炎上には2つのパターンがある近頃、よく耳にするようになった「炎上」という言葉。これは、ネット上のある情報に対して不特定多数の人が大量の誹謗中傷をコメント欄に書き散らして手がつけられなくなってしまうことを指します(意図的に炎上させて注目を浴びようとすることを「釣り」と言うそうです)。
先日、私が受講したある広報研修会によると、企業絡みの「炎上」には“企業の不祥事”と“一般従業員の投稿による炎上”の2つのパターンがあるそうです。このとき紹介された、2つのパターンの事例を紹介したいと思います。
“企業の不祥事”編大手チェーンのうどん店で食事をしたお客さんが、せいろの竹すだれを裏返してみたところ、カビだらけであることを発見。すぐにクレームを入れたものの店長不在で対応してもらえなかったことから、翌日、同チェーン店のFacebookに竹すだれがカビだらけになったせいろの写真を投稿しました。
その写真を確認したチェーン店は、投稿したお客さんに連絡を取って謝罪し、さらに翌日、「全店舗での確認を完了し、スタッフの指導を完了しました」という文面をFacebookで報告したところ、あっという間に炎上してしまいました。
では、なぜ炎上したのでしょうか? ここでのポイントは「個人への謝罪とFacebookでの報告のみ」で済ませてしまったことにあります。衛生管理やクレーム対応にミスがあったことも炎上の理由に挙げられますが、Facebook上での報告は一般的に公表の謝罪としては認められていないのです。Facebook上での対応で十分とした会社の判断が、問題拡大の要因になってしまったのでした。
広く迅速にメッセージを発信できるSNSですが、謝罪文などの公文書に関しては、公式HPへの掲載やメディアへの情報公開が不可欠のようです。

食べ物ネタはSNSの定番メニュー。
多くの人が関心を寄せているだけに、問題が生じたときの対応は慎重にしなければなりません
“一般従業員の投稿による炎上”編あるホテルでアルバイトをしていた大学生が、宿泊客の中に有名人カップルを発見。そのことを2人の実名を挙げて自分のTwitterに投稿したところ、非難が集中して炎上してしまいました。
事態を知ったホテルは、即座に謝罪文をHPに掲載。しかし、投稿したアルバイト生に対する非難が止むことはなく、とうとうTwitter上で犯人探しが行われるまでに事態がエスカレート。その結果、投稿してから約5時間でアルバイト生の顔写真と身元が誰かの手によって公開されてしまいました。
この出来事における炎上ポイントとしては、有名人のプライバシーを侵害してしまったアルバイト学生本人の常識の欠如が挙げられますが、ホテルにおける従業員への指導不足も問題です。情報漏えいに関する研修や指導が行き届いていなかった結果、このような事態に陥ってしまったのです。

個人情報の漏えいは、企業・団体の信頼を失墜させてしまいます
危機管理のポイント紹介した2つの事例を見て分かるように、企業、団体の不祥事による炎上は、一度起きてしまうと一気にネット上で拡散していきます。ですから、情報拡散のスピードに対応するためにはスピードのある危機対応が必要です。広報研修会で学んだ、炎上を防止・抑止するポイントをまとめてみました。
@炎上の防止・ネット上に掲載する内容のマニュアルを作成。
※どのような内容なら良くて、どのような内容は良くないのかを理解・把握する。
・職員研修の徹底。
作成したマニュアルをもとに危機意識を高める。
A炎上の抑止・1日1回は自社(団体)の名前を検索エンジンで調べる。
・問題が起きた場合、即座に原因究明と「現在調査中」という途中経過を報告する。
・早急にHPやメディアへ情報を公開する(HPの謝罪文は短くとも3ヵ月間は掲載)。
SNSを利用する以上、どんな企業、団体といえどもリスクをゼロに抑えることはできませんが、いざというときの危機事態における適切な対応は、むしろ社会的な評価に繋がるとも言います。問題が起きたら、あわてず即座に対応できるよう、SNSを利用される皆さんには、日頃から十分な危機管理意識を持っておいていただきたいと思います。
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