
11月28日「さらなるバイオマス熱利用」勉強会の報告[2018年11月30日(Fri)]
NPO法人農都会議 バイオマスWG/農都交流・地域支援Gは、11月28日(水)夕、「木質バイオマスの熱利用のさらなる促進について 〜英国RHIなど内外の熱利用の状況から、日本における普及・促進策を提案する」勉強会を開催しました。
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今回は、バイオマスの熱は使えば使うほど地域が潤う、日本林業は森林再生のビジネスモデルでよみがえるという梶山氏と、熱のFITとも呼ぶイギリスのRHI(再生可能な熱への助成策)について研究されている荒川氏のお二人から、木質バイオマス熱利用の内外の実態の紹介と日本の熱利用促進策を提案していただこうと企画したものです。
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今回は、バイオマスの熱は使えば使うほど地域が潤う、日本林業は森林再生のビジネスモデルでよみがえるという梶山氏と、熱のFITとも呼ぶイギリスのRHI(再生可能な熱への助成策)について研究されている荒川氏のお二人から、木質バイオマス熱利用の内外の実態の紹介と日本の熱利用促進策を提案していただこうと企画したものです。
会場の港区神明いきいきプラザに50数名の参加者が集まり、講演と質疑応答、意見交換が行われました。
第1部は、最初に株式会社WBエナジー代表取締役社長、バイオエナジー・リサーチ&インベストメント株式会社(BERI) 代表取締役社長の梶山恵司氏より、「木質バイオマス熱利用の内外の状況と日本での促進策」のテーマで、講演がありました。
梶山氏は、再生可能エネルギーにおける木質バイオマスの位置づけ、エネルギー政策の出発点とポストFIT、ドイツのバイオマス発電の推移、オーストリア農家のバイオマス利用、バイオマス燃料の基本は「ごみを宝に」、地域の総合的なバイオマス利用の視点などをお話しされました。
また、木質バイオマス熱利用の意義、使えば使うほど地域が潤う熱利用、日本の熱利用の課題と対応、国産バイオマスボイラー技術、日欧エンジニアリングの相違などについて説明されました。
日本の温水利用の現状をしっかり見て木質バイオマスの将来を考えるべきと、熱利用政策への提言も述べられました。
続いて、NPO法人蔵前バイオエネルギー(K-BETS) 理事、省エネコンサルタントサービス代表の荒川英敏氏より、「英国の再生可能エネルギー事情 〜再生可能熱インセンテイブ(RHI)の紹介と日本での導入の提案〜」のテーマで、講演がありました。
荒川氏は、英国滞在の経験を踏まえ、英国と日本の位置関係(寒いが暖流の影響で北海道ほど寒くない)、英国の低炭素化の目標、英国のエネルギー事情、英国の発電エネルギーミックスなどをお話しされました。
再生可能熱インセンテイブ(RHI)については、事業所向け・住宅向けの現状(事業所向けRHIの熱源はバイオマスが約8割、バイオマスは高温をすぐ取り出せる)、予算配分などを説明されました。
また、日本のエネルギー事情、住宅のエネルギー需要(暖房・給湯用に大半のエネルギーを使用)との比較から、日本もRHIの導入(課題の直視、導入順序)を真剣に考えねばならない、化石由来を再エネに変えれば大幅なCO2削減が可能と、提案されました。
第2部は、質疑応答と「木質バイオマスの熱利用のさらなる促進について」をテーマにディスカッションが行われました。
モデレーターは、NPO法人蔵前バイオエネルギー理事長、農都会議バイオマスWG運営委員の米谷栄二氏にお願いしました。
参加者から「森林環境税をどう思うか?」、「熱利用促進の有効な政策は?」、「RHIが日本に導入される可能性は?日本のボイラーが遅れているというが詳しく教えて?」などの質問があり、梶山氏から、「税は近代林業の基盤整備が目的。2009年の”森林・林業再生プラン”は基盤整備づくりのために考えた。育てる林業から利用する林業転換へ体系的に使っていかないと従来と同じになってしまう」、「熱利用促進の答えはない。良い事例を一つずつ作り、それを核に複雑な現状を打破していくしかない」、「ボイラーの燃焼技術は日欧で異なる。欧州は部品メーカーが多くすそ野の広さが全く違う。エネルギーは使ってなんぼ、国産にこだわる必要はない」などと答えられました。
荒川氏は、「英国ではコンサルテーション=議論を重ねコンセンサスを作っていく」、「英国のFITは来年3月で終わる。RHIは基本は税。日本で導入されるよう努力したい」などとこらえられました。
参加者からは、「森林環境税に林野庁が期待するのは、林業の基盤整備・路網整備と、需要開拓。小規模隣家が多く所有者不明土地等が情報整備の障害となっている」などの意見もありました。
最後に講師のお二人から、「英国は大人の国。本質を見極める力は日本より上」、「今の日本は”本物”を知らない状況。欧州のように教育など環境整備が必要で、本物を少しでも多く作っていくことが大事」などのお話がありました。
今回、勉強会のテーマを「さらなる熱利用…」としましたが、日本の熱利用は欧州と比べようがなく、「あらためて熱利用を…」とした方が良かったと思います。日欧の実情がよく分かり、活発な意見交換があり、熱利用促進策の提案・提言があり、たいへん有意義な場になったと思われます。
講師の皆さま並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
※会員様には、講演資料・要旨とディスカッション、アンケート結果の概要を含むレポートをお送りします。
第1部は、最初に株式会社WBエナジー代表取締役社長、バイオエナジー・リサーチ&インベストメント株式会社(BERI) 代表取締役社長の梶山恵司氏より、「木質バイオマス熱利用の内外の状況と日本での促進策」のテーマで、講演がありました。
梶山氏は、再生可能エネルギーにおける木質バイオマスの位置づけ、エネルギー政策の出発点とポストFIT、ドイツのバイオマス発電の推移、オーストリア農家のバイオマス利用、バイオマス燃料の基本は「ごみを宝に」、地域の総合的なバイオマス利用の視点などをお話しされました。
また、木質バイオマス熱利用の意義、使えば使うほど地域が潤う熱利用、日本の熱利用の課題と対応、国産バイオマスボイラー技術、日欧エンジニアリングの相違などについて説明されました。
日本の温水利用の現状をしっかり見て木質バイオマスの将来を考えるべきと、熱利用政策への提言も述べられました。
続いて、NPO法人蔵前バイオエネルギー(K-BETS) 理事、省エネコンサルタントサービス代表の荒川英敏氏より、「英国の再生可能エネルギー事情 〜再生可能熱インセンテイブ(RHI)の紹介と日本での導入の提案〜」のテーマで、講演がありました。
荒川氏は、英国滞在の経験を踏まえ、英国と日本の位置関係(寒いが暖流の影響で北海道ほど寒くない)、英国の低炭素化の目標、英国のエネルギー事情、英国の発電エネルギーミックスなどをお話しされました。
再生可能熱インセンテイブ(RHI)については、事業所向け・住宅向けの現状(事業所向けRHIの熱源はバイオマスが約8割、バイオマスは高温をすぐ取り出せる)、予算配分などを説明されました。
また、日本のエネルギー事情、住宅のエネルギー需要(暖房・給湯用に大半のエネルギーを使用)との比較から、日本もRHIの導入(課題の直視、導入順序)を真剣に考えねばならない、化石由来を再エネに変えれば大幅なCO2削減が可能と、提案されました。
第2部は、質疑応答と「木質バイオマスの熱利用のさらなる促進について」をテーマにディスカッションが行われました。
モデレーターは、NPO法人蔵前バイオエネルギー理事長、農都会議バイオマスWG運営委員の米谷栄二氏にお願いしました。
参加者から「森林環境税をどう思うか?」、「熱利用促進の有効な政策は?」、「RHIが日本に導入される可能性は?日本のボイラーが遅れているというが詳しく教えて?」などの質問があり、梶山氏から、「税は近代林業の基盤整備が目的。2009年の”森林・林業再生プラン”は基盤整備づくりのために考えた。育てる林業から利用する林業転換へ体系的に使っていかないと従来と同じになってしまう」、「熱利用促進の答えはない。良い事例を一つずつ作り、それを核に複雑な現状を打破していくしかない」、「ボイラーの燃焼技術は日欧で異なる。欧州は部品メーカーが多くすそ野の広さが全く違う。エネルギーは使ってなんぼ、国産にこだわる必要はない」などと答えられました。
荒川氏は、「英国ではコンサルテーション=議論を重ねコンセンサスを作っていく」、「英国のFITは来年3月で終わる。RHIは基本は税。日本で導入されるよう努力したい」などとこらえられました。
参加者からは、「森林環境税に林野庁が期待するのは、林業の基盤整備・路網整備と、需要開拓。小規模隣家が多く所有者不明土地等が情報整備の障害となっている」などの意見もありました。
最後に講師のお二人から、「英国は大人の国。本質を見極める力は日本より上」、「今の日本は”本物”を知らない状況。欧州のように教育など環境整備が必要で、本物を少しでも多く作っていくことが大事」などのお話がありました。
今回、勉強会のテーマを「さらなる熱利用…」としましたが、日本の熱利用は欧州と比べようがなく、「あらためて熱利用を…」とした方が良かったと思います。日欧の実情がよく分かり、活発な意見交換があり、熱利用促進策の提案・提言があり、たいへん有意義な場になったと思われます。
講師の皆さま並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
※会員様には、講演資料・要旨とディスカッション、アンケート結果の概要を含むレポートをお送りします。
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