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11月6日「バイオマス発電産業の経済効果を考える」検討会の報告[2017年11月20日(Mon)]
 NPO法人農都会議 政策提言SG(スタディグループ)は、11月6日(月)夕、「バイオマス発電産業の経済効果を考える」検討会を開催しました。

11月6日SG検討会

 FIT施行から5年が経ち、現在、膨大な新設申請が認定されている木質バイオマス発電所ですが、カーボンニュートラルのバイオマス発電による地球温暖化防止や関連産業を含む雇用創造、林業への好影響などの効果は認められているものの、関連産業全体を含む経済効果、ベネフィットについては、数値を元にした議論が意外とされていません。
 そこで、当会は、標題の検討会を開くこととしました。
 バイオマス発電の経済効果の把握については、(1)マクロベースと個別事業(発電所)ベース、(2)直接効果(設備投資、人件費、燃料費=林業収入等)と波及効果込み(産業連関分析:関連産業、地域等への波及)、(3)現状と今後20年間などの観点があると考えられます。

11月6日SG検討会

 第1部は、最初に、株式会社E&T総研 研究顧問の岩佐啓正氏より、「バイオマス発電産業・事業の経済効果分析の概要と留意事項・課題―木質バイオマス発電所建設・運営事例より」のテーマで、講演がありました。
 岩佐氏は、次のようなお話をされました。
・バイオマス発電事業を取り巻く事例として、多気バイオパワー(6.75MW、建設費約25億円(推定)、年約10億円の収入見込み)、グリーンエナジー津(20MW、総事業費約90億円、年約36億円の収入見込み)などを紹介したい。
・三重県中部では4つの発電所が稼働・建設段階にあり、県産木質燃料の逼迫が懸念され(年間30万t必要)、燃料供給の安定化に向けての自治体支援モデル事業等が始まっている。
・全国産業連関表は5年に一度公表されるが、直近のものは平成23年版。約1年遅れで、都道府県版の産業連関表も公表される。
・経済効果分析では、取引基本表、投入係数表、逆行列表が使用される。
 (注)縦列の「投入部門」は、内生部門+付加価値部門、横列の「産出部門」は、内生部門+最終需要部門で構成され、その均衡式から種々の分析モデルが定められる。
・分析結果の数字が、独り歩きする危険性があり、使われた分析モデルの条件、投入額の部門分類法、消費転換係数、などについてのきちんとした評価が必要。
・経済効果として何を算定するかと言うと、バイオマス発電所建設費、発電事業(運用費)など投資額・費用を産業連関分析の投入額として、
 −1次波及効果―地元産業の生産誘発効果+地域の雇用者所得増+(固定資産税収増…等)
 −2次波及効果―地域での消費増+地元産業の生産誘発効果+(住民税収増 ………等)
 を算定する。
・経済効果の指標としては、生産誘発効果、雇用者所得誘発効果、雇用効果が挙げられる。
・モデル例として、25MW発電所の建設・事業費構成を示すと、
 −建設費―集荷施設整備費11.5億円+系統接続工事負担金等2.5億円+発電所建設費86億円=100億円(総工事費(初期投資額))
 −年間運用費―燃料費21億円+燃料運搬費3.3億円+プラント処理費2.7億円+人件費2.8億円+定期保守費2.5億円等=33億円
となる。
・経済効果は、直接投入額の総額を100億円とすると、雇用誘発数は706人、
 −1次波及効果―25億円、169人
 −2次波及効果―16億円、 89人
となり、総合効果は   
 −総合効果  ―141億円、965人
と試算される(乗数効果は1.41倍)。
・留意事項・課題としては、
 −投入額(投資額等)決定には、エンジニアリング部門をどう扱うか等注意が必要
 −設備メンテナンス費用等、EPC費用とO&M費用に係る扱いも注意が必要
 −燃料を含む調達について、域外からの調達(移輸入)の扱いについて注意が必要
 −地域経済効果を高めるためには、地域内での資金循環に係る分析も重要

11月6日SG検討会

 続いて、株式会社森のエネルギー研究所取締役営業部長の菅野明芳氏より、「木質バイオマス発電産業・事業の経済効果分析概要(計算方法、分析結果―経済効果の確認、留意点など)及び試算事例」のテーマでお話があり、マクロベース、個別ベース、熱利用等五つの検討事例の紹介がありました。
・マクロベース:みずほ情報総研「再生可能エネルギー等の関連産業に関する調査」にある再エネ5電源の買取期間での経済波及効果、地域への波及効果分析等。
・個別ベース:横国大大学院(森泉氏、本藤氏)「再生可能エネルギーと雇用創出ポテンシャル」(日本エネルギー学会誌)。
・個別ベース:真庭市「真庭市の地域戦略〜すべての「地域資源」を活かす」(「里山資本主義」真庭の挑戦)。
・個別ベース:東工大(重藤氏)「バイオマス活用による地域経済循環の事例解析」。
・熱利用等:森林総合研究所(垂水氏等)「地域に眠る木質エネルギーの熱利用で脱温暖化と地域活性化」、「薪でお金が地域を回る」。


 第2部は、質疑応答と「バイオマス発電産業の経済効果の検討、今後の進め方」をテーマに意見交換が行われました。司会・進行は、NPO法人農都会議理事・元バイオマスWG座長の木村 忠夫が務めました。
 司会から、まず、次の意見が紹介されました。
・個別案件ベースとともに、マクロベース(木質バイオマス発電産業全体の日本経済への効果)の把握も重要と思われる。
・林野庁の試算例(平29年3月末)では、FIT認定木質バイオマス発電施設で稼働中、61件(うち未利用材使用39件)。5,000kWの地域経済への効果として、発電量:一般住宅約12,000世帯分、燃料となる木質バイオマスの使用量:年間6万t、発電収入等:燃料全て未利用材とすると売電収入は約12〜13億円程度、燃料代として年間約7〜9億円程度が地域に還元、創出される雇用:間伐材の収集・運搬、加工、発電所等で計50人以上となっている。主に間伐材等由来を使用するものの、稼働済み容量約30万kWから単純試算すると、年間約500億円程度が地域に還元。
・バイオマスWGの試算例(菅野氏修正版による)に、今後5年間の稼働見込み案件の建設投資額、運転維持費・燃料費の推計がある。

11月6日SG検討会

 続いて行われた質疑、意見交換の概要です。(○印:質問・意見、・印:回答)
○未利用材は、もっと利用できないのか?
○熱電併給の成功例はないのか?
・岐阜県高山市「しぶきの湯バイオマス発電所」などの例がある。
・行政においても、バイオマス発電(個別及びマクロ・ベース)の経済効果の一層の明確化をお願いしたい(5,000kWベースでは、実態から見て小さい)。このためにも、バイオマス発電所に関する統計の整備が期待される(FIT認定件数、木質バイオマスエネルギー利用動向調査の活用も含めて)。
○海外材は、持続可能性やトレーサビリティの点でどうか?
・小規模の熱利用・熱電併給の事例を整理し、情報共有化・共通化したい。

 今回の検討会は、予想以上に盛会となりました。バイオマス発電産業・事業の経済効果に関心が高いことが分かり、論点や課題を整理する有意義な場になったと思います。来年度に予定されている国の「エネルギー基本計画」の議論が始まっていますが、当会も必要あれば提言とりまとめを検討したいと思います。
 講師の皆並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。

(付記)
 11月9日付で、次の林野庁ホームページに、「木質バイオマス熱利用・熱電併給事例集」が掲載されたのでご参考にしてください。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/riyou/171109.html
Posted by NPO農都会議 at 11:08 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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