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1月14日共同勉強会「台風災害から考える気候変動」の報告[2020年01月31日(Fri)]
 NPO法人農都会議は、2020年1月14日(火)夕、ちば里山・バイオマス協議会(ちば協)、飯能木質バイオマスエネルギー協議会(飯能協)、いばらき里山・バイオマス協議会(いばらき協)とともに、共同勉強会「千葉などの台風災害から考える気候変動 〜地域のレジリエンス向上と風倒木のバイオマス燃料への転換」を開催しました。
 →イベント案内

1月14日台風災害共同勉強会

 2019年秋に襲来した台風15号、19号、21号等は東日本一帯に甚大な被害を与えました。千葉県では各地で長期停電や風倒木の被害があり、また、東日本各地で洪水やがけ崩れなどの被害が出ました。そこで、農都会議は、千葉県、埼玉県、茨城県の地域協議会と連携して各被害地域の事例に学び、参加者と一緒に地域のレジリエンス向上を考える共同勉強会を開催することにしました。
 会場の港区神明いきいきプラザに約60名の参加者が集まり、講演と質疑応答、意見交換が行われました。共催4団体を代表して、いばらき里山・バイオマス協議会の原田博夫会長より開会挨拶がありました。

1月14日台風災害共同勉強会


 第1部は、お二人の講師による講演でした。
 最初に、林野庁森林整備部森林整備課課長補佐の山口博央氏より、「台風による千葉県の風倒被害の状況と林野庁の今後の取組」のテーマで、講演がありました。

1月14日台風災害共同勉強会

 山口氏は、台風第15号による千葉県の風倒被害の状況として、「台風第15 号の接近・通過に伴い、伊豆諸島や関東地方南部を中心に猛烈な風、猛烈な雨となった。特に、千葉市で最大風速35.9 メートル、最大瞬間風速57.5 メートルを観測するなど、多くの地点で観測史上1位の最大風速や最大瞬間風速を観測する記録的な暴風となった」、「台風第15号により千葉県内で発生した風倒木被害の状況を詳細に把握し、今後の復旧対策に反映させるため、学識経験者による緊急調査を千葉県と合同で行った」と、お話しされました。
 また、調査結果の概要を次のように説明されました。
(1) 現地調査を踏まえた被害の特徴(主なもの)
・粘土瓦が飛散した家屋が広範囲に分布しており、どこで風倒被害がおきてもおかしくないほどの強風が広域的に吹いたと想定。これに地形的な要因が相まって、人工林や天然林、樹種などに関わらず風倒被害が発生。
・比較的平坦な地形に小規模な被害地が広範囲に散在するのが今回の被害の特徴。
・サンブスギの多くに溝腐(みぞぐされ)病による腐朽がみられ、腐朽箇所で幹折れしたスギを確認したが、溝腐病に罹病して倒れている事例や倒れていない事例、罹病していても腐朽箇所以外で幹折れしている事例など、被害の発生形態は多様であり、溝腐病に罹病していたことが倒木の発生原因とは必ずしも言えない。
(2) 調査結果を踏まえた今後の対策等(主なもの)
・道路や配電線等の被害を及ぼす可能性のある被害木については、優先度を考えつつ、除去していくことが必要。
・地上調査のみならず、リモートセンシング技術も活用して被害地分布等の状況を広域的に明らかにした上で、気象条件、地形条件、森林の現況、施業履歴などと被害状況の関係を明らかにし、風倒リスクの評価分析を行うことが必要。

1月14日台風災害共同勉強会

 林野庁の今後の取組(重要インフラ施設周辺の森林整備)については、次のように説明されました。
(1) 森林整備保全事業計画
・風倒被害の頻発に対応して、道路等に近接する森林において、道路や電線の管理者、鉄道会社等と適切に連携を図りつつ、復旧に向けた被害木の処理や多様な樹種の植栽、危険木の除去を含む間伐等の予防的な取組を推進する。
(2) 電力レジリエンスワーキンググループ
・総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会/産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会 電力安全小委員会合同電力レジリエンスワーキンググループ「台風15号の停電復旧対応等に係る検証結果取りまとめ」の概要を参照されたし。
(3) 森林整備事業予算
・激甚化する自然災害への対応は「特定森林再生事業」として、@重要インフラ施設周辺森林整備の創設、A被害森林の間伐等と一体的に行う被害木の搬出を支援、B重要インフラ施設周辺森林整備の創設(特定森林再生事業の拡充)となる。


 続いて、Bioフォレステーション株式会社代表取締役、株式会社森林再生システム取締役兼COOの近藤亮介氏より、「千葉の森林・林業と気候変動 〜バイオマス発電燃料へ風倒木活用の課題」のテーマで、講演がありました。

1月14日台風災害共同勉強会

 近藤氏は、台風15号と台風19号の被害について、あくまで自分の見解として、次のように説明されました。
・溝腐病が送電線被害を拡大させたというより、屈強な木だったら“根倒れ”が増え、むしろ送電線被害が増えたかも。
・間伐遅れが送電線被害を拡大させたというより、過密林分は“明らかに”、風倒木が少なかった。
・台風15号が神奈川県」を縦断していたら、千葉県同様神奈川県でも風倒木が発生していたが、千葉県並の停電が発生したとは思わない。千葉県は、全国で類を見ないほど人工林地帯を貫く細い道と、そこに設置された電線が多すぎる。
・千葉県の人工林は、溝腐病に罹患したサンブスギだらけで、どうしようもない状態で、“関係者”は、“人災”として反省し、速やかに改善に向けたアクションをおこすべきである。
・千葉県の北部では、間伐が遅れひょろひょろで強風で折れまくった、溝腐病にやられ強風で折れまくった、東日本大震災で津波被害を受けたマツ林が多い。
・南部では、砂利取り山の跡地のハゲ山が多い、人工林は竹にやられて無価値状態、せっかくのヒノキ林は間伐が遅れてひょろひょろ、マテバシイ林は過熟で林床が衰退している。
・風倒被害林の再生計画フローとしては、ハーベスタによる伐倒・造材→移動式チッパーによるチップ化→市原グリーン電力にて発電利用→林間マルチング(地拵え)→再造林するのが良い。
 また、風倒被害木の取り扱いに関しては、複雑で丁寧な対応が必要であるとして、関係法令・ガイドラインを説明されました。


 第2部は、ちば協、飯能協、いばらき協の3団体による昨年の台風15号、19号等による被害状況と地域のレジリエンス向上策について事例発表がありました。
 はじめに、ちば里山・バイオマス協議会代表幹事の高澤真氏より、「千葉県市原市、台風被害からの復旧について」のテーマで、発表がありました。

1月14日台風災害共同勉強会

 高澤氏は、「台風15号による停電被害は、森林整備がおろそかだったから起こった。放置竹林も原因。整備された竹林は被害も少ない。里山活動は復旧に貢献できる、近隣とも連携できる、皆様の復旧作業が心からありがたかった。どうしても伐採業者を頼まなければいけない状況もある。私有地は自分で復旧する。電力復旧に全国から支援があり、自衛隊(御殿場より派遣)の支援で道路が開通した。いすみ川の氾濫で倒れた竹の処理も一部行ったが、広域での作業が必要だ」などとお話しされました。
 また、4日間の停電で感じたこととして、プロパンガスは災害に強い、小型バッテリーが役に立った、米があれば生き延びられる、水が必要、ガソリンは半分以上給油、車のラジオとエアコンがオアシス、発電機もあれば助かるなどと説明されました。
 災害に強いまちづくりには、まずは自助努力、続いて近隣との相互扶助、行政の支援も欠かせない、他人事ではなく日頃からの備えが重要とも強調されました。


 次に、飯能木質バイオマスエネルギー協議会会長の鴇田節男氏と、飯能協幹事、株式会社森のエネルギー研究所取締役営業部長の菅野明芳氏より、「飯能の台風被害と自由の森学園の事例など地域の強靭化の検討報告」のテーマで、発表がありました。

1月14日台風災害共同勉強会

 鴇田氏は、飯能木質バイオマスエネルギー協議会について概要を説明されました。

 菅野氏は、「地域のレジリエンス向上と風倒木のバイオマス燃料への転換〜自由の森学園の事例」のテーマで、次の地域の強靭化の検討報告を行いました。
(1) 飯能木質バイオマスエネルギー協議会プラント部会 2019年度活動方針について
・2020 年の秋頃までに 薪ボイラーを自由の森学園に導入・安定稼働させることを目標として、 機器選定・見積精査 予算内に収める設計〜補助申請〜業者間の役割分担〜工事・試運転調整・引継ぎを円滑に終える。並行して、2021年のバイオマスボイラー導入を目指し工場・ゴルフ場・福祉施設等の調査を実施する。

1月14日台風災害共同勉強会

(2) 自由の森学園の鬼沢理事長の「自由の森学園はなぜ「新電力」に替えたのか?」について
 「周りは本当に森林ですから、この森のバイオマスエネルギーで熱と電気を使えたらいいなというのが夢だったんですけど、地域の人たちとずっと研究を重ねた結果、小規模の発電ではなかなか元が取れないということが分かりました。ですから電力はみんな電力に供給していただいて、熱はバイオマスを利用して学校の熱を全部それに切り替えようというのが、いま考えている計画 です 略 。火 を燃やすって普通、学校の中ではできないことなので、それで自分たちの生活を賄うってことはすごく面白いことだと思います。ぼくらの消費活動、ぼくらの選択が、企業や行政に与える影響は結構大きいと思うんです。そのほうがもしかしたら選挙で世の中を変えるより早いかもしれないですよ。」

(3) 薪ボイラー関連設備の導入検討状況と薪製造事業について
・自由の森学園での現地調査
・自由の森学園での薪ボイラー導入時の配置案
・飯能木質バイオマスエネルギー協議会 燃料部会での検討状況
・薪ボイラー導入に活用を予定する補助金の概要


 最後に、いばらき里山・バイオマス協議会事務局長の松浦晃氏より、「台風19号による神奈川県相模原市における被害状況、今後の体制案」のテーマで、発表がありました。

1月14日台風災害共同勉強会

 松浦氏は、相模原市の台風19号による林道崩落、通行止めの状況、住宅地の土砂崩れ等の被害状況の概要を写真画像で説明されました。また、今後の防災対策の体制案として「森林災害支援隊」の必要性を述べられました。


 第3部は、質疑応答と「気候変動による自然災害と地域のレジリエンス向上を考える」をテーマにディスカッションが行われました。

1月14日台風災害共同勉強会

 パネリストは、第1部と2部の講師・発表者の皆さまでした。モデレーターは、NPO法人蔵前バイオエネルギー理事長の米谷栄二氏でした。
 会場の参加者とパネリストの間で、台風15号や19号の被害の深刻さとその後の復旧状況、自然災害に対する地域の強靭化やレジリエンス向上の具体策について、熱心な意見交換が続けられました。林野庁の山口氏は、「令和2年度予算に森林整備事業として激甚化する自然災害への対応(特定森林再生事業)を計上するので活用してほしい」と説明されました。

1月14日台風災害共同勉強会


 今回も盛況な勉強会となり、自然災害に対する備えと復元力(レジリエンス向上)について理解が進み、今後の防災・減災の課題を多様な視点で深く考える、たいへん有意義な場になったと思います。
 講師の皆さま並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 17:05 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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