10月15日バイオマス熱利用書籍・出版記念講演会の報告[2020年10月30日(Fri)]
NPO法人農都会議 バイオマスアカデミーは、10月15日(木)午後、『実務で使うバイオマス熱利用の理論と実践』出版記念講演会を、千代田区日比谷コンベンションホールで開催しました。
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農都会議バイオマスアカデミーは、木質バイオマス熱利用の普及に向けて、待望の書籍『実務で使うバイオマス熱利用の理論と実践』を7月末に発刊しました。今回の講演会は、書籍の説明と宣伝を兼ねて開催したものです。
会場の千代田区日比谷コンベンションホールに70名を超える参加者が集まり、基調講演、講演・質疑、来賓ご挨拶が行われました。
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農都会議バイオマスアカデミーは、木質バイオマス熱利用の普及に向けて、待望の書籍『実務で使うバイオマス熱利用の理論と実践』を7月末に発刊しました。今回の講演会は、書籍の説明と宣伝を兼ねて開催したものです。
会場の千代田区日比谷コンベンションホールに70名を超える参加者が集まり、基調講演、講演・質疑、来賓ご挨拶が行われました。
講演会は、東邦大学理学部生命圏環境科学科講師の竹内彩乃氏の司会、NPO法人農都会議の杉浦英世代表理事の開会挨拶で始まりました。
杉浦代表は、「日本の再生可能エネルギーの熱利用は残念ながら遅れている。そこで木質バイオマス熱利用の普及のために熱利用の実務書を7月末に発刊した。バイオマスボイラーの使いこなし技術のポイントを解説した画期的な本といえる。難しそうに見えるかもしれないが、技術を分かりやすく説明してある。本日は北海道や九州など全国からご参加いただき、感謝申し上げる」などと述べました。
第1部は、株式会社WBエナジー代表取締役社長の梶山恵司氏により、「木質バイオマス熱利用の本格的な普及拡大に向けて」のテーマで、基調講演が行われました。
梶山氏は、木質バイオマスのポテンシャル、欧州の木質バイオマス熱利用の拡大とその技術体系、日本におけるバイオマス熱利用の課題、日本におけるQM(quality management)の取組み、Best Practiceとプロジェクトマネジメントなどについてお話しされました。
また、「日本は世界有数の森林大国。地域に需要と供給が大量に存在する日本では、バイオマスは使えば使うほど地域が潤う典型的な地産地消のエネルギー源。普及拡大の前提は技術、ベースとなるのがバイオマス熱供給プラントの品質管理。本格的な普及拡大のために技術に精通した専門家が管理するプロジェクトマネジメントが不可欠」と、説明されました。
第2部は、講演・質疑が行われました。
林野庁林政部木材利用課長の長野麻子氏は、「木質バイオマス熱利用普及への取組」のテーマで講演されました。
長野氏は、森林・林業・木材産業の現状、木質バイオマス利用の現状、FIT利用等における課題などについてお話しされ、地域活用電源に係る制度の考え方、林地残材の収集・運搬の取組事例、地域熱供給の取組事例についても説明されました。
また、次のように述べられました。
・来年度は森林林業基本計画改定の時期になるので今年から議論を始めている。
・林野庁としても、これまでFIT制度で電気を中心に発電所が非常に拡がっているが、木質バイオマスの性格を考えた場合に熱効率を上げていく、熱利用、熱電併給などを進めていくことが大事と思っている。経済産業省と取り組んでいる研究会の取りまとめ案についてもザックリお話ししたい。
・木質バイオマスの燃料が再生可能エネルギーであるためには、供給元の森林が持続可能ということが大事。そのためにはコストの低減、チップ等を安定的に供給していくという三点が非常にバランスよく保たれる事が大事。
・地域の中の色々な施設、熱需要、エネルギー、まちづくりのことと一緒に関連しながら、木質バイオマスを地域で使って地域にお金が落ちる仕組みに貴重な資源を使っていくことを、今後も林野庁は応援していきたいと考えている。
東京工業大学特命教授・名誉教授の柏木孝夫氏は、「バイオマス熱利用の動向と新たな地域エネルギーシステム」のテーマで講演(挨拶)されました。
柏木氏は、次のように述べられました・
・『実務で使うバイオマス熱利用の理論と実践』という本格的な熱利用につながる重要な本が出ることになり推薦文を書いた。
・日本の一次エネルギーの4割が電力で6割が熱。高温から低温まで多段階にヒートカスケーディングして利用する。4対6で電気より熱が多いということを知っている人は少ない。
・熱は比較的溜めておくのが楽で、電力を貯める場合は蓄電池になる。蓄電池は非常に高く、車では水素・燃料電池になる。
・いま蓄熱槽の断熱効果は凄い。お金がかからないで貯めておける。電気は敏感だが熱は鈍感なので「電主熱従」で動かすこともできる。
・全てのエネルギー源は熱に変わるわけで、熱を押さえるものはエネルギー全体のシステムを掌握することになる。
・熱は弱点があるとすれば2kmしか運べないこと。ボイラーや薪ストーブなどから出る熱と水蒸気とCO2を植物工場で利用すればカーボンマイナス効果を生む。熱導管を上手く入れることが熱の有効利用につながっていく。
・2km四方の土地の中で良いエネルギーシステムが利用できると、地産地消を主導するのは熱の融通であるということになる。
・日本の重要な国産エネルギーであるバイオマスは不安定性がない良質な電源であり熱源である。植物工場併設などでカーボンマイナスのスマートタウンができる。都市部でCO2を出しても、バイオマスの電力・熱利用する所ではプラスマイナスゼロのゼロエミッションに一番近いビジネスモデルとなる。
・バイオマスを扱うことは電気を扱うことに必然的になっていき、電気と熱のスマートエネルギーサービス会社が新たにできて来る。エネルギーを掌握することはまちづくりそのものを掌握することに繋がっていく。
第3部は、来賓ご挨拶が行われました。進行は、農都会議の山本登事務局長が務めました。
環境省大臣官房環境計画課長の松田尚之氏は、近年の気候危機の原因の一つの温室効果ガスの排出抑制は地球規模で直ちに取組まねばならない課題、コロナ危機との二つの危機に環境省は経済社会の再設計が必要と考えており脱炭素社会、循環経済、分散型社会の三つの移行を進めていく、一方、日本にはエネルギー需要の1.8倍もの再生可能エネルギーのポテンシャルが存在する、木質バイオマスは地域経済にとってメリットが非常に大きく安定的に発電・熱利用を行うことが可能なエネルギー源、、環境省としても導入拡大を力強く後押ししていきたいと、ご挨拶されました。
当日の進行の都合により、講演と来賓ご挨拶の一部の順番が前後しましたが、引続き来賓各位よりご挨拶を頂戴しました。
1. ソーラーワールド株式会社代表取締役の武内賢二氏
2. ダレスサンドロジャパン株式会社代表取締役の鵜池俊幸氏
3. 井上電設株式会社の後藤宗人氏
4. NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長の泊みゆき氏
5. 一般社団法人日本有機資源協会理事・事務局長の嶋本浩治氏
最後に、農都会議の連携団体から、ちば里山・バイオマス協議会代表幹事の高澤真氏、飯能木質バイオマスエネルギー協議会副会長の鬼沢真之氏、いばらき里山・バイオマス協議会会長の原田博夫氏のショートスピーチがありました。
閉会挨拶を山本登事務局長が述べ、出版記念講演会は終了しました。
参加者アンケートにたくさんのご回答をいただきました。その一部をご紹介します。
・「ドイツQM(qualitaetsmanagement)を興味深く聞きました」、「前もってきちんと体系化することが重要なのだと感じた」、「木質バイオマスボイラーは決して素人が手掛けてはいけないとのドイツQMと日本のバイオマスの負の面の対比が印象的」(以上、梶山氏への感想)。
・「林業とバイオマス利用のロードマップのような戦略を知りたい」、「林野庁もバイオマス利用についてなかなかの知見を持っていると感心した」、「木材の単価によるCO2固定の話が無いのが残念」、「林野庁の様々な活動内容が分かったが、もっと一般が理解できる機会を作ってほしい」、「産業用(工場)で使用しているバイオマスの種類、地域性など詳細に知りたいところ。なぜ年間1億円も燃料代が削減できるのか?からくりを知りたかった」(以上、長野氏への感想)。
・「電気だけでなく、熱もエネルギー」、「2km四方の熱クラスターは説得力があり、分かりやすく感じました
2×2km2熱利用の計画を真剣に考える必要性を認識できた」、「電気と熱のエネルギー会社に共感します」、「蓄熱の技術は非常に進んでおり、2km四方の範囲で供給していくという考え方が様々な人々の間で考えられていたことに驚いた」(以上、柏木氏への感想)。
・「々な分野で活動している多くの方々が現場で感じたこと、考えたことを述べていただき、もっと話を聞きたいと感じた」(以上、来賓ご挨拶への感想)。
・「温浴施設、農業ハウスでバイオマスボイラーをできるだけ導入」、「思っていた以上の可能性を感じる」、「熱利用することの大切さを感じている、多くの人がバイオマス熱利用をしたいと考える方法を社会システムとして推進できると良いと思う。50年周期を管理するのが難しいだろうが考えて実施していくことが必要」、「技術の推進と適切な技術の利用がキーワードになると知り、参考になりました」(以上、熱利用についての提案、意見)。
・「大変貴重な講演会で、コロナ禍で悩んだが参加して良かったと感じた」、「Zoom勉強会ばかりの中、良くリアルの勉強会を開催していただいた。本の出版おめでとうございます、NPOも本を出すようでないと」(以上、主催者への感想)。
おかげさまで、今回の熱利用書籍出版記念講演会は大変盛況となりました。ご来場の方々皆に新刊書籍を手に取ってもらうことができ、熱利用推進、ボイラー導入の参考書として活用していただければと願っております。
ご登壇いただいた講師の皆様、ご来賓の皆様、並びにご参加の皆さま、誠にありがとうございました。
本講演会は、緑と水の森林ファンド事業助成金を一部利用して開催いたしました。
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