遊びたいのに遊べない格差しかし皆さんは、この日本において“遊びたいのに遊ぶことができない子供たち”が少なからずいることをご存知ですか。今、経済的事情や家庭問題などにより、自然体験活動に参加することが困難な子供たちが増えています。私たちは、そのような状況を「体験格差」と捉え、その是正に向けた事業の検討を進めています。政府も「子供の貧困対策に関する大綱」を発表するなどしてこの問題を注視しており、企業やNPOなどの団体も関心を寄せています。
このようにして、官民が一体となって困難な状況にある子供たちの支援を進めていますが、とても残念に思うことがあります。それは、多くの取り組みが学習支援であり、自然体験活動については、あまり着目されていないという事実です。

帆船のバウスプリットを登る子供たち。小さな冒険の積み重ねが成長につながります
先日、同僚が学習支援を行っているNPOの方とお話しをしたときに、「やっぱり学習支援が大切なんです」と言い切られました。確かに学力は、数値データとしてテストや偏差値などで客観的にその効果を図ることができます。一方、自然体験活動は、思いやりや正義感、道徳観などの社会性を身につけることや学習意欲の向上に効果があることはわかっていますが、それを計測し、わかりやすく伝える方法が確立されていません。こうしたことも、自然体験活動の重要性があまり理解されない一因のようです。
求められる『学習と体験』の両輪ところが、歴史を振り返ってみると、すべでの学問は自然科学を起因していることが分かります。アイザック・ニュートンはリンゴが木から落ちるのを見て万有引力のインスピレーションを得た(諸説あるようですが)とも言われていますし、ベンジャミン・フランクリンは嵐の中でも凧を揚げる技術があったからこそ、雷が電気であることを知りました。
実際、自然体験活動を楽しむ子供たちからも、「海の匂いが違う」、「沖縄の海は、地元の海よりしょっぱい」(皆さんは、これらの理由が分かりますか?)などの声をよく聞きます。「このヤドカリは何を食べているのかな?」、「なんで中国語のゴミがあるの?」といった質問をする子供たちもたくさんおり、遊びを通じて知的好奇心を刺激されていることがよくわかります。

栽培漁業について学ぶ子供たち。知識と体験の両輪が知的好奇心を高めます
確かに学習支援は大切ですが、長い人生において高校受験や大学受験は一つの通過点です。成長して社会に出る子供たちの未来を考えるのであれば、心を豊かにし、社会性を育み、知的好奇心を刺激する自然体験活動も、学習同様に支援をしなければならないのではないでしょうか。今の子供たちの10年は、60年以上続く人生を生き抜く土台となるものです。
日本の次代は常に子供たちが担います。困難な状況にある子供たちの支援が、学習と体験が両輪となるよう、B&G財団では新たな事業の企画立案を進めています。
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