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11月18日「バイオマス設備普及の課題」官民交流勉強会の報告[2019年11月30日(Sat)]
 NPO法人農都会議は、11月18日(月)午後、第4回官民交流勉強会「地域型バイオマス設備の普及へ向けた課題と解決法 〜分散型エネルギー実現へ、サプライサイドへの働きかけを共に考える」を開催しました。
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11月18日官民交流勉強会

 農都会議は、官と民が気軽に意見交換する「官民交流勉強会」を毎年開催し、今回で4回目となりました。地域資源のバイオマスを活用し、エネルギーの地産地消と地域事業創出をめざす人々が増えています。小型・分散型のバイオマス設備(ボイラー、CHP等)は地域への普及に適していますが、高機能なボイラーは外国製が多く、安価で使いやすい国産のものはほとんどありません。係る現状から、地域のバイオマスエネルギー事業化の支援を進める当会は、課題を整理し、解決につなげるため、本勉強会を企画しました。
 会場の港区神明いきいきプラザに50数名の参加者が集まり、講演と質疑応答、意見交換が行われました。


  第1部は、政策官庁、ユーザー自治体、設備メーカー、バイオマス施設運営事業者の4氏の講演があり、それぞれのお立場から課題を提起していただきました。
 最初に、資源エネルギー庁新エネルギー課課長補佐の神沢吉洋氏より、「バイオマス発電政策等について」のテーマで、講演がありました。

11月18日官民交流勉強会

 神沢氏は、政策官庁のお立場から、FIT見直し議論で検討が進む地域活用電源の制度設計の方向性等のお話をされました。次は、神沢氏の講演の概要です。
(1) 世界の再生可能エネルギーの導入状況
・2015年に発電設備容量ストックベースで初めて再エネが石炭超え、その後も発電設備容量・年間導入量ともに着実に増加。再エネの導入拡大の背景にはコスト低減がある。一方、FIT制度で国民負担が増大。
(2 )FIT制度の抜本見直しと再エネ政策の再構築
・主力電源としての再エネの将来イメージは、競争力ある電源への成長モデルと、地域で活用される電源としてのモデルに大別。「需給一体型」の再エネ活用モデルは、家庭消費、大口需要家、地域消費の三つ。
(3) 電源特性に応じた制度構築:地域活用電源
・需要地に近接して柔軟に設置できる電源(住宅用太陽光発電、小規模事業用太陽光発電等)や地域資源を活用できる電源(小規模地熱発電、小水力発電、バイオマス発電等)は、災害時のレジリエンス強化などにも資する「需給一体型モデル」として期待され、資源・エネルギーの地域循環が実現する。そのため「地域活用電源」として優先的に
導入を拡大しながらコストダウンを促していくことが重要。
・具体的には、自家消費や同一地域内における資源・エネルギーの循環を優先的に評価する仕組みを前提に、当面は現行のFIT制度の基本的な枠組みを維持しつつ、電力市場への統合については電源の特性に応じた検討を進めていくことが適切である。
・地域活用電源は、地域におけるエネルギー政策以外の分野との共生を図るポテンシャ
ルが見込まれる電源である。例えば、
 −地熱発電は、地域の温泉産業や温水を活用する一次産業との相乗効果が見込まれる。
 −小水力発電は、地域の治水や農業との共生を図るポテンシャルが見込まれる。
 −バイオマス発電は、高い国土保全等の多面的な価値のある森林から切り出される木材や、家畜からもたらされる糞尿、地域で排出される建設資材や廃棄物をエネルギーとして地域循環し、地域の持続可能な開発に貢献する価値が見込まれる。
・こうした他分野の価値を積極的に評価し、これを顕在化させていくという観点から、エネルギー分野以外の適切な行政分野との役割分担を考え、より深化した連携を進めていくことも必要。(再エネ大量導入・次世代電力NW小委員会の中間整理(第3次)より抜粋)
(4) 台風の被災地におけるバイオマス発電の活用
船橋市北部清掃工場では、通常は余熱を併設の温水施設で利用、台風15号の際は自立運転に切り替えてごみ処理を継続し、温水施設にも電気を供給して稼働。


 続いて、群馬県上野村村長の黒澤八郎氏より、「地域型バイオマス設備普及の課題 〜森林バイオマスを100%使いきる創生戦略」のテーマで、講演がありました。

11月18日官民交流勉強会

 黒澤氏は、CHP(熱電併給システム)とボイラーのユーザー自治体として、バイオマスエネルギー利用の現状と課題について、次のようにお話しされました。
(1) 上野村の紹介
・上野村は群馬県の最西南端に位置し、長野県、埼玉県に隣接している。面積の95%以上が森林で、関東一の清流、神流川や手つかずの大自然が残る緑豊かな森の郷。人口1,160人(2割がIターンで村づくりで活躍)、世帯数574、総面積181.85km2。
(2) 地域内循環型経済による持続する地域コミュニティ
・上野村の森林面積は17,356ha。森林資源を100%活用し、雇用を生み、村内経済を回す。原木の安定確保と地域内循環に向けて、上野村長期森林利用計画(25年間)を策定。
(3) 木質バイオマスの利用
・未利用材を活用して木質ペレットを製造し、村内温浴施設、福祉施設、農業施設に導入。ペレットボイラーや各家庭ではペレットストーブに利用。また、ガス化発電による電力と廃熱を上野村きのこセンターで利用。
・バイオマスエネルギーが、人口1200人の村で12億円の経済を回し150人の雇用を生み、引続き、バイオマス・コミュニティへの進化を目指している。
(4) 普及に向けた課題
・上野村はエネルギーの“地産地活”を進めている。サプライサイドとしては、設備の“国産国活”にチャレンジしていただきたい。
(5) 上野村創生の基軸は森林資源の活用から
・最大の資産である森林資源を活用し、業を生む。
・先人の知恵を現代に置き換えたエネルギー活用。
・エネルギー活用による木材利用の出口確保。
・上野村という場での循環・25年という時間軸での循環。
・村内経済の循環・お金の内部留保・雇用の創出。
・持続するシステムの確立・第2ステージへ。


 三番目に、ヤンマーエネルギーシステム株式会社ソリューション推進室課長の脇坂裕昭氏より、「バイオマスエネルギー設備製造とサプライチェーンの課題」のテーマで、講演がありました。

11月18日官民交流勉強会

 脇坂氏は、小型バイオマス設備の国産メーカーのお立場から、事業環境整備に向けた課題提起について、次のようにお話しされました。
(1) 会社紹介
・ミッションステートメントはテクノロジーで、新しい豊かさへ
・ヤンマーのバイオマスガス化発電システムの導入実績
(2) 国内での開発の来歴について
・ガス化発電システムの開発は多種原料への対応の歴史
 −腑存量の⼤きい林地残材、間伐材を対象に切削チップガス化システムの開発に着手。
 − 実際には原料品質は様々であり、都度運転調整が必要。原料確保が困難で、切削チップから破砕チップへの原料変更を依頼され、多種対応へ。
・新たな顧客要望となった破砕チップへの対応。
・破砕チップ対応のブリッジ解消装置を開発し、安定したガス化を実現。
・ペレット化による形状均⼀化により、様々な原料ニーズに対応したガス化を実施。
(3) 欧州の事例紹介
・2008年ドイツの市場環境とガス化発電の導入状況
 −ドイツでは木質バイオマス利用のための基盤が既に整備されていた。
 −複数のガス化方式が存在するも、実稼働していたのは自社で実証中のSpanner社だけ
 −複数台導⼊後にサポートが追いつかずに停滞。ユーザーである森林農家が自ら装置を改良。複数ユーザーで新規に起業を検討。
・欧州では木質チップの規格があり、⼀定規格の原料を入手しやすい
・現在の欧州(2017年12月時点)
 −単⼀原料、出力限定で開発資源を投入したメーカーが導入数を増加。
 −安定稼動には原料条件、即時対応できる運転技術員が必要。
 −原料の含水率は7%以下で管理(実際には2%)。
 −保守メンテナンスは、現地運転員への教育で現地運転員が実施。
(4) 国内実績および欧州成功事例から見える課題と対策
・欧州の成功事例と弊社の取組の比較(別表:スライド13)
・バイオマスエネルギー製造設備とサプライチェーンの課題と対策
 @均⼀な乾燥原料の入手
 A設備コストの低減
 B複数のメリット創出
 Cサポート体制の構築
(5) 今後の展開
・もみ殻をターゲットとして滋賀県で実証試験を開始
・発がん性物質の結晶質シリカを抑制したガス化に成功し、特許取得。結晶質シリカの生成を抑制し、可溶性ケイ酸を約30%含有したくん炭を生産。均⼀な高温ガス化により低タール化を実現。
・農業残渣として継続的に発⽣するもみ殻を利用してトリジェネレーションをおこない、循環型社会を形成することで、食料とエネルギーに関するSDGsに貢献する。


 最後に、飛騨高山グリーンヒート合同会社代表の谷渕庸次氏より、「地域型バイオマスの可能性と課題」のテーマで、講演がありました。

11月18日官民交流勉強会

 谷渕氏は、バイオマス施設を開設・運営する地域の事業者として、バイオマスエネルギー事業普及の課題提起などについて、次のようにお話しされました。
(1) はじめに、業務などの実績
(2) 高山市の取組
・高山氏は広大な地域に豊かな自然
・飛騨高山モデル(木質バイオマスサプライチェーンの構築、熱供給ビジネスの構築、オール高山による取組み、暮らしの豊かさを実感できる高山市の確立
・木の駅プロジェクトの促進〜「積まマイカー」間伐材収集運搬事業
 −未利用間伐材(林地残材)を利用した木質バイオマス燃料の市内への安定供給
 −地域通貨による地域内経済の循環
・公共施設を活用した地域の民間事業者による熱供給ビジネス事業
 −木質バイオマスによる熱供給ビジネスを進めることで、市内における木質バイオマスの需要拡大、地域経済の活性化、森林再生を進め、自然エネルギーの利用を市民の暮らしの豊かさにつなげる自立循環型のまちづくりを実現
 −パイロット事業として、公共施設の中で安定的に熱需要の大きい温浴施設に導入
(3) 発電所への道筋
・会社設立から事業化まで道のり
 −合同会社設立、市役所協議開始
 −導入候補先決定、熱供給条件整理
 −原木調達に問題発生、灯油単価の下落、事業条件の見直し
 −市役所と基本合意(高山市は自然エネルギー利用日本一の都市を目指す)
 −系統接続、原料安定供給協定、FIT認定取得
 −事業着手・補助申請、林野庁ヒアリング
 −FIT設備認定、着工
・電力会社による接続制限
(4) なぜペレットなのか?
・規模の検討:熱電併給を考慮すると、熱供給規模は300kW以下が最適である。この規模では、蒸気やORCは対象とならない。ガス化が最適である
・高山市内で調達可能な木質バイオマス燃料として、ペレットは生産能力に余力があり安定した燃料製造が可能である。また品質も大きな変動はない
(5) 熱電併給事業成功の条件
・関係者の理解(市役所・指定管理者など)
・原木調達の確保(地域外への流出を軽減)
・燃料製造工場の協力(燃料の証明・品質など)
・金融機関の協力(リスクの共有)
・システム設計で効果が決まる。
(6) 今後の森林管理
・高山市の状況(森林面積200,453ha、森林率約92%、民有林人工林の年間成長量249,557m3/年見込み)
・今後の地域林業の拡大の可能性は、施業面積の拡大
(7) 地域と発電事業
・原木価値を高め、地域内循環と利益の分配が重要。
・発電事業は地域創生の可能性を高めるが、地域創生を阻害するのも発電事業
(8) 今後の可能性(取り組み事例)
・災害対策への活用として
 −通常時はバイオマス発電はFITで売電し、電力会社からの電気で生活を行う
 −バイオマス発電で発生した熱を敷地内の住宅へ販売
 −災害時には、バイオマス発電の電力と熱で生活を行う
 −災害時に断水した場合でも、受水槽で一定期間対応が出来る
・地域電力会社による電力供給と管理体制の構築、地域内の新エネルギー電力を流通など、独居老人(単身者)対策
(9) まとめ
・系統連系
 −長期未接続の案件に対する対応が必要
 −主力電源としての優先順位が重要
・FIT制度
 −系統余剰枠の考え方と接続方法
 −集材エリアあるいは既存発電所の保護範囲の明確化
・利益の分配
 −必要以上の利益は出さず、燃料製造・原木調達などとのバランスを考えた取引を行う(原木・燃料・熱など).


 第2部は、質疑応答とバイオマス産業社会ネットワーク副理事長の竹林征雄氏のコメント、第1部の講師4氏によるパネルディスカッションが行われました。

11月18日官民交流勉強会

11月18日官民交流勉強会

 竹林氏は、「地域に貢献する木質バイオマスガス化熱電併給利用」のテーマで、次のコメントを発表、説明されました。
(1) 域内経済循環とSDGsによる地域振興
・気候が正確に予測され、災害の原因と結果が明確な時代となった。災いの種を蒔いておいて、自然を恨むのは筋違い。災いの種を摘む作業が人類の責務。この20年間災害総直接被害額34兆円、19号被害額は7300億円以上。
・木質熱電併給は全く他の自然エネと異なる!経済的効果+多面的非経済的効果…防災減災対応。FIT枠内で発電だけに拘泥は全くお門違い! 家庭、商店、企業で活用。温室、木材や食品乾燥、養殖、冷暖房、温泉加温、道路・駐車場ヒーティング。
(2) 自立分散小規模木質バイオマスガス化熱電併給の特長
・利点
 @太陽光などの天候任せによる出力変動が無く安定的稼働が行える
 A計画的に稼働停止が行え、調整力があり調整電源となる
 Bボイラーと異なり、熱と電気を同時に供給でき、常用兼非常時対応が可能
 C温室効果ガス排出が火力発電などと比べ極端に少ない
 D木材を燃料とすることより、森林の整備が促進され、炭素固定、吸収も
 E自然エネに比べて治山治水、熱利用による地域振興が加速、他多くの多面的効用がある
 F自然エネに比べて地域主導型事業としやすく、地域循環共生となる、且つスマートシティー形成、地方創生の核となる設備である
・欠点
 @日本には小型ガス化炉技術がない
 Aそのため輸入による点と日本特有の流通形態などから設備費が高い
 B自然エネルギーと異なり、再エネの木質系は燃料代が大きな負担
 −森林は多くあるが、林業、燃料生産など小規模脆弱で木質燃料市場が形成されず流通も限定的
 ーそのため燃料購入代が海外の2倍前後である
 C熱と電気の同時生産だが、熱の利用が大変限定的で生かされていない 
(3) 結論的提案
・FITから外し、バイオマスエネの再制度設計を!

11月18日官民交流勉強会


 パネルディスカッションは、「自立分散型木質熱電併給の大量導入と早期実現を考える 〜燃料供給側と需要側の問題、それを取り巻く法制度と規制課題」のテーマで行われました。
 モデレータ―は、環境省大臣官房環境計画課計画官の中島恵理氏。パネリストは、資源エネルギー庁の神沢吉洋補佐、上野村の黒澤八郎村長、ヤンマーエネルギーシステムの脇坂裕昭課長、飛騨高山グリーンヒートの谷渕庸次代表でした。

11月18日官民交流勉強会

 中島計画官の進行で、第1部の講師の皆様とフロアの参加者を交えた熱心なディスカッションが行われました。次は、意見交換されたものの一部です。
・神沢:地域活用電源の「地域」をどう考えるかは難しい。
・黒澤:上野村は1,000人の村というイメージを持っていただいたでしょうか? 人口の2割以上の260人が移住者でいろいろな事業の中心となっていて、エネルギー関連、山、ホテル、農業の従事者が150人です。村の財政的にどうかというと、税収はたいして無いが人が住むことで村が存続し、循環して仕事がまわる。

11月18日官民交流勉強会


 4回目の官民交流勉強会は、次のバイオマス設備普及の課題に取組もうと企画しました。
・分散型に適するバイオマス設備が高価な現状から、地域へ普及しやすい低コスト汎用品の製造・流通をサプライサイドへ働き掛けるために必要なニーズの顕在化(市場規模の実証等)
・国内メーカーの成長を後押しする政策(傾斜配分的なインセンティブ)
・バイオマスボイラー等熱利用機器の標準化
・顧客ニーズによるシステム構築・メンテナンス技術を有する人材の育成
・地域事業におけるロングスパンのファイナンス

 バイオマス設備普及の現状と普及を妨げている問題を、お集まりいただいた政策官庁、自治体、設備メーカー、施設運営者の方々から学び、参加者とともに考える貴重な機会になったと思われます。今後も、サプライサイドへの働きかけ等の課題に引き続き取組んでまいりたいと思います。
 講師の皆さま並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 16:54 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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