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9月30日「森林資源活用によるグリーンリカバリー」講演会の報告[2021年10月09日(Sat)]
 NPO法人農都会議は、9月30日(木)午後、「森林資源活用によるグリーンリカバリー 〜地域循環共生と新しいコモンズの構築へ向けて」講演会をオンラインにて開催しました。
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9月30日GR講演会

 今回は、CHP推進第一人者の竹林征雄氏に、編著『森林資源活用によるグリーンリカバリー』発刊を記念して講演していただき、第2部ディスカッションでは、多彩なゲストと対談していただきました。
 参加は約50名でした。NPO法人農都会議の杉浦英世代表理事が開会挨拶を行いました。


 第1部は、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク副理事長、一般社団法人日本サステイナブルコミュニティ協会顧問、NPO法人農都会議アドバイザーの竹林征雄 氏より、「木質資源活用によるグリーンリカバリーとは」のテーマで講演と質疑応答がありました。

9月30日GR講演会

 竹林氏は、グリーンリカバリー(GR)とは?、日本の森林資源、緑の構造物へ回帰、緑の化学素材の将来、緑のエネルギー木材から熱と電気(ガス化熱電併給 CHP)、ニューコモンズなど、GRの背景やEUでの動き、グリーン成長戦略14分野等について総合的にお話しされ、2MW以下の木質バイオマスガス化発電事例やGR・SDGs・ESGの関係、地域経済乗数などについても説明されました。
 また、次のように述べられました。
・木からエネルギーを創る便益は、特定の個人や企業、産業界だけが得るものではない。市民や国民全体が恩恵を浴するものを言う。近年定量的に評価され、多くの場合貨幣価値に換算可となった。
・先進国・超富裕層なども途上国を一層支援をする時代に、かつ、自然資本を使いながら富の平準化・脱成長時代へとなった。
・電力部門を交通部門や産業部門、熱部門など他の消費分野と連携させることで、社会全体の脱炭素化を進める社会インフラ改革の構想を進める必要がある。
・日本は森林とともに歩み、森に育まれた文明である。現代の諸悪の根源は人間の行動活動にあり、生活と産業スタイルの大転換が必要。

9月30日GR講演会


 第2部は、「グリーンリカバリーを通して新しいコモンズの構築は可能か?」をテーマにディスカッションが行われました。
 パネリストは、竹林氏のほか、神奈川大学法学部准教授の東郷佳朗氏、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長の泊みゆき氏、株式会社森のエネルギー研究所代表取締役、一般社団法人日本サステイナブルコミュニティ協会理事の大場龍夫氏でした。

 最初に、東郷氏より、「『新しいコモンズ』とは何か」のテーマでプレゼンテーションがありました。

9月30日GR講演会

 東郷氏は、コモンズの概念、コモンズの再定義と「ニューコモンズ」の提起、コモンズの再生などについて高山市の事例を交えて説明され、次のように述べられました。
・「コモンズ」という言葉は、自然資源の共同管理のシステム、あるいは、自然資源そのものをさす。日本の伝統的な管理法である里山の入会や水利、里海の漁業権などは、地域レベルの持続可能な管理の例。
・日本では、コモンズの考え方が新たな公として位置づけられ、行政だけでなく NPO などの多様な民間主体との協働により、地域のニーズに応じた社会サービスの提供を行うとされている。
・新たなコモンズ(ニューコモンズ)は、里山・里海の生態系サービスの提供に関連する公益的機能を持続的に維持していくための社会制度 といえる。

 続いて、竹林氏、東郷氏、泊氏、大場氏による対談が行われました。パネリストの皆様には、あらかじめ議論のポイントをお聞きしていました。
・竹林氏:テーマは気候変動、経済あたりか、森林資源は幅広く使える。
・大場氏:グリーンリカバリーとコモンズってそもそも何?と皆の疑問があるのではないか。私はコモンズはインフラだと思っている。文明のあり方が変わっていかないといけないと思う。
・東郷氏:GRとコモンズを一言で言うと、持続可能性。環境、経済、社会、地域がみな含まれる。

9月30日GR講演会

9月30日GR講演会

9月30日GR講演会

 対談の概要を記します。
・大場氏:ニューコモンズはSDGsのベースの上にある。人間社会が自然を破壊しているのは明らか、今までの延長上に未来はない。格差が拡大し、平等が失われ持続可能でなくなっている。
・泊氏:日本は森林活用をずっと続けて来た。格差によって大きくなった閉塞感を破るには全体を変える必要がある。全体を変えると個々の動きも良くなる。例えば、夫婦別姓の問題を動かせば枠組みが変わり、日本社会の閉塞感も変わるのではないか。
・竹林氏:炭素税を変えられれば良いが、なかなか難しい。
・泊氏:炭素税は経団連も反対しないとなっている。市場メカニズムを上手く使う。欠点を対策しながら、変えていかないと。EUなどは炭素税の仕組が無い国の関税を高くするようにしている。
・泊氏:SNSやYouTubeなど新しい動きがあって、ここ10〜15年ですごく変わって来ている。GR、コモンズの新しい仕掛けを提案していくことを考えたい。
東郷氏:地域特性に合った、エネルギーの地産地消に適した木質バイオマスの活用を考える。
・竹林氏:日本のモデルが何か作れれば良い。

 Zoom参加者を交えたディスカッションでは、活発な意見交換が行われました。参加者にはチャットの質問からディスカッションに加わっていただき、議論が身近になったと思いました。

9月30日GR講演会

・大場氏:コモンズの考えは当然なのに現実は当然でなくなっている。何が問題なのかが重要。不公平・格差が問題になっている。
・泊氏:森林を使うのは当たり前なのに全国的にはほとんど進んでいない。地域循環の有識者会議(?)に参加しているが病院の事例など紹介されて入るが・・・。炭素税を実施すれば個々の動きが変わっていくはず。枠組みを変えることが必要。日本は48歳が平均年齢で年寄りの世界。若者の閉そく感が大きい。別姓法が施行されれば女性の動きが変わって世界が変わる可能性がある。
・東郷氏:枠組みを変えるには資本主義の枠組みを変える必要があるのではないか。
・竹林氏:木の駅や高山の地方通貨が一例。
・参加者H氏:炭素固定量で価格を決める「カーボンプライシング」をGRのきっかけにすればよい。中村さんのアフガンでの灌漑作業で緑化された炭素量が「カーボンプライシング」で収入になる。
・泊氏:ドイツでは炭素税をかけているが、その8割を事業者や家庭に還元している。もともと、国際政治が専門。大学、大学院でソ連の社会について調べたが、よくできていた。「環境経済」について検討され、「カーボンプライシング」が良いとなっている。ノーベル経済学賞を取ったノードハウスが書いた「気候カジノ」には、森林のCO2固定の費用が一番安い。CCS(CO2を地中深くに埋める方法)では200弗かかるが森林は50弗、と書いてある。
・参加者F氏:資源循環モデルの適正規模をどのくらいと考えるか。
・竹林氏:木だけで生きている上野村を例にして、東工大・筑波大で試算を試みたが明らかに出来なかった。東北大がサステナブルの社会として30軒の集落レベルで検討しているが試算できるのではないか。
・大場氏:世界の状況など全体をみてやらないとだめだろう。
・泊氏:東郷さんの話を聞いていて、どのように実現するのかを考えていた。新しい動きをどう仕掛けていくかが重要。

9月30日GR講演会

 チャットでは、「戦後の日本の私有林は、杉ばかりを植えて、しかも人力を意識したのかかなり密に植わっています。その結果、間伐作業がひどく手間取っています。まず、それを直してこそ林業が成立するのでは。植林によってグリーンリカバリーは、そうした地域では絵空事に見えます」、「新しいコモンズの構築は、単純に緑地の回復だけでなく、変化する生態系についての十分な考察や対応方策が不可欠であると思います。感覚的ですが、私は昭和30年代の産業人口構成、地域人口分布がベストではないかと思います。戦後の引揚者が入植した農地、酪農地、林業地域など、これらを現代の技術で再構築すること。バイオマスの利活用は大前提(基本中の基本)です。バイオマスの熱電供給の具体的な方法はどのようにお考えでしょうか?」などの意見、質問もありましたが、すべてに応える時間がなく、申し訳なく思います。


9月30日GR講演会

 農都会議の松浦晃理事(つくば林業代表)が、「本日の講演会は現場の人間にとっても考えさせられた内容だった。我々にとって地域が土台で、地域から変えていきたい。小さい力が集まって大きな力となり、日本を変えていくことが重要」と、閉会挨拶を行いました。

9月30日GR講演会

 司会・進行は、農都会議の平岡教子運営委員でした。
 WEBアンケートは、講演会終了後に多くの回答が寄せられました。


 おかげさまで盛会となり、ご出演の皆様方並びにご参加の皆様方へ心より感謝申し上げます。
 竹林氏の講演とディスカッションでの議論により、グリーンリカバリー(GR)、ニューコモンズという未来志向のキーワードを、炭素税の実現性や地域循環共生モデルの適正規模などの具体的な議論で分かりやすく示していただきました。また、格差拡大等による閉塞感を打ち破るために炭素税を変えることが有効になる、持続可能な日本社会を創るために現在の枠組みを変える必要がある等々の議論もあり、要点を突いたディスカッションになったのではないかと思います。
 本講演会は日本の社会の在り様を考え直すヒントに満ちたものとなり、アンコールのリクエストもありましたが、GRやニューコモンズに対しての一般的理解がもう少し進んだ時期になったら考えてみたいと思います。
Posted by NPO農都会議 at 09:02 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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