
1月23日「森林環境税の施行に向けて」勉強会の報告[2019年01月26日(Sat)]
NPO法人農都会議は、一般社団法人日本サステイナブルコミュニティ協会と共同で、1月23日(水)夕、「森林環境税と新たな森林管理システムの施行を考える 〜新税が地域の将来に及ぼす効果、国産材の利用拡大に向けた運用」勉強会を開催しました。
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今回は森林環境譲与税施行前のタイミングに合わせて、新制度を企画した林野庁と実施を担う自治体、地域団体の講師をお招きし、新税の意義や仕組とともに、市町村や施業主体による準備状況についてお話を伺いました。
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今回は森林環境譲与税施行前のタイミングに合わせて、新制度を企画した林野庁と実施を担う自治体、地域団体の講師をお招きし、新税の意義や仕組とともに、市町村や施業主体による準備状況についてお話を伺いました。
会場の港区神明いきいきプラザに約名の参加者が集まり、講演と質疑応答、意見交換が行われました。
第1部の最初は、林野庁林政部企画課(森林整備部計画課併任) 課長補佐(制度班担当)の中山昌弘氏より、「森林環境税(仮称)・森林環境譲与税(仮称)及び森林経営管理法について」のテーマで、講演がありました。
中山氏は、かつての日本の森林の姿、荒廃と回復、現況、林業生産、森林の所有形態・所有者の意欲低下、所有者不明・境界未確定、労働力不足の現状、森林吸収源対策から税制改正大綱につながったこと、新税と既存政策は異なることなどについてお話しされました。
また、森林環境税(仮称)・森林環境譲与税(仮称)と森林管理制度(森林経営管理法)について、所有者への支払金額算定方法、意欲と能力のある林業経営者の選定、所有者不明森林への対応、新制度により期待される効果などを説明され、岡山県西粟倉村や富山県氷見市など森林整備の事例、高知県佐川町など担い手育成の事例、奈良県吉野町の木材利用の事例などを紹介されました。
続いて、小山町未来創造部未来拠点課副主任の山崎豊氏より、「静岡県小山町の山地強靭化・林業成長産業化に向けた取組」のテーマで、講演がありました。
山崎氏は、小山町について紹介し、まち・ひと・しごと創生総合戦略、人口ビジョン、山地強靭化への取組や林業成長産業化に向けた取組をお話しされ、人口が少なく森林面積の広い田舎の小山町は森林環境譲与税を多方面に活用できる、人口が多く森林が無い都会の市町村は税の活用として木材利用や人材育成で田舎をサポートできると説明されました。
また、持続可能な地域循環型林業構築を進める中で、木質バイオマス発電や次世代施設園芸、複合観光施設、優良田園住宅など、未来に向けた小山町の取組についてお話しされました。
最後に、株式会社リトル・トリー代表取締役の大野航輔氏より、「森林環境税への期待と道志村における方向性」のテーマで講演がありました。
大野氏は、道志村の基礎情報、森林経営計画の実績、道志村の森林の詳細データ、林業データ(作業路網、機械化、施業システム、就業者数、事業体数、生産額)、「道志の湯」など木質バイオマス利用の取組の経緯などについてお話しされました。
また、現在の補助金の内容―切捨て間伐と搬出間伐の施業単価比較、森林環境税の予算配分・譲与税の想定額を説明され、新財源を活かすための道志村における意欲的な森林整備、搬出間伐促進に向けた取組の案(チップ生産拠点や公共施設への熱電併給導入)について、抱負を述べられました。
第2部は、質疑応答と意見交換が行われました。モデレーターは、株式会社つくば林業代表取締役社長、NPO法人農都会議理事の松浦晃氏でした。
意見交換は、第1部の講師の皆様にフロアの参加者を交えて、森林・林業再生の課題解決に向けた民間と役所の議論の場にできればとの思いがありましたが、「森林環境税は路網整備など、いろいろな使い方が考えられる。国が政策目標を掲げて市町村の努力を後押ししてほしい」、「発電事業者の立場で山側の動きを注目している。新制度は、利用側と山側の間に市町村が入るが適正に調整・運用できるか問題だと地域は見ている。ガイドラインについてはどう考えているか?」などの意見・質問に対し、「新税は森林管理制度(森林管理法)に則り、自治体の自主財源というよりはやはり森林整備の費用という目的は決まっている」、「チェック体制として使途を公表することが法で決まっているが、税の効果も公表することを国は考えている。まずは都道府県にチェックしてもらったらどうか」などの回答・意見がありました。
今回も盛況な勉強会となりました。国、自治体、林業者の異なったお立場のゲストから、森林環境税・譲与税と森林経営管理法の仕組、自治体の取組の現状と方向性、地域の施業者の対応法などをお話しいただき、また、地域の森林組合やバイオマス発電事業者、自治体、地域企業、研究者などの皆様と熱心にディスカッションしていただくことができ、たいへん有意義な場になったと思われます。
講師の皆さま並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
※会員様には、講演資料・要旨とディスカッション、アンケート結果の概要を含むレポートをお送りします。
第1部の最初は、林野庁林政部企画課(森林整備部計画課併任) 課長補佐(制度班担当)の中山昌弘氏より、「森林環境税(仮称)・森林環境譲与税(仮称)及び森林経営管理法について」のテーマで、講演がありました。
中山氏は、かつての日本の森林の姿、荒廃と回復、現況、林業生産、森林の所有形態・所有者の意欲低下、所有者不明・境界未確定、労働力不足の現状、森林吸収源対策から税制改正大綱につながったこと、新税と既存政策は異なることなどについてお話しされました。
また、森林環境税(仮称)・森林環境譲与税(仮称)と森林管理制度(森林経営管理法)について、所有者への支払金額算定方法、意欲と能力のある林業経営者の選定、所有者不明森林への対応、新制度により期待される効果などを説明され、岡山県西粟倉村や富山県氷見市など森林整備の事例、高知県佐川町など担い手育成の事例、奈良県吉野町の木材利用の事例などを紹介されました。
続いて、小山町未来創造部未来拠点課副主任の山崎豊氏より、「静岡県小山町の山地強靭化・林業成長産業化に向けた取組」のテーマで、講演がありました。
山崎氏は、小山町について紹介し、まち・ひと・しごと創生総合戦略、人口ビジョン、山地強靭化への取組や林業成長産業化に向けた取組をお話しされ、人口が少なく森林面積の広い田舎の小山町は森林環境譲与税を多方面に活用できる、人口が多く森林が無い都会の市町村は税の活用として木材利用や人材育成で田舎をサポートできると説明されました。
また、持続可能な地域循環型林業構築を進める中で、木質バイオマス発電や次世代施設園芸、複合観光施設、優良田園住宅など、未来に向けた小山町の取組についてお話しされました。
最後に、株式会社リトル・トリー代表取締役の大野航輔氏より、「森林環境税への期待と道志村における方向性」のテーマで講演がありました。
大野氏は、道志村の基礎情報、森林経営計画の実績、道志村の森林の詳細データ、林業データ(作業路網、機械化、施業システム、就業者数、事業体数、生産額)、「道志の湯」など木質バイオマス利用の取組の経緯などについてお話しされました。
また、現在の補助金の内容―切捨て間伐と搬出間伐の施業単価比較、森林環境税の予算配分・譲与税の想定額を説明され、新財源を活かすための道志村における意欲的な森林整備、搬出間伐促進に向けた取組の案(チップ生産拠点や公共施設への熱電併給導入)について、抱負を述べられました。
第2部は、質疑応答と意見交換が行われました。モデレーターは、株式会社つくば林業代表取締役社長、NPO法人農都会議理事の松浦晃氏でした。
意見交換は、第1部の講師の皆様にフロアの参加者を交えて、森林・林業再生の課題解決に向けた民間と役所の議論の場にできればとの思いがありましたが、「森林環境税は路網整備など、いろいろな使い方が考えられる。国が政策目標を掲げて市町村の努力を後押ししてほしい」、「発電事業者の立場で山側の動きを注目している。新制度は、利用側と山側の間に市町村が入るが適正に調整・運用できるか問題だと地域は見ている。ガイドラインについてはどう考えているか?」などの意見・質問に対し、「新税は森林管理制度(森林管理法)に則り、自治体の自主財源というよりはやはり森林整備の費用という目的は決まっている」、「チェック体制として使途を公表することが法で決まっているが、税の効果も公表することを国は考えている。まずは都道府県にチェックしてもらったらどうか」などの回答・意見がありました。
今回も盛況な勉強会となりました。国、自治体、林業者の異なったお立場のゲストから、森林環境税・譲与税と森林経営管理法の仕組、自治体の取組の現状と方向性、地域の施業者の対応法などをお話しいただき、また、地域の森林組合やバイオマス発電事業者、自治体、地域企業、研究者などの皆様と熱心にディスカッションしていただくことができ、たいへん有意義な場になったと思われます。
講師の皆さま並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
※会員様には、講演資料・要旨とディスカッション、アンケート結果の概要を含むレポートをお送りします。
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