【こうほう雑記帳】 安全管理にこだわる指導者を目指したい! [2015年11月06日(Fri)]
こうほう雑記帳
安全管理にこだわる指導者を目指したい! B&G財団 広報課 山口 優(福井県大野市自治体派遣研修生) これまで私は、普段の生活や仕事において子供にかかわる機会がほとんどありませんでしたが、2015年度自治体派遣研修生としてB&G財団の事業に携わるようになったこの半年の間に、子供たちが海洋性レクリエーションやキャンプ等の活動を通じてたくましくなっていく姿を何度も見ることができました。 自分にとってこれはとても良い経験になっていますが、子供に接する仕事を学ぶなかで驚いたこともあります。それは、毎年、子供たちの水辺の事故が後を絶たないという悲しい現実であり、水難死亡・行方不明事故の約半数が水遊びをしている最中に起きています。 |
「まさか・・・」を少しでも減らしたい 警視庁の調べを見て分かるように、私たち大人は海洋性レクリエーション等の自然体験に危険が付きまとっていることを十分に理解する必要があります。ゆえに、リスクマネジメントはB&G指導者における最も重要なテーマであるべきです。 そのことを考えるたびに、私はアドバンストインストラクター指導者養成研修で子供たちの安全管理について学んだことを振り返り、「子供は大人の予測しない行動をとる。それを前提に安全対策を講じなければなければならない」、「子供が遊びに夢中になると大人から言われた注意点を忘れやすい。だから、子供に対する注意は行為の都度に行う」などと教えていただいたことを思い出します。 事故が起きた時、人は口をそろえて「まさか・・・」と嘆くことが多いと思います。「まさか・・・」による事故を可能な限り減らすために、子供たちに対して大人は最大限に気を配らなければなりません。 ![]() 「死者・行方不明者(子供)の水難場所別の割合(n=55人)」 警視庁 平成26年中における水難事故の概況より(PDF) ※子供とは中学生以下のことを指す 河川や海といった、楽しいレジャーの現場で起きる事故が多いことが分かります 事故は○○によって起こる 皆さんは、小見出しの○○に何が入ると思いますか? 不注意、未熟、気の緩み・・・。いろいろありますが、どれも正解です。アドバンストインストラクター指導者養成研修では、「事故は無知と無理によって起こる」と教わりましたが、未熟は「無知」に通じ、「無理」を続ければ不注意気などが起こります。 では、「無知」や「無理」を減らすために私たち大人はどうしたら良いのでしょうか。海洋レクリエーションなどの自然体験活動する場合、B&G指導者なら自ら海や森などの現場に入って下見を行い、地形的特徴や危険個所等について確認しています。つまり、活動場所の知識を得ることで「無知」を減らす努力をするわけです。 また、参加する子供たちの健康状態や泳力などについて質問紙を用いた事前調査を行い、その結果をもとに「無理」のない行動計画を立てるほか、当日も子供たちの顔色や動作に注意を払いながら、必要があれば計画内容の変更も考えます。 ![]() バディを組んで互いの安全を確認。 集団での移動や自由行動をともなう場合などに大変有効なシステムです 求められる情報の共有化 事前の調査とともに大切なことは情報の共有化です。安全に活動するうえで指導者同士の情報の共有が非常に重要だと実感したのは、10月中旬にB&G葉山海洋クラブの活動に指導実習として参加した時のことでした。 同クラブでは、朝のミーティング時にスタッフが集まって当日の活動について互いに気をつける点を話す「危険予知トレーニング」を行ったり、活動終了後には評価会を開いて良かった点や悪かった点、改善案について話し合いをしたりして情報の共有化を重視していたのです。 相手の意見に耳を傾ければ、自分が至らなかった点を振り返りながら「無知」や「無理」を減らすことができます。子供たちを守る安全管理の質を向上させるうえで、情報の共有化は非常に大切なことだと思いました。 ![]() B&G葉山海洋クラブでは活動終了後に評価会を実施。活発に意見が飛び交っていました より多くの笑顔を求めて B&G葉山海洋クラブを例にするまでもなく、B&G財団の事業に携わりながら自然体験活動に参加する子供たちと接していると、誰もが驚くほどの笑顔を見せてくれますし、特に初めて海や川に触れるような子は、とても生き生きとした目になります。 ですから、私も派遣研修を終えて地元に戻ってからは、水辺の事故による悲劇をなくす努力をしながら、より多くの子供たちに自然体験活動を楽しんでもらえるように指導していきたいと思っています。子供たちを元気にしていくことで、大人も明るくなり、ひいては地域の活性化に繋がっていくのではないかと期待しています。 ![]() 元気に活動を終えたB&G葉山海洋クラブの皆さん。 こんな力強い笑顔を私の地元にも広めていきたいと思います |