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昆布の赤ちゃん?海藻で化粧品を作る?「海藻の魅力」にふれる中高生向け体験講座「はこだて海の教室」を開催しました! [2025年03月14日(Fri)]
一般社団法人 Blue Commons Japan は、2024年12月15日〜2025年2月16日の期間に、中高生を対象とした体験講座 「はこだて海の教室」 を開催しました。本講座は、海について学び、海の未来を考えること を目的とした全4回の連続プログラムです。参加者たちは、海藻に関する座学や昆布種苗の観察 を通じて、海の生態系や環境について理解を深めました。また、海藻を活用したものづくり にも挑戦し、地域の海が持つ多様な魅力を体験しました。
本イベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐことを目的とした 日本財団「海と日本プロジェクト」 の一環として実施されました。

【第1回:安井先生による講義「いろいろ知ろう!コンブの生態や活用法」】

連続講座の第1回目では、北海道大学名誉教授の 安井肇先生 をお招きし、「いろいろ知ろう!コンブの生態や活用法」と題した講義が行われました。

講義では、北海道各地で採れる昆布の種類や違い、それぞれの特性や活用方法について詳しく解説されました。特に、函館近海で採れる 「真昆布」 や 「ガゴメ昆布」 については、養殖技術の高さを活かした多様な活用法が紹介されました。

安井先生は、「昆布は旨味が抜群で、健康に良い成分も豊富に含まれている。北海道で採れる昆布にはそれぞれ個性があるので、ぜひ興味を持ってほしい」と語り、参加者たちは熱心に耳を傾けていました。
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その後、実際の昆布種苗の観察 を行いました。参加者からは、「こんなに小さな昆布の種苗が、最終的に5メートルを超えるサイズに成長するなんて信じられない!」といった驚きの声が上がっていました。
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【特別ランチメニューの「海藻ランチ」】

昼食には、函館国際ホテルの木村史能 総料理長 による特別メニュー 「海藻ランチ」 が提供されました。この日のために、木村総料理長が腕によりをかけ、道南産の海藻をふんだんに使用した特別なメニュー を用意してくださいました。料理には、真昆布やガゴメ昆布 はもちろん、講義にも登場した 細目昆布、アカモク、青海苔 など、多彩な海藻が使用されており、それぞれ異なる調理法で楽しめる内容となっていました。
参加者からは、
「どの料理も本当に美味しい!」「海藻ごとに食感が違って、とても楽しい!」
といった感想が寄せられ、海藻の新たな魅力を発見する機会となりました。
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参加者からも、以下のような感想が聞かれました。
これまで昆布や海藻について深く考えたことがなかったので、その魅力を知る良い機会になりました。講義を聞いて、昆布や海藻には私たちが知らないさまざまな可能性があることを学び、もっと多くの人に発信したいと感じました。
お弁当は本当にどの料理も美味しく、特にサラダにのっていたアカモクのシャキシャキとした歯ごたえが印象的でした。普段あまり意識せずに食べていた海藻も、種類によって食感や風味が違うことを実感し、新しい発見がたくさんありました。
昆布の活用方法をさらに深く学び、自分でも活かせる知識を増やしていきたいと思います。今後の講座がますます楽しみです!


【第2回:海藻の活用法を知って化粧水をつくってみよう!】

第2回は、北海道マリンイノベーション株式会社の布村さんによる、海藻の具体的な活用例の紹介と、本日のメインテーマである ものづくり体験 の説明からスタートしました。今回は、海藻由来の化粧水作り に挑戦します。

まず、ガゴメ昆布がなぜ化粧水の原料として使われるのかについて、布村事務局長から詳しい解説がありました。海藻に含まれる 粘性多糖類(ネバネバ成分) には高い保湿力があり、肌に良い影響を与えることが知られています。こうした特性を活かした海藻の具体的な活用例についても紹介され、参加者は興味深そうに耳を傾けていました。

また、今回の化粧水作りでは 「クリーンルーム」 に入ることができるため、その希少性や入室時の注意点についても説明がありました。
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早速クリーンルームに入っていきます。


3人1組でクリーンルームに入りますが、その前に、丁寧な手洗いや、コロコロで衣類のチリなどを取って、全身を覆えるクリーンウェアに着替えてから、入室をします。
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※中の様子はLive映像で会議室に共有されます。
クリーンルームに入ること自体がなかなかない経験です。参加者たちは緊張した面持ちで、入室していきました。その後は、クリーンルーム内で化粧水への香り付け、混合、充填作業を行います。
参加者からは、

「クリーンルームに入ったことがなく、とっても楽しみだった。かなり緊張したが良い経験になった。」
「商品を作って出すには、衛生管理なども重要で、ここまでやっているのか、と感心した」

などの感想が出ていました。完成した化粧水には、自分でデザインした オリジナルパッケージ を貼り、各自がお土産として持ち帰りました。参加者からは、以下のような感想が聞かれました。
海藻にこんな使い方があるなんて驚いた!自宅に戻ったら家族にも伝えたい。
海藻が食べる以外にも活用できるとは知らなかった。もっと可能性があるのでは?とワクワクしたので、次回の講座も楽しみ!
海藻の多様な活用法を学ぶ、貴重な体験となりました。

【第3回:海藻石鹸(マリン石鹸)をつくってみよう】

第3回目の講座は、前回の振り返りと昆布・ガゴメの種苗観察 からスタートしました。以前観察したときよりも サイズが大きく成長 しており、参加者たちはその変化に驚きながら、海藻への興味や関心をさらに深めていました。続いて、今回も 北海道マリンイノベーションの布村さん から、海藻の具体的な活用例 の紹介と、本日のメインテーマである ものづくり体験 の説明がありました。今回は 海藻石鹸(マリン石鹸)作り に挑戦します。
布村さんからは、海藻と石鹸の関係性、歴史、そして製造過程で起こる化学反応について詳しい解説があり、参加者たちは熱心に耳を傾けていました。

現在の石鹸の原型は、12世紀ごろに地中海沿岸で オリーブ油と海藻灰を原料とした石鹸 が量産され始めたことに遡ります。つまり、石鹸の歴史には「海藻」が深く関わっているのです。そこで今回は、伝統的な製法にならい オリーブオイル100% を使用して石鹸を作ることになりました。さらに、石鹸をより使いやすくするための補助成分として、海藻の粉末 など「海」に関連する材料を加え、オリジナルブレンドの マリン石鹸 を作ることにしました。副原料として混ぜるのは、「ガゴメ粉末」「アカモク粉末」など5種類です。
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薬品を使用するため、製造エリアへ移動し、専用ウェアに着替えて作業を開始しました。本格的な準備に、参加者たちの期待感も高まります。
【いよいよ製造開始!】
今回は 石鹸のベース をあらかじめ用意し、そこに各自が選んだ 副原料を混ぜてオリジナルのブレンドを作る という形で進めました。
各材料にはそれぞれ異なる特徴があり、たとえば ガゴメ粉末を加えると、よりしっとりとした使い心地になる など、配合によって仕上がりが変わります。参加者は、自分好みの石鹸を作るため、慎重に材料を選び、混合作業を行いました。混ぜ合わせた石鹸の素地を 型に流し込み、恒温器に入れます。この後、24時間かけて化学反応を進め、その後3〜4週間熟成させることで完成 します。
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布村さんは、次のように話してくださいました。
「石鹸と海藻には意外なつながりがあり、今回はその関係を活かして ‘海’ をテーマにした副原料を使用しました。実は、化粧品の世界では ‘海洋療法(タラソテラピー)’ が盛んに行われており、私たちの生活には食べ物以外の面でも海の恵みが深く関わっています。そう考えると、海がもっと身近に感じられますね。」
参加者からも、以下のような感想が聞かれました。
「海藻が、私たちの生活の意外なところで使われていると知り、驚いた!」
「海の成分を使った石鹸がどんな仕上がりになるのか、完成が待ち遠しい!」
こうして、参加者たちは 海藻の新たな可能性に触れる貴重な体験 をすることができました。

【第4回:海藻を通して考える海のより良い未来とは?】

最終回となる第4回は、これまでの学びを振り返り、未来へどうつなげていくかを考える回 となりました。
まずは、これまで継続して行ってきた 昆布やガゴメの種苗観察 からスタート。開始から約2か月が経ち、種苗は以前よりも 大きく成長 していました。定期的に観察することで、海藻の成長スピードや特性をより深く理解できる貴重な機会となり、参加者たちの海藻への興味もさらに高まりました。
続いて、北海道マリンイノベーションの布村さん から、これまでの講義内容の振り返りが行われ、学びをおさらいしました。
【白熱!中高生が海藻活用を考えるディスカッション】

そして、本日のメインイベント 「グループディスカッション」 に移ります。参加者12名が6名ずつのチームに分かれ、以下の2つのテーマについて議論しました。
ディスカッションテーマ
@ 函館ではほとんど採れなくなった天然昆布。その課題に対する対策を考えよう。
A 新たな海藻活用の可能性を考えよう。
参加者たちは、これまでの学びを活かしながら、真剣に意見を交わしました。
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【テーマ@:函館で減少する天然昆布、その対策とは?】
Aチームの発表では、
「天然昆布が減っているのは、海の温暖化が大きな要因であり、それを私たちが直接止めるのは難しい。しかし、天然に近い環境で昆布を増やす方法を考えるべきではないか。例えば、磯焼けの原因となるウニの食害を防ぐための柵を設置する、または養殖を増やすことが解決策になるのでは。養殖を活性化させるためには、若い漁師の育成が重要だと思う。」 という意見が出ました。
Bチームからは、
「ウニの食害が深刻なので、それをどう防ぐかが鍵になる。例えば、ウニを漁獲して ‘蓄養’(一時的に育てること)し、販売することで、ウニを減らしつつ漁業の活性化にもつながるのではないか。」 という考えが発表されました。


【テーマA:新たな海藻活用の可能性とは?】
Aチームは、
「小学生のことからこの‘海の教室’に参加していたことで、生の昆布に触れる機会が増えた。だからこそ、小・中・高校生にももっと昆布に触れる機会を作るべき。例えば、 ‘昆布のタッチプール’ を設置したり、高校生になったら化粧品など美容の観点から海藻を活用する方法を学ぶことで、昆布との距離を縮めることができるのでは。」 という提案をしました。
Bチームからは、
「海藻の活用を広めるには、まず ‘昆布をもっと食べる’ ことが大事。例えば、若者向けに食べやすい昆布のお菓子を開発したり、和食文化を伝えるために出汁パックを作り、若者や外国人に昆布の魅力を知ってもらうのはどうか。」 という意見が出ました。
どのチームも、実現可能性を考えながら積極的に意見を交わし、海の未来について真剣に向き合う時間 となりました。
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【海藻を通して考える未来へのメッセージ】
ディスカッションの後、参加者一人ひとりが 「海藻を通して考える、海のより良い未来へのメッセージ」 を考えました。
海や海藻に対する想い、それを未来につなげるために自分ができること―― それぞれが真剣に考えた言葉をメッセージカードに書き込み、全4回の講義のまとめとしました。
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参加者の感想
より海や昆布、環境に対する意識が高まりました。子供だから、学生だから、ということに関係なく、今自分が海に対して出来ることをやっていこうと思いました。(高校2年生/女性)
海があって、陸があるからこそ、自分たちの生活が成り立っていると思った。島国の日本だからこそ、海を身近に考えていきたい。(中学3年生/男性)
これから昆布を見るたびに、今回の機会を思い出すことができて、海への考えや想いを深めていけると思う。(中学2年生/男性)
【募集終了】昆布の赤ちゃん?海藻で化粧品を作る?「海藻の魅力」にふれる中高生向け体験講座 [2024年10月25日(Fri)]
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一般社団法人 Blue Commons Japanは、中学生・高校生対象の講座を実施します。

函館近海は多種多様な海藻が育つ豊かな海。そしてその海藻は食材としてだけではなく、医療や美容、ブルーカーボンなど、世界から注目されています。

そんな魅力たっぷりな海藻について、「見る・食べる・育てる・加工する」のすべてを体験できる無料講座をご用意しました。

※募集は終了しました

【参加対象】
函館市内および近郊の中学生・高校生

【参加費】
無料

【講座スケジュール(全3日間)】
◎1日目
日時:2024年12月15日(日)10:00〜15:00 海藻特別ランチ付き!
・海藻についての入門講座
・昆布の赤ちゃんの観察
・海藻を使ったものづくり体験@

◎2日目
日時:2025年1月26日(日)10:00〜13:00
・昆布の赤ちゃんの成長観察
・海藻を使ったものづくり体験A

◎3日目
日時:2025年2月16日(日)10:00〜13:00
・まとめの学習
・資料づくり

【持ち物】
不要。手ぶらでOK!

【服装】
自由

【お問い合わせ】※募集は終了しました
0138-84-8240 はこだて海の教室事務局(北海道マリンイノベーション内)
※平日9:00〜17:00

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海洋教育への助成制度と実践事例を紹介する教育者向け「はこだて海洋教育推進会議」を開催しました! [2024年04月03日(Wed)]
一般社団法人 Blue Commons Japanは、2024年3月23日(土)、道南エリアの教育関係者と海に興味関心を持つ一般の方を対象にしたシンポジウム「はこだて海洋教育推進会議」を金森赤レンガ倉庫内「金森ホール」で開催しました。当イベントは2部制で、1部のシンポジウムには62名が来場、2部の体験ブースには地元の小学生を中心に380名が来場しました。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

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<イベント概要>
【日時】
2024年3月23日(土)11時00分〜16時00分(受付 10時30分〜)

【会場】
金森赤レンガ倉庫内 金森ホール(函館市末広町14-12)ほか

【内容】
<第1部>シンポジウム
1.事例発表「はこだて海の教室」(企画運営担当者 吉田沙織)
函館朝市ミニ水族館、海釣り自然塾、子ども海そうアカデミーなど、地域の特色を生かした講座について
2.はこだてエリアの中高生による「海の授業」(「海のコミュニケーターになろう」参加生徒)
はこだて海の教室の講座「海のコミュニケーターになろう」に参加した中高生が自ら海に潜って撮った海中映像・写真を使い、海の魅力や特徴をプレゼン
3.事例発表「食を通じた海洋教育」(一般社団法人 Blue Commons Japan 國分晋吾)
函館ブリリアントアクション、はこだてみなと大学などの取り組みについて
4.講演(公益財団法人笹川平和財団 海洋政策研究所 嵩倉美帆氏)
助成制度「海洋教育パイオニアスクールプログラム」の説明、および同プログラムを活用した全国の好事例について

<第2部>
●交流会
教育現場における海洋教育の取り入れ方のアイデア、助成制度を利用する場合の具体的な手続き方法や順序、関係者を引き入れる方法などの相談や情報交換を実施。
●体験ブース
小学生向けに函館近海の春の魚などを展示するタッチプール、「海のコミュニケーターになろう」に参加した中高生が撮影した海の写真展示、当法人が考案した粉末調味料「はこだてシーズニング」の試食。

【来場者数】
442名

【主催】一般社団法人 Blue Commons Japan
【共催】日本財団 海と日本プロジェクト
【後援】函館市、函館市教育委員会、北斗市、北海道大学水産学部、一般財団法人 函館国際水産・海洋都市推進機構

第1部:シンポジウム〜道南地域での事例紹介

近年、教育現場では、ものごとを主体的に考える子どもを育成する手段として、「横断的・総合的な学習や探究的な学習」が求められています。その点で「海」は、環境問題、気象学、生物学、漁業、水産、造船、海運、地理学と様々な切り口を持つことからあらゆる教科と密接につながり合うことができ、三方を海に囲まれた函館、そして海と深く関わりあいながら発展してきた道南地域においては、まさに絶好の学習テーマであると言えます。今回のシンポジウムでは、函館・道南に住む子どもたちが地域への愛着を持つと共に、社会課題の解決や自己の生き方を考えるための資質・能力を育むきっかけになることを願い、道南地域でのさまざまな海洋教育の実践事例や、海洋教育への助成制度とそれを活用した好事例などを紹介しました。

まずは、「はこだて海の教室」の事例発表。この取り組みは、はこだてエリアを「地方における実践型の海洋教育のモデル拠点」とすることを目的に、2019年に市民有志で始動したプロジェクト。企画運営担当者の吉田沙織から、2023年度に実施した「函館朝市ミニ水族館」の運営、「海釣り自然塾」や「子ども海そうアカデミー」など、地域の特色を活かした講座などの事例を発表しました。あわせて、外部講師として企画に関わった各分野の専門家や、講座に参加した教育者や中高生など計8人にもコメントや感想をいただきました。

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「子ども海そうアカデミー」受講生として登壇した小学5年生の石井梨花さんは、講座の中で自作したポスターをステージ上で掲げ、「なぜ函館の海は遊泳禁止なのか疑問を持った。これから自分で調べてみたい」と話しました。中高生が海に潜って海中撮影し、小学生向けの授業を作る講座「海のコミュニケーターになろう」の講師を務めた水中カメラマンの佐藤長明さんは、「海を自分ごとにするには、海に行き、そして潜ってみることが一番」と来場者に語りかけました。

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続いて、「海のコミュニケーターになろう」に参加した中高生が登壇。自ら海に潜って撮った海中映像・写真を会場に見せながら函館の海の魅力や特徴をプレゼンする「海の授業」を実際に行いました。「函館の昆布生産量はどれくらい?」「どうして函館にはこんなに昆布がある?」といったクイズもあり、意外と知らない地元の海の知識に来場者も感心しきりの様子でした。

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続いて、当法人の代表理事、國分晋吾より「食を通じた海洋教育」の取り組みとして、「函館ブリリアントアクション」や「渚の交番in函館 はこだてみなと大学」での取り組みを紹介。漁獲が急増していたのに食文化がなくほとんど消費されていなかった函館近海のブリに着目してメニュー開発を行ったこと、それを給食などで提供すると共に事前講義を行い、食べてもらうだけでなく背景にある海洋環境の変化を伝える工夫をしていることなどを発表しました。

第1部:シンポジウム〜講演

地域での取り組みの発表に続き、海洋教育に取り組む自治体や学校・教育機関向けの助成制度「海洋教育パイオニアスクールプログラム」について、公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所の嵩倉美帆さんから説明を行いました。さらに、北海道と沖縄県で小学校同士が海洋教育を軸に交流している事例をはじめ、全国の具体的な海洋教育の取り組みとその成果を紹介しました。「海は学びの場所にも、題材にもなる。海が身近になくても、どんな教科でも、どんな学校でもできる」との嵩倉さんの言葉に、来場した教育関係者らは興味深く耳を傾けていました。
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第2部:交流会

第2部は、会場を「はこだてみなと大学」に移動。日本財団海洋事業部の古谷悠真さんの挨拶で交流会がスタートしました。函館・道南地域の学校教育や海洋教育に関わるさまざまなプレイヤーが集まり、シンポジウムの登壇者たちと交流する中で、具体的な海洋教育の手段や手法に関して多くのアイデアが生まれました。
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第2部:体験ブース

交流会と同じ会場に、「北海道のおさかな先生/おさかな専門シンガーソングライター」として活動する齊藤いゆさんがプロデュースした「春の魚のタッチプール」をメインとする体験ブースを開設。カレイやカジカ、クリガニ、トラザメにエイなど、近海のさまざまな魚の特性や危険なポイントについて齊藤さんとスタッフが来場者に紹介し、あちこちから子どもたちの歓声が上がっていました。
参加した函館市内在住の小学3年生は「函館の海にこんなにたくさんのお魚がいると思わなかった。初めて生きているお魚をさわって、とっても感動しました」と話してくれました。このほか、中高生が撮影した海中写真の展示や、当法人が考案した粉末調味料「はこだてシーズニング」の試食提供を行い、13時のスタートから終了時刻ギリギリまでたくさんの家族連れが訪れました。
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参加者の声
・STEAM教育など、やりたい、やるべきだと思っていることに海洋教育がピッタリ合うのだと実感しました。改めて全国の事例を個人としても学んでみたいと思いました。
・笹川平和財団さんの話を聞いて、学校レベルでも総合的学習の時間や、探究学習の質を向上させていけることに気づきました。早速、教頭に相談をしてみたいと思います。
・自分たち以外にも、海をフィールドに子どもたちに教育機会を提供したいと思っている人が同じ地域にこんなにもいるとは思いませんでした。まずは繋がるところからはじめて、具体的なアクションに繋げていきたいです。
・親がいなくても体験できる企画が必要だと思う。この経験を機会として、考えていきたいと思う。

はこだて海の教室サイト
『朝市ミニ水族館で冬の魚「ごっこ」展示&プロカメラマン撮影の海中映像も』 [2024年02月26日(Mon)]
一般社団法人 Blue Commons Japanは、2月20日(火)より、函館の冬の郷土料理「ごっこ汁」の食材として函館市民におなじみの魚「ごっこ(正式名称:ホテイウオ)」の企画展示を函館朝市えきに市場内にて開始しました。 函館市内のスーパーや鮮魚店ではこの時期よく目にするものの、実際に泳いでいる姿を目の当たりにすることがなかなかない「ごっこ」の本来の姿を観察できる貴重な展示です。この企画は、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

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丸みを帯びた「ぽっちゃり体型」が特徴の魚で、普段は水深100mほどの冷たい海に生息しています。産卵のために函館近海の浅瀬に上がってくる冬季に漁が行われるため、地域の冬の味覚として親しまれてきました。店頭に並ぶごっこの多くはつぶれたような姿をしていますが、函館朝市ミニ水族館の展示では、元気よく水槽の中を泳ぎまわる姿や意外とつぶらな瞳、腹部の吸盤でガラス面や石に体を固定する様子などを間近に観察することができます。

あわせて、函館在住のプロ水中カメラマン、佐藤長明さん(ダイビングサービス グラントスカルピン代表)が函館市南茅部地区の海中で撮影した「ごっこ」の映像を水槽横モニターで上映します。海藻の森を泳ぐごっこの姿や、オスのごっこが命がけで卵を守るシーン、愛らしいごっこの赤ちゃんの様子などが10分間の動画に収められています(ループ再生します)。

<展示概要>

【ごっこの展示期間】
2024年2月20日(火)より約1ヶ月間※延長または早期終了の場合あり

【見学可能時間】
6:00〜14:00(モニターの上映時間も同様)

【会場】
函館朝市えきに市場(北海道函館市若松町9-19)

【アクセス】
JR函館駅より徒歩2分

【見学方法】
無料、自由見学(予約・事前申し込み不要)


函館朝市ミニ水族館では、今回の「ごっこ」のほか、函館近海の魚や海の生き物を水槽4基で通年展示しています(水槽はいずれも幅120cm×高60cm)。

【2月20日現在の展示】
ごっこ、クロソイ、ホッケ、アイナメ、ムラサキウニ、サクラマス、イシガレイ、ヤマメ
※状況により、展示の変更および中止となる場合があります。

はこだて海の教室サイトへ
海洋教育への助成制度と実践事例を紹介する教育者向け「はこだて海洋教育推進会議」を開催! [2024年02月14日(Wed)]
一般社団法人 Blue Commons Japanは、2024年3月23日(土)、道南エリアの教育関係者を対象にしたシンポジウム「はこだて海洋教育推進会議」を金森赤レンガ倉庫内「金森ホール」で開催いたします。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

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近年、教育現場では、ものごとを主体的に考える子どもを育成する手段として、「横断的・総合的な学習や探究的な学習」が求められています。その点で、「海」は最適なテーマになり得ます。環境問題、気象学、生物学、漁業、水産、造船、海運、地理学などあらゆる切り口があり、それらが密接につながり合っているからです。三方を海に囲まれた函館、そして海と深く関わりあいながら発展してきた道南地域においては、まさに絶好の学習テーマであると言えます。

今回のシンポジウムでは、道南地域でのさまざまな海洋教育の実践事例を紹介するほか、海洋教育への助成制度とそれを活用した好事例などを紹介します。このイベントが教育現場に「海についての学び」を取り入れる一助となり、函館・道南に住む子どもたちが地域への愛着を持つと共に、社会課題の解決や自己の生き方を考えるための資質・能力を育むきっかけになることを願っています。海洋教育に関心を持つ教育関係者や自治体関係者の皆さまはもちろん、海と人とのかかわりに関心を持つ方ならどなたでもご参加いただけます。

<イベント概要>

【日時】
2024年3月23日(土)11時00分〜12時30分(受付 10時30分〜)

【会場】
金森赤レンガ倉庫内 金森ホール(函館市末広町14-12)

【アクセス】
函館市電「十字街」電停下車、徒歩6分

【プログラム】
1.事例発表「はこだて海の教室」
函館朝市ミニ水族館、海釣り自然塾、子ども海そうアカデミーなど、地域の特色を生かした講座について
2.事例発表「食を通じた海洋教育」
北海道ブリリアントアクション、はこだてみなと大学などの取り組みについて
3.はこだてエリアの中高生による「海の授業」
はこだて海の教室の講座「海のコミュニケーターになろう」に参加した中高生が自ら海に潜って撮った海中映像・写真を使い、海の魅力や特徴をプレゼン
4.講演(公益財団法人笹川平和財団 海洋政策研究所 嵩倉美帆氏)
助成制度「海洋教育パイオニアスクールプログラム」の説明、および同プログラムを活用した全国の好事例について

【交流会】
13時00分〜14時00分、はこだてみなと大学(函館市豊川町11-5)にてシンポジウム参加者の交流会を実施(先着30名)。教育現場における海洋教育の取り入れ方のアイデア、助成制度を利用する場合の具体的な手続き方法や順序、関係者を引き入れる方法などの相談や情報交換を行います。軽食提供。

【参加方法】募集は締め切りました
2024年3月10日(日)17時までに専用フォームにてお申込みください。

事前にお申込みされた方の中から、抽選で8名様にDAIWA製のフィッシンググッズ(25,000円相当)をプレゼントします。当日参加も可能です(抽選対象外)。

はこだて海の教室サイトへ
函館の海に潜って映像と写真を撮影した中高生が自ら講師を務める 小学生向け「海の授業」イベントを開催しました! [2023年10月17日(Tue)]
一般社団法人Blue Commons Japanは、2023年9月30日(土)、この夏から中高生を対象に実施している海洋教育プログラム「海のコミュニケーターになろう」の集大成として、小学生向けの「海の授業」をはこだてみらい館で開催しました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
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【「海の授業」実施の背景について】
当法人はこの夏、海洋教育講座「海のコミュニケーターになろう」を実施しました。これは、市内の中高生が海について学び、実際に函館・南かやべ地区の海に潜って写真や動画を撮影し、海の魅力や函館近海の特徴、海を守ろうというメッセージを15分程度の授業に仕立て、最後に授業を実施する全8回(8日間)の講座です。TBS「世界遺産」やNHK「ダーウィンが来た!」などの水中撮影を担当している日本トップクラスの水中カメラマン佐藤長明さんの指導を受け、中学生・高校生が数名ずつのチームに分かれ、自分たちでテーマを決めて撮影・編集を行い、最終的に自分たちで作った映像を用いて小学生向けの「海の授業」を行うことを目指しました。

【チームAによる映像発表と「クイズ 函館の海」】
高校生1名と中学生4名からなるチームAは、まずは函館の海について知ってもらおうと、自分たちで撮影・編集した映像で小学生を海の探検に誘いました。函館の海はプランクトンが豊富なため、にごって見えること、海藻は魚のすみかでウニのエサにもなっていることのほか、魚や海の生き物を写真や動画で紹介。続いて、クイズを出題し、函館ではおよそ3,100トンもの昆布が生産されていて、昆布がたくさんとれる理由として、昆布に必要なケイ素を含む酸性岩が多く、森からの栄養が豊富に注ぎ込むこと、そして市民が丹精込めて昆布を育てていると説明しました。楽しくて学びのあるクイズに、参加した小学生も一緒に来た大人も大盛り上がり。
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【チームBによる海流の授業と映像発表】
中学生3名のチームBは、「海流」についての授業。函館には北から親潮(寒流)が、日本海側から津軽海峡を通って暖流が流れ込み、親潮と津軽暖流がぶつかることで、夏に涼しく、冬は温かい海であることを説明。なかでも親潮に着目し、ロシアのアムール川河口で凍ってできた栄養豊富な流氷が親潮にのって北海道まで流れてくると伝えました。
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続く映像では、海の生き物、海藻と海草、磯の生き物を紹介し、多種多様な生き物がすんでいる函館の海は、親潮のおかげでとても豊かであると伝えました。最後に、講師となった中高生全員が登壇し、「今日の授業を通して、海に興味を持ってもらい、気になることがあれば、自分でも調べてみてほしい。」と締めくくりました。
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【参加した子どもの声】
「海のことにもっとふれあいたいと思った。」
「この授業で海に詳しくなれたので、友達に自慢したい。楽しかったし、面白かった。」
「函館の海に、いろいろな種類の魚や昆布があるということを教えたいです。私も海に入ってみたいと思いました。」
「南かやべの海しか知らないけれど、この海が世界一だと思った。」

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「まさがよ〜!」イワシ爆釣の函館で、釣った魚を試食&海を学ぶ「親子de海釣り自然塾」を開催しました! [2023年10月10日(Tue)]
一般社団法人Blue Commons Japanは、2023年9月24日(日)、小学生とその保護者を対象に、海での魚釣り体験と釣った魚の試食を行うイベント「親子de海釣り自然塾」を実施しました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
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「親子de海釣り自然塾」とは
「親子de海釣り自然塾」は、三方を海に囲まれていながら水族館や大きな海水浴場がなく、海に親しんだり海について学んだりする機会がごく限られている函館において、海との距離を身近に感じる子どもたちを育成するための取り組みです。

海釣りは単なるレジャーと思われがちですが、視点を変えて取り組むことで、海の中にいる魚たちと糸を介して向き合い、その生態に触れ、実際に食べて命の大切さや食材としての特徴を知ることができる多面的な海洋教育プログラムとすることを目指しました。

<イベント概要>
イベント名:親子de海釣り自然塾
日時:2023年9月24日(日)
会場:港の庵・緑の島
イベント内容
9:45 主催者挨拶、イントロダクション
10:00 函館の海とそこで暮らす魚についてのミニ授業(講師:齊藤 いゆ)
10:45 釣り体験の事前説明(講師:浜ちゃん&スーさん)
11:00 緑の島での釣り体験
11:30 釣ったイワシでアンチョビ作り実演(講師:岡本 啓吾)
12:00 魚のさばき方実演(講師:齊藤 いゆ)
12:20 釣った魚の試食(調理:齊藤 亘胤)
12:50 「わが家の海宣言」発表、記念撮影など
参加者:小学3〜6年生とその保護者13組26名
協力:一般社団法人ローカルレボリューション

函館の海とそこで暮らす魚についてのミニ授業
すがすがしい秋晴れが広がったこの日、147組の応募から抽選で選ばれた13組26名の親子が参加しました。イベントの冒頭、一般社団法人Blue Commons Japanの國分晋吾から今回のイベント内容を説明。最近、イワシが大漁だと聞いた参加者は、ワクワクした表情に。

続いて、海や魚について深く知るために、北海道のおさかな先生でお魚専門シンガーソングライターとして活躍する齊藤いゆさんを講師に迎え、「潮と汐のちがいってなんだろう?」「どうして海は動くの?」など、7問のクイズで学びました。最初は表情が硬かった子どもたちも緊張がほぐれてきて、どんどん手があがるように。
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イワシの危機検知能力が自動車の衝突回避システムの開発の参考になったことを知ると、参加者から驚きの声が。海が変わってきていることについて「変わった魚がとれても、それは私たちの住む『函館の魚』。どんな魚が来てもウェルカムようこそと受け入れてあげるように」といゆさんからのメッセージに、多くの参加者が共感していました。
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函館湾に浮かぶ人工島「緑の島」でサビキ釣りにチャレンジ
釣り具のテスターも務めるいゆさんから釣りの心得を聞いた子どもたち。待ちきれない様子で、海釣りの会場「緑の島」へ移動しました。ここからは、函館のローカルテレビ番組「釣りバカZ」に開始当初から出演する釣り人コンビ「浜ちゃん&スーさん」が釣り講師として登場。サビキ釣りのしかけは針の数が多く、釣り針に「かえし」があるので気をつけるなど注意事項のほか、虫エサを使わないので初心者が釣りを始めやすいことなど、函館なまりで軽快に説明する浜ちゃん&スーさん。参加者の笑いが起こります。
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今回の釣りのルールとして、限りある海の資源を無駄にしないために食べられる分だけ釣る「おかず釣り」を実践することが伝えられ、親子1組4匹までの釣り体験が始まりました。さっそく、海にサビキしかけを投入していく参加者たち。あれよあれよとイワシがあがり続け、開始から20分足らずで、全組が4匹を釣り終えました。
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マイワシを使って家庭で簡単に作れる「ハコダテアンチョビ」実演
釣り体験があまりに早く終わってしまったため、このイベントに協力してくださっている一般社団法人ローカルレボリューション代表の岡本啓吾さんによる、とれたばかりのイワシを使ったアンチョビ作りを急きょ実演してもらうことに。岡本さんとこの日最初の講師を務めた斎藤いゆさん、このあと試食を提供してくれたシェフの斎藤亘胤(のぶつぐ)さんの3人で構成するローカルレボリューションは、未活用・低利用の地元資源に価値を見出す活動を展開する「地域課題解決型法人」。その一環として、近年大量に水揚げされるようになったものの値段がつきにくく、ほぼ未活用だった函館産マイワシを使った「ハコダテアンチョビ」を開発・販売しています。岡本さんは、「アンチョビはイタリアの家庭料理に欠かせない”出汁”。簡単に作れるので、函館でも各家庭でアンチョビを作るようになり、新しい食文化になってくれたら」と話し、家庭でできる作り方を説明しました。簡単すぎて、先ほどの釣り講師の浜ちゃんからは「まさがよ〜!(まさかそうとは思わなかった)」の声が。
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魚屋さん直伝、家庭で実践できる魚のさばき方実演
斎藤いゆさんが再び登場。普段魚屋さんで働くいゆさんは、1日に何百匹と魚をさばくこともあるそう。今回は、家庭でもさばきやすい「イナダ」のさばき方を教えてもらいました。地域によって魚の鮮度を保つために行う血抜きの方法が異なることや、胃袋を開いて見るとどんなものを食べていたかがわかるなど、魚が大好きないゆさんらしいさばき方講座となりました。興味津々に見つめる子どもたちの後ろには動画で記録するお父さんお母さんの姿も。食べられる部分を無駄しないいゆさんの手さばきに見入っていました。
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シェフが腕を振るった南蛮揚げとタコスで、釣ったばかりの魚を試食
ここからはレストラン「pokkedish(ポッケディッシュ)」のシェフを務めるノブさんこと、斎藤亘胤さんの試食会タイム。さっき釣ったばかりのイワシは甘辛いタレにからめた南蛮揚げに、そして、10年前と比べて90倍も函館で水揚げされるようになったサバを使ったタコスを提供してくれました。
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南蛮揚げはイワシのフィレに米粉をまぶしてから卵にくぐらせ二度揚げすることで、小骨が気にならずガリッと仕上がり、タレが絡みやすくなると調理のコツも伝授。美味しさに思わず参加者の笑顔がこぼれます。
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親子で考える「#わが家の海宣言」
最後に、イベントに参加して感じたこと、海への思いやこれからの向き合い方を親子で相談してもらい、発表タイムを行いました。「海にごみを捨てない」「海が大切だということを友だちに広めたい」など、思い思いの宣言が出ました。
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参加した子ども・保護者からの声
子どもからの声
「海の楽しさと危なさ、月と海面の関係や魚のさばき方など色々知ることができた。海に行ったら、まず釣りをしてみてほしい。」
「海は2050年にはごみのほうが多くなることを知った。」
「このイベントを通して、もっと海について知りたくなった。このイベントを友だちにすすめて、もっと海について学校で広めようと思いました。」

保護者からの声
「生態系の変化により、函館でとれる魚が変化していくということ。変化を悪いことと受け止めるのではなく、今とれるお魚を味わうことの大事さを学びました。」
「海のことを知っていたと思っていましたが、意外にもたくさん知らないことがあり、学べて楽しかったです。」
「いゆさんの講話がとてもおもしろくてわかりやすく、シリーズで定期開催してほしいです。」

はこだて海の教室サイト
昆布日本一のまち・函館で、昆布に一番詳しい小学生になろう 「子ども海そうアカデミー 目指せ!コンブの博士ちゃん」を開催しました! [2023年09月06日(Wed)]
⼀般社団法⼈ Blue Commons Japanは、2023年9月3日に、子どもたちが海について学び、海の未来を考えることを目的に、「子ども海そうアカデミー 目指せ!コンブの博士ちゃん」を開催いたしました。当日は、専門家による昆布についての講義、生の昆布に触る体験などを行い、ホテルのシェフが作った特製ランチで海藻料理を味わいました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して⼈と⼈とがつながる“⽇本財団「海と⽇本プロジェクト」”の⼀環として実施されました。

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【スタッフによる昆布概論】

1日かけて昆布について学び、「コンブの博士ちゃん」を目指そうという今回の講座。最初に、前回からの宿題としていた「スーパーや自宅の台所で見つけた海藻」と「前回の講座から今日までの間に食べた、海藻が入った料理」を子どもたちに発表してもらいました。「見つけた海藻」としては、食卓でも身近なワカメや昆布、ヒジキ、モズク、メカブなどの名前が挙がりました。
「海藻が入った料理」としては、ワカメの味噌汁、海藻サラダ、ヒジキの炒め物、ところてんなど、バラエティに富んだ料理名が次々に飛び出しました。

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続いて当法人スタッフの佐々木康弘が、今回の講座のテーマである昆布の「意外と知らない豆知識」を紹介しました。海藻は日本近海だけで2000種類以上あると言われていること、その中で食用にされているものはごくわずかで、昆布はその代表格であること、函館は昆布の生産量日本一(※)であることなどを子どもたちに伝えました。さらに、北海道の昆布は1200年前の奈良時代から朝廷に献上されていたこと、江戸時代には北前船で本州に送られ、特に北陸地方と京都・大阪の人々がだし用・食用として好んでいた歴史などを説明しました。北海道でとれるだし用昆布は、産地とその特徴によって「真昆布・利尻昆布・羅臼昆布・日高昆布」の4種類に分かれていることにも触れました。子どもたちは、メモを取ったり講師からのクイズに答えたりしながら、興味深そうに耳を傾けていました。
(※)北海道水産統計(2021年実績)より

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【函館朝市ミニ水族館で昆布が育つ様子を学び、老舗昆布店で豊富な昆布製品を見学】

函館が昆布生産量日本一であることを学んだ子どもたち。しかし、実はそのうち天然昆布はごくわずかで、総生産量の9割以上を占める養殖昆布が函館の昆布産業を支えています。そこで、昆布の養殖を身近に感じてもらうため、当法人が函館朝市「えきに市場」内に開設している「函館朝市ミニ水族館」に移動し、「種苗を植え付けたロープを海中に沈める」という昆布養殖をミニサイズで再現した水槽を見学しました。昆布といえば岩に生えているイメージを持っていた子どもたちにとって、ロープから昆布が伸びている光景は驚きだった様子。真横からも上からも水槽をのぞき込み、細部まで観察していました。

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続いて、函館朝市ミニ水族館の水槽のすぐ隣にある老舗「梶原昆布店」を訪問。函館産の真昆布を筆頭に4種類のだし用昆布が店頭に並んでいること、昆布がさまざまな加工品に形を変えて販売されていることを確認し、昆布が幅広い用途で活用されていることを実感しました。

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【昆布に触れて感触を確かめ、函館が昆布生産量日本一である理由を知る】
 
函館朝市での昆布のミニ養殖と老舗昆布店の見学を終えた子どもたち。今度は、海の中での昆布の姿をリアルに感じてもらうため、昆布の収穫期に採集して冷凍保存していた生の真昆布とガゴメ昆布を触ってみる「昆布のタッチプール」を体験しました。真昆布のずっしりした重さと厚み、表面のつるつるした感触と、ガゴメ昆布のねばねばした表面の感触を両手で触って確かめた子どもたち。ガゴメ昆布のねばねば成分をスライムのように伸ばして楽しむ子や、「肌に良い成分が含まれている」と聞いて手の甲や腕に塗り始める子もいました。

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続いて、海藻の有効活用や産業化を推進する産学官連携団体「海藻活用研究会」事務局長の布村重樹さんが登壇。函館近海は千島列島沿いに南下する寒流(親潮)と日本海側を流れる暖流(対馬海流)とがぶつかり合う栄養豊富な海域であり、昔から昆布が良く育つことや、魚の繁殖にも適していることなどを紹介しました。さらに、函館の昆布産業を支える養殖昆布の漁と加工の様子や、函館産の真昆布が大手外食チェーンでも活用されていることなどについて、動画を交えながら子どもたちに話していただきました。

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【昆布尽くしのスペシャルランチで昆布のうまみと多彩な活用法に触れる】

この日のお昼ごはんは、函館国際ホテルの総料理長を務める木村史能シェフがこの講座のために特別に考案し、すべて自ら調理した「海藻スペシャルランチボックス」。駒ケ岳ポークの真昆布入り特製酢豚、海老と真昆布のチリソース、真昆布とたまふくら大豆の炊き込みご飯、函館産ガゴメ昆布入り中華スープなど、ほぼすべての料理に真昆布またはガゴメ昆布を使った全10品目の豪華なお弁当を作っていただきました。

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それぞれの料理に昆布がどのように使われているかを木村シェフにお話ししていただいてから、みんなで「いただきます!」とあいさつ。本格的な中国料理を楽しみながら、昆布の多彩な利用法を実感しました。

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あまりのおいしさに箸が止まらず、当初は静寂に包まれた教室。やがて、「おいしいおいしい」「昆布のスープお代わりしたい」など、喜びの声が子どもたちから上がりました。


【函館真昆布について「伝えたいこと」をキャッチコピーと絵でポスターに】

見て、聞いて、触って、においをかぎ、舌で味わい、五感を活用して昆布について学んだ子どもたち。講座の締めくくりは、函館特産の真昆布をPRするポスター作り。函館の観光ポスターや函館市電のラッピング車両、商品パッケージなど幅広い分野で活躍するグラフィックデザイナーの岡田暁さんが講師を務めました。
最初に「今日、函館真昆布について見聞きしたことの中で、誰かに伝えるとしたら何を伝えたいか、思いつくかぎり書き出してみよう」と呼び掛け、「その中で一番伝えたいこと」を子供たち自身に選ばせた岡田さん。続いて、その「伝えたいこと=ポスターのコンセプト」を表現するキャッチコピーと、それをどんな絵で表現するかを岡田さんが子どもたち1人1人と相談しながら決めました。

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コンセプトとその具体的な表現方法をしっかり決めたおかげで、実際に手を動かし始めると迷いなく描いていく子どもたち。函館近海に昆布が密集している北海道地図に「函館は昆布収穫量日本一」の文字、キラキラ輝く手の甲と昆布のねばりを表現した絵に「このネバネバはスベスベのもと」の文字など、さまざまな角度から函館の真昆布を紹介するポスターの原画がそろいました。

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子どもたちが描いたイラストは、岡田さんが文字や背景などを足したり調整したりしてポスターに仕上げ、函館市主催の「函館真昆布展」(11月に函館蔦屋書店で開催予定)で展示します。

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海洋体験は磯観察やビーチコーミングだけじゃない!専門家に学ぶ『児童教育×海釣りの可能性』を開催しました! [2023年09月06日(Wed)]
一般社団法人Blue Commons Japanは8月29日(火)、放課後児童クラブ・放課後等デイサービスの指導員など児童教育に携わる方々を対象に、児童向け余暇(レジャー)活動の事例を紹介する講座「専門家に学ぶ『児童教育×海釣りの可能性』」を開催いたしました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

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【「専門家に学ぶ『児童教育× 海釣りの可能性』」企画の背景】

これまで当法人は、小学生を主対象とした講座を開き、さまざまな切り口から海に親しむ機会を提供してきましたが、今年度は対象を中高生にも広げ、函館エリアにおける「人と海との接点」を広げることに努めています。その一方で、学校や放課後児童クラブ・放課後等デイサービスなど児童教育の現場において、実践的な海洋教育を行う機会が限られているとの現状も見聞きしてきました。理由の一つとして、函館は三方を海に囲まれているにも関わらず、小さな海水浴場が1カ所あるのみで、安全に海に親しめる場所が非常に限られていることが挙げられます。

そこで今回は、子どもたちの安全を確保しながらできる海洋体験の事例紹介やその効果を学ぶとともに、海に入らずにできる海洋体験の例として釣りを体験し、児童と海をつなぐ人を増やすきっかけ作りの場とするとともに、ゆくゆくは各教育現場でその成果を活用してもらうことを目標に掲げました。


【海について多面的に学べる「釣り」は児童向け海洋教育に最適】 

今回の参加者は、放課後児童クラブ・放課後等デイサービスの指導員などとして日常的に子どもたちと接している方が大半。実践的な海洋教育・海洋体験の事例について知るため、磯の観察会や海に関するワークショップなどを数多く開催しているNPO法人ディスカバーブルー(神奈川県二宮町)代表理事の水井涼太さんから、オンラインでお話を聞きました。

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同法人が取り組んでいる海洋体験の事例として、磯観察やプランクトンの観察、ビーチコーミングなどを紹介し、さらに「磯の生き物観察をした後に、磯の生物多様性が高い理由を話す」「砂浜と磯の両方を観察し、環境によって生き物の種類や数が違うことを知る」など、海洋体験の学びを深める手法を説明した水井さん。何度も函館の海を訪ねた経験を踏まえて「函館には海について学べるコンテンツが多く、水産・観光・造船などさまざまな切り口がある」「海辺と市街地が近く、歴史に裏打ちされた海洋都市としてのアイデンティティーがある」「海洋環境に多様性がある」と話し、函館が海洋教育に適したまちであることを強調しました。

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児童教育としての海釣りについては「海の中を想像し、糸を通して海の中をのぞきこむことができるうえに、体験としての魅力がある。さらに、釣った魚を食べることを通して『海と暮らしの結びつき』を実感し、海の生態系への理解も深めることができる」と説明。さまざまな側面から海についての理解を深めることができる「海釣り」は、優良な海洋教育プログラムになりえることを指摘しました。


【海が直面する課題について考えるために、海をしっかり楽しむ】

続いて、釣り具のテスターを務めるほか、地元ケーブルテレビNCVの釣り番組「釣りバカZ」に出演するなど、釣り普及のために幅広く活動するフィッシングアドバイザーの鈴木遊介さんが登壇。当法人スタッフとのクロストーク形式で、釣りについての基礎知識や心構えなどを参加者に伝えました。

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「釣りをする時は、まず楽しんでほしい。思いっ切り楽しんだら、海のいろいろな問題について自然に興味を持てるはず」と鈴木さん。「釣れている時に釣りをやめるのは難しいが、たくさん釣れたからと言って食べきれないほど持ち帰ったら、命を粗末に扱うことになるし、魚が減っていずれは釣れなくなってしまう」とも話し、食べきれる分だけ釣って持ち帰る「おかず釣り」をしようと呼び掛けました。


【函館湾の岸壁でサビキ釣りに挑戦!意外な魚との出会いが待っていた】

いよいよ待ちに待った海釣りの時間。会場すぐ前の岸壁へ徒歩で移動し、まずは鈴木さんから仕掛けの付け方などの説明を聞きます。釣り初心者も多く、糸の通し方やリールの扱い方に戸惑う場面もありましたが、鈴木さんやスタッフのサポートを受けながら参加者自身で釣り竿と仕掛けをセッティング。準備ができた人から、次々に海へ釣り糸を垂れました。

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この日は、函館湾を回遊しているイワシやサバをねらってサビキ釣りに挑戦。当初は全く当たりがありませんでしたが、しばらくするとコマセ(撒き餌)の効果で岸壁から魚の姿がはっきりと見えるように。イワシと思われる小型の魚が釣り針のすぐそばを泳ぎ、コマセを食べている様子も見えました。

そんな中、岸壁に響き渡る「釣れたー!」との声。リールを巻いて海面から姿を現したのは、ぷっくりとした体長15センチほどのフグ。透明のケースに入れてみんなで観察し、普段遠い存在のように感じていたフグが身近な海にも生息していることを実感しました。

その後もわずかに当たりが来ましたが、釣れたのはいずれもフグ。参加者は自然を相手にする釣りの厳しさと、すぐそこに見える魚たちと竿と糸で対話する楽しさに触れ、笑顔で釣り体験を締めくくりました。

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【参加者からの声】

「単に釣りを楽しむだけでなく、未来につなげる環境保全を続けていく大切さを学んだ」
「実際に海に行くだけでなく、海に関連する事業などからアプローチする海洋教育にも可能性があると感じた」
「身近な場所で学べることはまだまだたくさんあり、海で泳ぐ以外にも子どもと一緒に楽しめることは多いのだと感じた」
「教育者側も、海洋教育が重要であるとの認識はありつつも、どう教えて良いか、情報をどう得たらよいかなどに困っているのが現状なのだと知った」
「児童に海洋体験をするときにライフジャケットなどをそろえられないので、貸出しなどがあると良いと思った」


【協賛について】                                 

今回の「専門家に学ぶ『児童教育×海釣りの可能性』」をはじめ、当法人が主催する「釣り」を取り入れた海洋教育体験プログラムに対し、世界的な釣具ブランド「DAIWA」を事業展開するグローブライド株式会社より、釣具やライフジャケット、児童を対象とした海洋体験の参考書籍などの協賛をいただきました。

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ライフジャケットの着用を実演する当法人スタッフ

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【募集終了】親子de海釣り自然塾 [2023年08月22日(Tue)]
一般社団法人 Blue Commons Japanは、2023年9月24日(日)、函館市ならびに近郊の小学3〜6年生とその保護者を対象に、釣りを通して海の中の世界を知るイベント「親子de海釣り自然塾」を開催します。事前申込制で、15組30名を募集します。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環として実施します。

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まず、函館の人工島「緑の島」の周りにはどんな魚がいるのか、なぜ函館の海にはいろんな魚が集まってくるのかを講師から学びます。
続いて、緑の島での釣りにチャレンジ。資源を守るために、食べられる分だけを釣る「おかず釣り」を実施します。
最後に釣った魚の一部は、シェフが調理をして、参加者全員で美味しくいただく、盛りだくさんの内容です。

開催概要※募集は締め切りました
開催日  2023年9月24日(日)
     ※小雨決行、荒天の場合は屋内プログラムに変更
時間   9:30〜13:30
対象   小学3〜6年生とその保護者
     ※保護者1名につき小学生1名まで
参加費  1組1,000円
募集人数 15組30名
締切   2023年9月4日(月)
     ※当選者にのみ9月6日(水)までに連絡いたします
集合場所 港の庵(緑の島そば 函館市大町8-26)
服装   汚れてもよい服、動きやすい靴(スニーカーなど。サンダル不可)または長靴
持ち物  飲み物、ハンドタオル、帽子、日焼け止め、レインコート(多少の雨であれば釣りをします。傘は不可)
釣った魚を持ち帰る場合はクーラーボックス
※釣り竿などの釣りに必要な道具は、主催者で用意します。

申込方法
応募フォームにアクセスし、必要事項を入力してください。
募集は締め切りました

<お問い合わせ先>
 団体名:一般社団法人 Blue Commons Japan
 電話番号:0138-86-7602(平日9時〜17時)
 担当:吉田
 メールアドレス:hakodate-umi@umi-nippon.com

はこだて海の教室 公式サイト
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