる、SDGsにも貢献
○地域目線でのメリット
・ 意欲ある民間の力で地域での広がりが期待、潜在的ユーザーも獲得
・ エネルギー会社がスキルアップし、基盤も強化されることでサービスの質が向上し、ユーザーの安心感とコストメリットのさらなる拡充が向上し、ユーザーの安心感とコストメリットのさらなる拡充
・ 新たな産業創出・雇用機会の創出
・ まとまった需要形成につながる可能性があり、チップ業者や地域林業にとってもビジネスとしての魅力向上とってもビジネスとしての魅力向上
(3) 公共施設に於けるバイオマスボイラー導入の課題
・ 専門性がないため、メーカー、コンサル任せの計画・設計で見積りも含めた妥当性が判断できない
・ 公共事業の積算のルールにより、建築・土木・設備工事費一体で割高
・ 担当者の異動、指定管理者の変更により、スキルが継承されない
第3部は、質疑応答と、「バイオマス熱利用の本格的普及拡大のために我々は何を実践すべきか?」をテーマにディスカッションが行われました。
質疑応答では、Zoomのチャット機能を通じてたくさんの質問があり、各講師から回答がありました。質問の一部を記します。
・森林の循環利用・建築材料利用・再造林についてはどのような戦略をお持ちでしょうか?
・広域の広葉林から樹木伐採して燃焼することにより、森林域の物質循環に狂いが生じることはありませんか?例えば、樹木再生力の低下とか。
・太陽熱温水器は夏なら70℃冬でも30℃のお湯が沸くのでバイオマスボイラとハイブリッドにすれば更なる効率化はできないでしょうか?
・燃やすことそのものがダメという意見があり、中小規模のものであってもバイオマスの利活用そのものが全否定されかねないと思います。このような論調が出始めていることに関して、どのように対処し、誤った認識が拡がらないようにすべきでしょうか?
・久木氏にお伺いします。補助金の条件で使用するバイオマスはFITのように未利用材であるとの制限や証明の条件がついているのでしょうか?
ディスカッションは、バイオマス熱利用の最新動向、問題点や課題の解決策などについて、熱心で活発な討議が行われました。
パネリストは、第1部・2部に登壇された加藤氏、羽里氏、久木氏、黒坂氏でした。モデレーターは、山本事務局長が務めました。
(1) バイオマス熱利用業界の変化について
最近になり、バイオマスボイラーの引き合いも多くなりゼロカーボンの影響がバイオマスボイラー業界にも出始めた。
(2) バイオマス関連の人材教育のあり方については、
JWBA、JORA、NPO法人農都会議のほか、民間業者でも人材教育がされるようになって来た。機を見て、これらの力を結集してバイオマス人材教育システムの検討を開始を望む声が多い。
(3) バイオマスボイラー工業会設立については、
現在バラバラともいえるバイオマスボイラーメーカー、コンサルタントの組織化については、賛同意見が多い。バイオマスアカデミーでは、その具体化に向けて取組んでいく予定である。
オープンセミナーの最後は、株式会社WBエナジー社長の梶山恵司氏が閉会の辞を述べられました。
今回も盛況な勉強会となり、バイオマス熱利用とベストプラクティスの重要性についての理解が一層進み、課題や今後について、多様な視点で深く考える、大変有意義な場の創成になったと思います。
アンケートには、大勢の皆さまから回答をいただきました。「バイオマスアカデミーの方向性を再確認できた」、「標準化、マニュアル化は非常に重要な取り組み、優良事例を集め広めることで安定した稼働を実現することが普及につながる」、「バイオマス熱利用を脱炭素と持続可能な地域内エネルギー自給を地域づくりと併せた形で実現したい、そのモデル的事例として全国数カ所で試みるような国の事業を考える時期にきている」、「広く国民・生活者層への理解の共有や促進が重要と感じる」、「最近のバイオマス懐疑論(バイオマスは石炭より悪い)をどのように受け止めてるか聞いてみたかった」、「率直に申し上げてシニア男性が多いのがこの業界の最大の危機ではないか、積極的に女性や若手を表に出していっていただきたい」などの他、たくさんの意見・提案がありました。同様の機会を改めて設けたいと考えます。
講師の皆さま並びにご参加の皆さま、誠にありがとうございました。
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