〜「サミット」の開催も決まった英虞湾でカヌー体験!〜キャンプ初日、最初のプログラムは大小様々な島が点在する英虞湾(あごわん)でカヌーのツーリングを楽しむ「英虞湾カヌー体験」です。カヌーで湾内を移動しながら水中眼鏡を持って海中を探索したり、真珠の養殖いかだに接近したり……。ちょっと風が強い中での体験でしたが、子供たちは一緒に乗ったバディ2人で協力し合いながら、90分間のカヌー体験を楽しみました。
このプログラムは、志摩自然学校が全面協力。子供たちは、学校の皆さんからカヌーを指導してもらいながら、安全を守ることの大切さなども教えてもらいました。
楽しみながらも安全に活動するため指導を受けました
2人1組の「バディ」で楽しんだカヌー体験。
湾内は波も穏やかで風光明媚な景色が広がっていました
〜「海の環境と水産業」について学ぶ〜海から上がった後は、三重県水産研究所の協力によって「海の環境と水産業」について学習。「赤潮」の発生と水産業への影響、アサリを使った海水浄化実験、漁業者の減少と高齢化、真珠やイセエビの養殖方法など、海の環境と水産業の関わり、自分たちの生活と海・水産物の密接な関わりについて学びました。
水産に関する様々な研究データを見せてもらいました
左が赤潮の海水。右がアサリを入れて浄化した海水。皆、真剣なまなざしです
〜船の揺れから自然の偉大さを体験?〜2日目は、最初のプログラムで鳥羽商船高等専門学校(「鳥羽商船高専」)の練習船「鳥羽丸」に乗船。実際に航海をしながら船員の仕事を見学し、洋上でスナメリの観察を行いながら水族館の仕事も学びました。
午前中は波が高くて船が大きく揺れ、船酔い者が続出。自然の驚異・偉大さを感じたかもしれません。三重県鳥羽から愛知県伊良湖岬まで5時間の船旅です。「鳥羽商船高専」の教員・船員・学生から航海や機関に関して教えてもらうとともに、甲板から水平線を眺めてタンカーやコンテナ船などを観察しながら各船の役割について学びました。
また、「鳥羽水族館」の飼育員も乗船してスナメリや海鳥を観察。残念ながら海上は白波が立ち、スナメリを見つけることができたのは数名でしたが、水族館の仕事について色々な話を聞くことができました。
「鳥羽丸」を操船。車と同じようなハンドルに「えっ?」
ちょっと波が大きくて揺れたけれど、甲板から大海原を観察!
〜魚料理に挑戦 魚嫌い克服?〜下船後は「海の博物館」に移動し、学芸員やボランティアの指導のもと、魚料理に挑戦しました。自分たちで作った料理を夕飯にします。海の恩恵を最も感じるのが、この魚料理かもしれません。
今回の食材は、鯛・タコ・サザエ・ひじきなど。鯛のウロコ取りからさしみづくり・塩焼き、タコは塩もみし茹で、さしみに。ひじきを炒め、サザエを茹で……。鯛やタコに初めて触る子供もいましたが、皆、興奮しながら包丁を握っていました。
タコの切り方をボランティアから教わります
約3時間かけた自慢の魚介料理です
〜アマモ場の体験から海の環境について学ぶ〜最終日は、「海の博物館」の学芸員による指導を受けながら、アマモ場で生物観察をしながら海の環境について学びました。近年、海水の浄化や小魚等の生育場所として注目されているアマモ場で、ハゼやスズキ、イカ、カニなど多くの生物採取。中でも、タツノオトシゴとアオリイカの卵が大人気でした。
また、こうした生物観察を通じて陸から流れてきた有機物がアマモ場にたまり、その有機物をプランクトンや小動物が食べ、小動物等を大きな魚が食べるといった食物連鎖について学習。徐々に水位が下がる体験を通じ、潮の満ち引きについても学びました。
水中眼鏡で魚を見つけ、網でがばっと捕獲。
獲物は、1つ1つ「これはなに?」と確認していきました
こうして、あっという間に過ぎた3日間。船酔いに苦しんだ時もありましたが、「海」「船」「海の仕事」について様々な興味を持つことができたのではないでしょうか。将来、このキャンプに参加した子供達の中から、海を守るリーダーが生まれることを願っています。
また、最初は緊張気味だった子供も、最後にはたくさんの友達ができたようです。小学4年生〜中学3年生が参加し、年上を敬い、年下を思いやる、そんな異年齢の交流も貴重な体験になったことと思います。
B&G財団 海洋教育課 朝日田 智昭