開会式後に参加者は、自治会、中・高生男子、中・高生女子、指導員の4グループに分かれ、それぞれのグループで各個人の役割分担(総務・情報広報・保険衛生・被災者管理・食料物資・施設管理)を決定しました。(全員いずれかの役に就きます)
その後、役割分担ごとに活動班を形成。各々で検討会を開催し、活動班ごとに避難所において何をするべきか、何が必要かについて活発に意見を出し合いました。
各活動班から活発な意見が出ました。
みんなが率先して避難所を開設各活動班の活動内容がまとまると、最初に施設管理班の指示に従ってグループ毎の生活場所を区切る設営をしました。体育館を仕切るには、主に体育館の備品である卓球フェンスを使いましたが、フェンスが足りない場合は、ダンボールを加工して間仕切りをしました。
その後は、手が空いた人から備蓄物資(非常食・飲料水・毛布等)を搬入したり、避難所の情報共有化のため、ロビーに掲示版を設置しました。
ここまで、さくさくと避難所設営できたのは、一人一人が自分の役割について認識し、参加者が率先して動いてくれたからだと感じます。
ダンボールフェンスを繋ぎ合わせるときは、割り箸を繋ぎ目に5〜6本挟み込むことで、
ダンボールフェンスの強度が上がります
特に、各グループ、各活動班のリーダーが集まる避難所運営委員会では、西目高等学校の生徒が委員長に就任し、今後の課題等について各委員が意見を出し合いました。委員の皆が少しでも快適な避難所を運営するために、委員会が一丸となって取り組む姿勢はすばらしいです。
委員長のリーダーシップには脱帽です
防災意識向上のための様々な訓練避難所開設だけでなく、他にも様々な訓練が行われました。
日本赤十字社秋田県支部の方を招き、救命講習として「AED講習」と「包帯法」を学びました。AED講習では、人形を使った心肺蘇生法やAEDの使用方法を、「包帯法」では三角巾を用いた止血法や足のねんざ時の固定処置法等を熱心に学びました。
AED講習、真剣に取り組んでいます
他にもプール水を浄化装置によって飲料化して実際に飲んでみたり、「災害伝言ダイヤル」を運用したりするなどして、災害時に使う機器の使用を体験。普段の生活では使用しない道具に戸惑うこともありましたが、皆が使い方を学ぼうと率先して体験していました。
浄化装置によってプールの水をろ過し、飲み水を確保できます
被災地体験講話被災地体験講話では、災害ボランティアリーダーの八代氏より東日本大震災を中心とした被災地の話を語っていただき、参加者は被災地の写真や津波の映像に恐ろしさを感じていました。八代氏は、ボランティアを続けている理由に「被災地の人の笑顔のためである」と話した上で、犠牲になった人々の無念さ、夢、家族への思いを受け継ぐため、一人一人がいのちのリレー選手となって、震災で起きたことを途絶えさせず伝えていくことの大切さを訴えていました。
八代氏から伝える続けることの大切さを学びました
災害に対抗する地域力参加した中・高生達は、今回の避難所開設訓練において、避難所での生活することの大変さやそれを乗り越えるためには、互いに協力して生活していかなければならないことの大切さについて学んだとの感想が寄せられました。
自治会の方々も「訓練は必要だと思うので、体験者を多くできないか」、「他の町内会にも参加を募って訓練を行うのも良い」などと意見を出しながら、地域に避難所開設訓練を広める必要性を感じていました。
八代氏の被災地体験講話の中では岩手県洋野町の話も紹介され、昭和に大津波の被害にあってから洋野町では、「震度3で高台へ避難すること」「高台への避難路の草むしり」など徹底した防災意識が住民の中に根付いているとのことでした。
実際、東日本大震災のとき洋野町では犠牲者はいなかったそうです。私は、これこそ自然災害に対抗しようとする地域力の強さが出た良い例であると思います。また、今回、参加した人達が、自らの訓練体験を家族、友達、ご近所に広めながら、共通の意識を広げ、防災における地域力を向上させていくことが重要と感じました。私が所属する福井県大野市B&G海洋センターを含め、全国のB&G海洋センターが地域力向上のきっかけづくりの拠点になれるよう目指していきたいです。
B&G財団 広報課 山口 優(自治体派遣研修生)