【こうほう雑記帳】 心構えが地域の安全を守る [2015年11月27日(Fri)]
こうほう雑記帳
心構えが地域の安全を守る B&G財団 事業部海洋教育課 木上源太(京都府南丹市 自治体派遣研修生) 皆さんは、今年あった大きなニュースをいくつ覚えていますか? 大きなニュースであっても、月日が過ぎたり他人事であったりすれば、意外と忘れてしまうものです。 一昨年の9月15日から16日にかけては、京都府などが台風18号に襲われました。その年に創設された特別警報が初めて発令され、私の働く南丹市もこの台風により多大な被害を受けました。 私はその年に入庁したばかりで、まさか自分の働く自治体が洪水の被害に遭うとは思いもせず、翌10月に予定されていた市の防災訓練を前に、本物の災害を経験することになってしまいました。 南丹市園部公園も冠水。ひどい時間帯には、もっと水かさがあって激流の状態でした(左) 公園内にある陸上競技場の施設には1メートルを超える浸水があり、 建物と競技場を合わせて1億円を超える壊滅的な被害となりました(右) |
まさかのときに発生する災害 雨天が災害に発展する前日の9月15日(土)、経験のない私は、台風の進路も逸れていることから市役所職員の動員はないだろうと思い、京都市内に滞在していました。翌16日(日)未明、携帯電話が鳴って動員の指示を受けましたが、この時も私は、まさか甚大な災害に発展するとは思いもしませんでした。 携帯電話に起こされた私は、急ぎ身支度を整えて南丹市に向かうため京都市内を車で走り始めましたが、渋滞で全く進めず、別のルートを通って高速道路にたどり着きましたが、今度は通行止め。仕方なく国道を抜け、なんとか市役所に到着しました。 私の部署に与えられた仕事は、避難所への物資の輸送、避難所開設及び運営、また、社会教育施設(体育施設を含む)の被害状況の確認でした。 しかし、私にとって避難所の開設などは経験したことのない仕事です。何をすれば良いのか分からず、迅速な行動が取れないまま市民の方々の役に立つことができなかった思いを今でも持っています。 そして今年、茨城県や栃木県などを襲った東日本豪雨災害も、私にとってはまさかと思う出来事でした。なぜならば、台風でもない風雨があのような規模の災害に発展するとは想像もしていなかったからです。 栃木県常総市の浸水被害を受けた家々の家財。 B&G財団では災害ボランティアに職員を派遣しました B&G財団では今年度から、避難所に指定されている海洋センターを対象に避難所開設訓練を順次実施しています。私も訓練に参加させていただきましたが、段ボールの仕切りで体育館のなかに生活スペースを作る作業などは、事前にレイアウトを考えておかないと手間取ってしまいます。訓練を通じて、実際にやってみなければ分からないものが多いことを知り、日頃から避難所を開設するにあたっての知識やスキルを身に付けておくことの大切さを痛感しました。 海洋センター避難所開設訓練の様子。 家族、グループごとに生活スペースの設営をしています。 実際の災害となれば、一人あたりのスペースはもっと狭くなっていくと思います ハザードマップは防災の基本 災害は常に想像を超えて発生する。 だがしかし、本来であれば想像を超えてはならない。 災害などが起こらないことが一番であり、平穏な暮らしができることを願うばかりではありますが、「まさか自分の身には起こらないだろう」ではなく、「いつ起こっても大丈夫」という心構えを持ち、万が一の場合に備えておくことが大切です。 そこで、まず役立てていただきたいのが、どこの自治体でも公開しているハザードマップ(防災マップ)です。ちなみに、南丹市のハザードマップを見ると、水被害や土砂災害などが想定される地域がひと目で分かるようになっており、事実、台風18号による多くの被害は想定されていた箇所で発生しました。 自然災害は誰だって避けたいはず。自分の身は自ら守る意識を持ち、自らも学んだり調べたりするためにハザードマップは不可欠であり、手に取って自分が暮らしている地域の様子を知ることが自主防災につながります。 ハザードマップは多くの自治体でインターネット上でも公開されており、いつでも簡単に見ることができます。 参考:南丹市防災マップ もちろん、直接、役所に問い合わせていただいても構いません。 「今」、気になったあなた!! ぜひ「今」、確認してください! 南丹市のハザードマップ。 水被害や土砂災害などが想定される地域がひと目で分かります |