初日の9日はプラクティス・レース(練習走行)3レースと開会式があり、10日はトラベゾイド(台形型)のコースで午前中に2レースが実施されました。
午後のコンディションは天候が晴れ、多少うねりのある海面で、波高約1m、風向265度、風速5mの中、第3レースが始まろうとしていました。14時12分に420級・FJ級がスタートした後、OP級Aクラスは14時17分スタート、Bクラスは5分後の14時22分にスタートしました。
OP級Bクラスに出場したB&G高松海洋クラブの選手は、1マークから2マークに向かう途中の中間くらいでバランスを崩し沈をしてしまい、センターボードを持ち、沈おこしをして艇を起こしたものの、うねりと波で手が離れ、艇が流されてしまい自身は海に漂いました。
その際、近くにいたOP級Aクラスに出場しているB&G別府海洋クラブ中学1年生の神鳥朝凪選手が、その状況を見てレースを中断して救助活動に入り、自分の艇にB&G高松海洋クラブの選手を引き上げました。
Aクラスの後方につけていたジュリーボート(運営が乗っている船)も、2隻の艇がセールをシバーさせている時間が長いのと、無人のレース艇に気づき、すでに救助活動をしていた神鳥艇からB&G高松海洋クラブの選手をジュリーボートに移乗させ、漂っていた無人のレース艇に接舷し再乗艇させてハーバーに曳航しました。
神鳥選手はこの救助活動のため大幅に遅れジュリーボートにリタイアを申告しました。その際、運営から何らかの救済する旨を神鳥選手に伝えられました。
その夜、スポーツ交流村のレストランで大会役員や選手・指導者・保護者が参加して開かれたレセプションにて、岡村勝美レース委員長からセーリング競技規則の第一章、基本規則の安全が記載されている「危険な状態にあるものを助けること」の条文「艇または競技者は危険な状態にある人員または船舶に対して、可能な限りのあらゆる救助活動をしなければならない」を紹介した後、今日のレース中に自分のレースを中断して救助活動をおこなった事例を紹介されました。
神鳥選手や神鳥選手を指導しているB&G別府海洋クラブの濱本徹夫代表が紹介され、救助されたB&G高松海洋クラブの選手とも握手を交わし、大きな拍手が沸き起こりました。
レース委員会事務局は、神鳥選手に特別賞として素敵な白いウインタージャケットを贈りその行為を称えました。
左からB&G別府海洋クラブの濱本代表と白いウインタージャケットを着る神鳥選手。
右には岡村レース委員長
レース途中の救助活動は、うねりや波が高いうえに8m近いブローも吹き、救助した神鳥艇も不安定な状況にありましたが、ジュリーボートの状況判断も良く事故にもならず済みました。
なお、この大会では救助活動の必要な際は、各運営艇に赤旗が出ると各クラブの支援艇は、レース海面に入り救助活動をするよう事前に周知徹底されているほか、特にOP級Bクラスは旗が揚がらなくても、後方からレース海面に入り監視しながらの安全確認も特に許可されていて、支援艇がすぐ救助艇として救助体制が取れるようになっていました。
記事:四国ブロック特派員OB B&G高松海洋クラブ 陶山 哲夫