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2月4日東邦大学・農都会議 共同研究シンポジウムの報告[2022年02月27日(Sun)]
 NPO法人農都会議は、東邦大学理学部と共同で、2月4日(金)午後、「東邦大学・農都会議 共同研究成果発表シンポジウム 〜木質バイオマス熱利用とまちづくり」を開催しました。
 →イベント案内

2月4日共同研究シンポジウム

 NPO法人農都会議と東邦大学理学部は、木質バイオマス熱利用の普及促進の手法及び地域への波及効果創造を明らかにする共同研究を行っています。本シンポジウムは、研究1年目の成果発表の場として、「木質バイオマス熱利用とまちづくり」に焦点を当て、熱利用普及のカギとなるベストプラクティス(優良事例)推進に向けた講演と、SDGsをまちづくりに活用し熱利用を積極的に進める下川町などの事例発表を行いました。


 時節柄、オンラインのみの開催としましたが、100名を超える参加者がありました。開会挨拶として、共同開催者の東邦大学理学部生命圏環境科学科講師の竹内彩乃氏が趣旨説明を行いました。

2月4日共同研究シンポジウム

・バイオマスを用いた再生可能エネルギーの特徴は燃料を常に供給することであり、供給側との連携が不可欠です。
・また熱利用が地域で行われることから、顔の見えるエネルギーを利用することによる地域への波及効果も大きいと考えられます。
・木質バイオマス熱利用の更なる普及に向けて、導入手法開発及び地域への波及効果創造が求められています。そのため、様々な立場の関係者の連携による学際的研究が必要です。
・本シンポジウムは、農都会議と東邦大学の共同研究1年目の成果発表として行われます。


 第1部は、最初に、株式会社WBエナジー代表取締役社長の梶山恵司氏より、「木質バイオマス熱利用の拡大に向けて」のテーマで講演がありました。

2月4日共同研究シンポジウム

 梶山氏は、膨大な木質バイオマス熱利用のポテンシャル―熱利用の優位性、木質バイオマス熱利用のこれまで、低迷続くバイオマス熱利用、木質バイオマス熱利用拡大に向けた新たな動きやバイオマス熱利用変化の兆しなどについてお話しされました。
 そして、低迷の背景として、「1.気候変動問題への認識不足・政策体系」、「2.化石燃料価格の低迷」、「3.バイオマス発電へのシフト」、「4.モデル事例の欠如」があったことを説明されました。

 また、バイオマス熱利用の普及拡大と事業性について、
・従来は、何しろ導入
・「事業性」は計算せず
・今後拡大する自治体施設への民間によるエネルギーサービス事業の展開
・「事業性」なしには拡大せず
・そのための技術とコスト削減
などについてお話しされ、バイオマス熱利用モデル事例(Best practice)の指標についても説明されました。

 続いて、元東邦大学医学部講師の杉森賢司氏より、「温浴施設における健康の取り組み」のテーマで講演がありました。

2月4日共同研究シンポジウム

 杉森氏は、温泉・健康の関係の概要を、次のようにお話しされました。
・西洋医学が発達していなかった昔から、温泉は医学的治療に重宝されていた。
・ヨーロッパにおいて、医学的見地に立った温泉利用が主体となる。
・熱と生命、生命進化から見た温泉の可能性、特殊環境の生命は、我々の細胞の祖先である。
・好熱性の藻類が有する糖脂質に抗炎症効果がある、それを応用した治療法がある。
・微生物が持つ特殊性や有用性を応用し、未病で健康寿命を延ばす取り組みにより、温泉が新たな活⽤法として注目されている事について研究し、実践中である。

 最後に、東邦大学大学院理学研究科 博士前期課程の丸山智也氏より、「木質バイオマス熱利用とステークホルダーの関わり」のテーマで講演(成果発表)がありました。

2月4日共同研究シンポジウム

 丸山氏は、共同研究の成果発表を、「1.研究の背景と目的」、「2.研究の流れ」、「3.研究の方法」、「4.結果」、「5.結果の分析」、「6.考察」、「7.参考文献」の順に丁寧に説明されました。


 第2部は、質疑応答と「木質バイオマス熱利用とまちづくりの展望」をテーマにディスカッションが行われました。パネリストは、梶山氏、杉森氏、丸山氏、モデレーターは、竹内氏でした。

2月4日共同研究シンポジウム

 竹内氏は、三氏それぞれに対し、次のような質問とともに意見交換を進められました。
・ベストプラクティス(優良事例)とは?地域課題解決の効率化も含めたバイオマス熱利用もその一つとすると、どのような特徴があるか?
・温泉は観光のイメージがあるが、地域住民向けの健康まちづくりに向けた取り組みは多いのか?共通項はあるか?
・エネルギー政策分野とそれ以外の分野において目指される方向を、「バイオマス」をキーワードに重ねるために必要なことは何か?


 閉会にあたって、共同開催者のNPO法人農都会議の杉浦代表理事が、「この1年間バイオマスアカデミーとの共同研究を進め、成果発表シンポジウムを開催していただいた東邦大学理学部の皆様へ心より感謝申し上げます。今後も産学連携でバイオマス普及がすすむことを望みます」、「今回は、東邦大学をはじめ、千葉商科大学、千葉大学、東洋大学、東京農工大学、芝浦工業大学などの先生・学生が多数参加されました。このつながりを大切にしていきたいと思います」と、ご挨拶しました。

2月4日共同研究シンポジウム


 アンケートでは、「本日の東邦大学との共同研究成果発表シンポジウムはとても興味深く、温泉の多様な活用と木質バイオマスの熱源利用の可能性を感じました」などの感想がありました。

 今回も盛況なシンポジウムとなり、三氏による貴重な講演と発表に続くディスカッションでは、熱利用普及のカギとなる事業性、熱供給のロス、薪ボイラーの手軽さ、ボイラーの規制緩和、病院・介護施設との連携、地域エネルギーサービス会社などについてチャットのご意見を元に意見交換がありました。温泉の議論も盛り上がりました。
 講師の皆様並びにご参加の皆様方へ心より感謝申し上げます。
Posted by NPO農都会議 at 20:54 | バイオマスアカデミー | この記事のURL | コメント(0)
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