2月19日第3回「林業技術の革新」勉強会の報告[2018年02月20日(Tue)]
NPO法人農都会議 バイオマスWG/農都交流・地域支援Gは、2月19日(月)夕、「林業技術の革新 〜国産材・間伐材の供給拡大に向けて、増大する発電需要にどう対応するか」勉強会を開催しました。
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木質バイオマス発電向け燃料の需要が急拡大していますが、国産燃料材の供給は不足し、大半を輸入材に依存せざるを得ない状況にあります。一方で、搬出コストがかかるため、林内に放置される間伐材も多くあります。
農都会議は、「山には木が沢山あるのに、なぜ出ないのか?」のテーマで9月と12月に勉強会を実施しましたが、今回は需給ギャップ縮小のため、林地残材・間伐材をはじめ国産材の供給確保策と供給力の画期的増大方策を経営・技術の両面で学ぶ場を設けました。
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木質バイオマス発電向け燃料の需要が急拡大していますが、国産燃料材の供給は不足し、大半を輸入材に依存せざるを得ない状況にあります。一方で、搬出コストがかかるため、林内に放置される間伐材も多くあります。
農都会議は、「山には木が沢山あるのに、なぜ出ないのか?」のテーマで9月と12月に勉強会を実施しましたが、今回は需給ギャップ縮小のため、林地残材・間伐材をはじめ国産材の供給確保策と供給力の画期的増大方策を経営・技術の両面で学ぶ場を設けました。
会場の港区神明いきいきプラザに40数名の参加者が集まりました。今回の勉強会を企画立案した木村忠夫元バイオマスWG座長の開会挨拶に続いて、講演と質疑応答、意見交換が行われました。
第1部は、最初に、有限会社川井木材代表取締役社長、高知県青年林材協会会長の川井博貴氏より、「架線集材システムの評価と課題 架線集材の可能性と普及策」のテーマで、講演がありました。
川井氏は、宿毛バイオマス発電所への燃料供給事業者のお立場から、高知県での施業地域の傾斜や地域の森林・林業の現状など事業実施地域の背景・課題、タワーヤーダ等機械化と路網新設による架線システムの改善、現場の事例などについて説明されました。
また、集材、造材、運材と一連の作業をバランス良く計画しなければ生産性の向上は望めない、タワーヤーダを使用することで熟練技術者以外でも短期間で索張りができる、流通能力の向上が今後の課題などとお話しされました。
続いて、東京製綱株式会社鋼索鋼線事業部市場技術部の須藤友明氏より、「架線集材(タワーヤーダ・ウッドライナー)向けロープの開発」のテーマで、講演がありました。
須藤氏は、ここ数年で何が変わったか? 国内林業の実態や従来の架線系集材方法、今後の架線系集材の課題、ワイヤロープについてとウッドライナー向け支索の開発状況を説明されました。
また、まとめとして、(1)林業の生産性向上のため、高性能な架線集材装置としてスイングヤーダの普及が進んでいる、(2)今後集材の幅を広げるにあたり、欧州製の自走式搬器であるウッドライナーが注目されているが、純正の欧州製ロープが入手困難であることが、普及の妨げになっており、国産品での対応が望まれている、(3)試作の結果、要求破断力を満たし、海外純正品と同等以上の耐疲労性が期待されるウッドライナー向け支索を製作可能である、(4)今後、実機試験での弊社製品の使用状況をフォローし、高性能装置への対応を拡大していく、などとお話しされました。
最後に、住友林業株式会社参事・資源環境本部技師長の片岡明人氏より、「法人山林所有会社から見る山林経営の実態と課題 機械化の現状等」のテーマで、講演がありました。
片岡氏は、国内3位の社有林(総面積約46,444ha)を持つ住友林業のお立場から、最終的な目標は山(川上)にお金が戻る仕組みを取り戻すこととして、住友林業の山林経営(バイオマス燃料関連、山林事業の歴史、林業経営の課題等)、川下の状況(木材流通の問題点、国産材の供給力等)、バイオマスに対する考え(住友林業のバイオマス事業、現在の問題点と解決方法等)について説明されました。
また、バイオマスを出すための努力として、山側のコストダウン・機械化、林地残材・未利用材の搬出技術、路網・林道整備の重要性などについてもお話しされました。
第2部は、質疑応答と「間伐材等国産材の供給力の増大方策について」をテーマにディスカッションが行われました。コーディネーターは、NPO法人蔵前バイオエネルギー理事長、NPO法人農都会議バイオマスWG運営委員の米谷栄二氏でした。
参加者から、木質バイオマス発電用途の拡大に伴い製紙用チップ価格も上昇していることへの感想は? 日本の林業はなぜ儲からないのか? 大手住宅メーカーはなぜ国産材の利用が少ないのか? タワーヤーダー導入の材搬出量など採算分岐点は? などの質問があり、活発に意見交換が行われました。
「林業技術の革新」勉強会も三回目となり、伐採・搬出技術、山林経営、造林・機械化等々、さまざまな角度から詳しく学ぶことができました。『山には木が沢山あるのに、なぜ出ないのか?』の解決策が揃った訳ではありませんが、ひとまず区切りを付けたいと思います。このテーマは、来年度もあらためて取り組みたいと考えます。
講師並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
※会員様には、講演資料・要旨とディスカッション、アンケート結果の概要を含むレポートをお送りします。
第1部は、最初に、有限会社川井木材代表取締役社長、高知県青年林材協会会長の川井博貴氏より、「架線集材システムの評価と課題 架線集材の可能性と普及策」のテーマで、講演がありました。
川井氏は、宿毛バイオマス発電所への燃料供給事業者のお立場から、高知県での施業地域の傾斜や地域の森林・林業の現状など事業実施地域の背景・課題、タワーヤーダ等機械化と路網新設による架線システムの改善、現場の事例などについて説明されました。
また、集材、造材、運材と一連の作業をバランス良く計画しなければ生産性の向上は望めない、タワーヤーダを使用することで熟練技術者以外でも短期間で索張りができる、流通能力の向上が今後の課題などとお話しされました。
続いて、東京製綱株式会社鋼索鋼線事業部市場技術部の須藤友明氏より、「架線集材(タワーヤーダ・ウッドライナー)向けロープの開発」のテーマで、講演がありました。
須藤氏は、ここ数年で何が変わったか? 国内林業の実態や従来の架線系集材方法、今後の架線系集材の課題、ワイヤロープについてとウッドライナー向け支索の開発状況を説明されました。
また、まとめとして、(1)林業の生産性向上のため、高性能な架線集材装置としてスイングヤーダの普及が進んでいる、(2)今後集材の幅を広げるにあたり、欧州製の自走式搬器であるウッドライナーが注目されているが、純正の欧州製ロープが入手困難であることが、普及の妨げになっており、国産品での対応が望まれている、(3)試作の結果、要求破断力を満たし、海外純正品と同等以上の耐疲労性が期待されるウッドライナー向け支索を製作可能である、(4)今後、実機試験での弊社製品の使用状況をフォローし、高性能装置への対応を拡大していく、などとお話しされました。
最後に、住友林業株式会社参事・資源環境本部技師長の片岡明人氏より、「法人山林所有会社から見る山林経営の実態と課題 機械化の現状等」のテーマで、講演がありました。
片岡氏は、国内3位の社有林(総面積約46,444ha)を持つ住友林業のお立場から、最終的な目標は山(川上)にお金が戻る仕組みを取り戻すこととして、住友林業の山林経営(バイオマス燃料関連、山林事業の歴史、林業経営の課題等)、川下の状況(木材流通の問題点、国産材の供給力等)、バイオマスに対する考え(住友林業のバイオマス事業、現在の問題点と解決方法等)について説明されました。
また、バイオマスを出すための努力として、山側のコストダウン・機械化、林地残材・未利用材の搬出技術、路網・林道整備の重要性などについてもお話しされました。
第2部は、質疑応答と「間伐材等国産材の供給力の増大方策について」をテーマにディスカッションが行われました。コーディネーターは、NPO法人蔵前バイオエネルギー理事長、NPO法人農都会議バイオマスWG運営委員の米谷栄二氏でした。
参加者から、木質バイオマス発電用途の拡大に伴い製紙用チップ価格も上昇していることへの感想は? 日本の林業はなぜ儲からないのか? 大手住宅メーカーはなぜ国産材の利用が少ないのか? タワーヤーダー導入の材搬出量など採算分岐点は? などの質問があり、活発に意見交換が行われました。
「林業技術の革新」勉強会も三回目となり、伐採・搬出技術、山林経営、造林・機械化等々、さまざまな角度から詳しく学ぶことができました。『山には木が沢山あるのに、なぜ出ないのか?』の解決策が揃った訳ではありませんが、ひとまず区切りを付けたいと思います。このテーマは、来年度もあらためて取り組みたいと考えます。
講師並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
※会員様には、講演資料・要旨とディスカッション、アンケート結果の概要を含むレポートをお送りします。
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