• もっと見る
【募集終了】昆布の赤ちゃん?海藻で化粧品を作る?「海藻の魅力」にふれる中高生向け体験講座 [2024年10月25日(Fri)]
kaisou_04.png
一般社団法人 Blue Commons Japanは、中学生・高校生対象の講座を実施します。

函館近海は多種多様な海藻が育つ豊かな海。そしてその海藻は食材としてだけではなく、医療や美容、ブルーカーボンなど、世界から注目されています。

そんな魅力たっぷりな海藻について、「見る・食べる・育てる・加工する」のすべてを体験できる無料講座をご用意しました。

※募集は終了しました

【参加対象】
函館市内および近郊の中学生・高校生

【参加費】
無料

【講座スケジュール(全3日間)】
◎1日目
日時:2024年12月15日(日)10:00〜15:00 海藻特別ランチ付き!
・海藻についての入門講座
・昆布の赤ちゃんの観察
・海藻を使ったものづくり体験@

◎2日目
日時:2025年1月26日(日)10:00〜13:00
・昆布の赤ちゃんの成長観察
・海藻を使ったものづくり体験A

◎3日目
日時:2025年2月16日(日)10:00〜13:00
・まとめの学習
・資料づくり

【持ち物】
不要。手ぶらでOK!

【服装】
自由

【お問い合わせ】※募集は終了しました
0138-84-8240 はこだて海の教室事務局(北海道マリンイノベーション内)
※平日9:00〜17:00

はこだて海の教室募集チラシ.png
海洋教育への助成制度と実践事例を紹介する教育者向け「はこだて海洋教育推進会議」を開催しました! [2024年04月03日(Wed)]
一般社団法人 Blue Commons Japanは、2024年3月23日(土)、道南エリアの教育関係者と海に興味関心を持つ一般の方を対象にしたシンポジウム「はこだて海洋教育推進会議」を金森赤レンガ倉庫内「金森ホール」で開催しました。当イベントは2部制で、1部のシンポジウムには62名が来場、2部の体験ブースには地元の小学生を中心に380名が来場しました。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

main.jpg

<イベント概要>
【日時】
2024年3月23日(土)11時00分〜16時00分(受付 10時30分〜)

【会場】
金森赤レンガ倉庫内 金森ホール(函館市末広町14-12)ほか

【内容】
<第1部>シンポジウム
1.事例発表「はこだて海の教室」(企画運営担当者 吉田沙織)
函館朝市ミニ水族館、海釣り自然塾、子ども海そうアカデミーなど、地域の特色を生かした講座について
2.はこだてエリアの中高生による「海の授業」(「海のコミュニケーターになろう」参加生徒)
はこだて海の教室の講座「海のコミュニケーターになろう」に参加した中高生が自ら海に潜って撮った海中映像・写真を使い、海の魅力や特徴をプレゼン
3.事例発表「食を通じた海洋教育」(一般社団法人 Blue Commons Japan 國分晋吾)
函館ブリリアントアクション、はこだてみなと大学などの取り組みについて
4.講演(公益財団法人笹川平和財団 海洋政策研究所 嵩倉美帆氏)
助成制度「海洋教育パイオニアスクールプログラム」の説明、および同プログラムを活用した全国の好事例について

<第2部>
●交流会
教育現場における海洋教育の取り入れ方のアイデア、助成制度を利用する場合の具体的な手続き方法や順序、関係者を引き入れる方法などの相談や情報交換を実施。
●体験ブース
小学生向けに函館近海の春の魚などを展示するタッチプール、「海のコミュニケーターになろう」に参加した中高生が撮影した海の写真展示、当法人が考案した粉末調味料「はこだてシーズニング」の試食。

【来場者数】
442名

【主催】一般社団法人 Blue Commons Japan
【共催】日本財団 海と日本プロジェクト
【後援】函館市、函館市教育委員会、北斗市、北海道大学水産学部、一般財団法人 函館国際水産・海洋都市推進機構

第1部:シンポジウム〜道南地域での事例紹介

近年、教育現場では、ものごとを主体的に考える子どもを育成する手段として、「横断的・総合的な学習や探究的な学習」が求められています。その点で「海」は、環境問題、気象学、生物学、漁業、水産、造船、海運、地理学と様々な切り口を持つことからあらゆる教科と密接につながり合うことができ、三方を海に囲まれた函館、そして海と深く関わりあいながら発展してきた道南地域においては、まさに絶好の学習テーマであると言えます。今回のシンポジウムでは、函館・道南に住む子どもたちが地域への愛着を持つと共に、社会課題の解決や自己の生き方を考えるための資質・能力を育むきっかけになることを願い、道南地域でのさまざまな海洋教育の実践事例や、海洋教育への助成制度とそれを活用した好事例などを紹介しました。

まずは、「はこだて海の教室」の事例発表。この取り組みは、はこだてエリアを「地方における実践型の海洋教育のモデル拠点」とすることを目的に、2019年に市民有志で始動したプロジェクト。企画運営担当者の吉田沙織から、2023年度に実施した「函館朝市ミニ水族館」の運営、「海釣り自然塾」や「子ども海そうアカデミー」など、地域の特色を活かした講座などの事例を発表しました。あわせて、外部講師として企画に関わった各分野の専門家や、講座に参加した教育者や中高生など計8人にもコメントや感想をいただきました。

sub1.jpg
「子ども海そうアカデミー」受講生として登壇した小学5年生の石井梨花さんは、講座の中で自作したポスターをステージ上で掲げ、「なぜ函館の海は遊泳禁止なのか疑問を持った。これから自分で調べてみたい」と話しました。中高生が海に潜って海中撮影し、小学生向けの授業を作る講座「海のコミュニケーターになろう」の講師を務めた水中カメラマンの佐藤長明さんは、「海を自分ごとにするには、海に行き、そして潜ってみることが一番」と来場者に語りかけました。

sub2.jpg
続いて、「海のコミュニケーターになろう」に参加した中高生が登壇。自ら海に潜って撮った海中映像・写真を会場に見せながら函館の海の魅力や特徴をプレゼンする「海の授業」を実際に行いました。「函館の昆布生産量はどれくらい?」「どうして函館にはこんなに昆布がある?」といったクイズもあり、意外と知らない地元の海の知識に来場者も感心しきりの様子でした。

sub3.jpg
続いて、当法人の代表理事、國分晋吾より「食を通じた海洋教育」の取り組みとして、「函館ブリリアントアクション」や「渚の交番in函館 はこだてみなと大学」での取り組みを紹介。漁獲が急増していたのに食文化がなくほとんど消費されていなかった函館近海のブリに着目してメニュー開発を行ったこと、それを給食などで提供すると共に事前講義を行い、食べてもらうだけでなく背景にある海洋環境の変化を伝える工夫をしていることなどを発表しました。

第1部:シンポジウム〜講演

地域での取り組みの発表に続き、海洋教育に取り組む自治体や学校・教育機関向けの助成制度「海洋教育パイオニアスクールプログラム」について、公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所の嵩倉美帆さんから説明を行いました。さらに、北海道と沖縄県で小学校同士が海洋教育を軸に交流している事例をはじめ、全国の具体的な海洋教育の取り組みとその成果を紹介しました。「海は学びの場所にも、題材にもなる。海が身近になくても、どんな教科でも、どんな学校でもできる」との嵩倉さんの言葉に、来場した教育関係者らは興味深く耳を傾けていました。
sub4.jpg

第2部:交流会

第2部は、会場を「はこだてみなと大学」に移動。日本財団海洋事業部の古谷悠真さんの挨拶で交流会がスタートしました。函館・道南地域の学校教育や海洋教育に関わるさまざまなプレイヤーが集まり、シンポジウムの登壇者たちと交流する中で、具体的な海洋教育の手段や手法に関して多くのアイデアが生まれました。
sub5.jpg

第2部:体験ブース

交流会と同じ会場に、「北海道のおさかな先生/おさかな専門シンガーソングライター」として活動する齊藤いゆさんがプロデュースした「春の魚のタッチプール」をメインとする体験ブースを開設。カレイやカジカ、クリガニ、トラザメにエイなど、近海のさまざまな魚の特性や危険なポイントについて齊藤さんとスタッフが来場者に紹介し、あちこちから子どもたちの歓声が上がっていました。
参加した函館市内在住の小学3年生は「函館の海にこんなにたくさんのお魚がいると思わなかった。初めて生きているお魚をさわって、とっても感動しました」と話してくれました。このほか、中高生が撮影した海中写真の展示や、当法人が考案した粉末調味料「はこだてシーズニング」の試食提供を行い、13時のスタートから終了時刻ギリギリまでたくさんの家族連れが訪れました。
sub6.jpg

参加者の声
・STEAM教育など、やりたい、やるべきだと思っていることに海洋教育がピッタリ合うのだと実感しました。改めて全国の事例を個人としても学んでみたいと思いました。
・笹川平和財団さんの話を聞いて、学校レベルでも総合的学習の時間や、探究学習の質を向上させていけることに気づきました。早速、教頭に相談をしてみたいと思います。
・自分たち以外にも、海をフィールドに子どもたちに教育機会を提供したいと思っている人が同じ地域にこんなにもいるとは思いませんでした。まずは繋がるところからはじめて、具体的なアクションに繋げていきたいです。
・親がいなくても体験できる企画が必要だと思う。この経験を機会として、考えていきたいと思う。

はこだて海の教室サイト
『朝市ミニ水族館で冬の魚「ごっこ」展示&プロカメラマン撮影の海中映像も』 [2024年02月26日(Mon)]
一般社団法人 Blue Commons Japanは、2月20日(火)より、函館の冬の郷土料理「ごっこ汁」の食材として函館市民におなじみの魚「ごっこ(正式名称:ホテイウオ)」の企画展示を函館朝市えきに市場内にて開始しました。 函館市内のスーパーや鮮魚店ではこの時期よく目にするものの、実際に泳いでいる姿を目の当たりにすることがなかなかない「ごっこ」の本来の姿を観察できる貴重な展示です。この企画は、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

main.jpg

丸みを帯びた「ぽっちゃり体型」が特徴の魚で、普段は水深100mほどの冷たい海に生息しています。産卵のために函館近海の浅瀬に上がってくる冬季に漁が行われるため、地域の冬の味覚として親しまれてきました。店頭に並ぶごっこの多くはつぶれたような姿をしていますが、函館朝市ミニ水族館の展示では、元気よく水槽の中を泳ぎまわる姿や意外とつぶらな瞳、腹部の吸盤でガラス面や石に体を固定する様子などを間近に観察することができます。

あわせて、函館在住のプロ水中カメラマン、佐藤長明さん(ダイビングサービス グラントスカルピン代表)が函館市南茅部地区の海中で撮影した「ごっこ」の映像を水槽横モニターで上映します。海藻の森を泳ぐごっこの姿や、オスのごっこが命がけで卵を守るシーン、愛らしいごっこの赤ちゃんの様子などが10分間の動画に収められています(ループ再生します)。

<展示概要>

【ごっこの展示期間】
2024年2月20日(火)より約1ヶ月間※延長または早期終了の場合あり

【見学可能時間】
6:00〜14:00(モニターの上映時間も同様)

【会場】
函館朝市えきに市場(北海道函館市若松町9-19)

【アクセス】
JR函館駅より徒歩2分

【見学方法】
無料、自由見学(予約・事前申し込み不要)


函館朝市ミニ水族館では、今回の「ごっこ」のほか、函館近海の魚や海の生き物を水槽4基で通年展示しています(水槽はいずれも幅120cm×高60cm)。

【2月20日現在の展示】
ごっこ、クロソイ、ホッケ、アイナメ、ムラサキウニ、サクラマス、イシガレイ、ヤマメ
※状況により、展示の変更および中止となる場合があります。

はこだて海の教室サイトへ
海洋教育への助成制度と実践事例を紹介する教育者向け「はこだて海洋教育推進会議」を開催! [2024年02月14日(Wed)]
一般社団法人 Blue Commons Japanは、2024年3月23日(土)、道南エリアの教育関係者を対象にしたシンポジウム「はこだて海洋教育推進会議」を金森赤レンガ倉庫内「金森ホール」で開催いたします。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

main0214.jpg

近年、教育現場では、ものごとを主体的に考える子どもを育成する手段として、「横断的・総合的な学習や探究的な学習」が求められています。その点で、「海」は最適なテーマになり得ます。環境問題、気象学、生物学、漁業、水産、造船、海運、地理学などあらゆる切り口があり、それらが密接につながり合っているからです。三方を海に囲まれた函館、そして海と深く関わりあいながら発展してきた道南地域においては、まさに絶好の学習テーマであると言えます。

今回のシンポジウムでは、道南地域でのさまざまな海洋教育の実践事例を紹介するほか、海洋教育への助成制度とそれを活用した好事例などを紹介します。このイベントが教育現場に「海についての学び」を取り入れる一助となり、函館・道南に住む子どもたちが地域への愛着を持つと共に、社会課題の解決や自己の生き方を考えるための資質・能力を育むきっかけになることを願っています。海洋教育に関心を持つ教育関係者や自治体関係者の皆さまはもちろん、海と人とのかかわりに関心を持つ方ならどなたでもご参加いただけます。

<イベント概要>

【日時】
2024年3月23日(土)11時00分〜12時30分(受付 10時30分〜)

【会場】
金森赤レンガ倉庫内 金森ホール(函館市末広町14-12)

【アクセス】
函館市電「十字街」電停下車、徒歩6分

【プログラム】
1.事例発表「はこだて海の教室」
函館朝市ミニ水族館、海釣り自然塾、子ども海そうアカデミーなど、地域の特色を生かした講座について
2.事例発表「食を通じた海洋教育」
北海道ブリリアントアクション、はこだてみなと大学などの取り組みについて
3.はこだてエリアの中高生による「海の授業」
はこだて海の教室の講座「海のコミュニケーターになろう」に参加した中高生が自ら海に潜って撮った海中映像・写真を使い、海の魅力や特徴をプレゼン
4.講演(公益財団法人笹川平和財団 海洋政策研究所 嵩倉美帆氏)
助成制度「海洋教育パイオニアスクールプログラム」の説明、および同プログラムを活用した全国の好事例について

【交流会】
13時00分〜14時00分、はこだてみなと大学(函館市豊川町11-5)にてシンポジウム参加者の交流会を実施(先着30名)。教育現場における海洋教育の取り入れ方のアイデア、助成制度を利用する場合の具体的な手続き方法や順序、関係者を引き入れる方法などの相談や情報交換を行います。軽食提供。

【参加方法】募集は締め切りました
2024年3月10日(日)17時までに専用フォームにてお申込みください。

事前にお申込みされた方の中から、抽選で8名様にDAIWA製のフィッシンググッズ(25,000円相当)をプレゼントします。当日参加も可能です(抽選対象外)。

はこだて海の教室サイトへ
函館の海に潜って映像と写真を撮影した中高生が自ら講師を務める 小学生向け「海の授業」イベントを開催しました! [2023年10月17日(Tue)]
一般社団法人Blue Commons Japanは、2023年9月30日(土)、この夏から中高生を対象に実施している海洋教育プログラム「海のコミュニケーターになろう」の集大成として、小学生向けの「海の授業」をはこだてみらい館で開催しました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
02.JPG

【「海の授業」実施の背景について】
当法人はこの夏、海洋教育講座「海のコミュニケーターになろう」を実施しました。これは、市内の中高生が海について学び、実際に函館・南かやべ地区の海に潜って写真や動画を撮影し、海の魅力や函館近海の特徴、海を守ろうというメッセージを15分程度の授業に仕立て、最後に授業を実施する全8回(8日間)の講座です。TBS「世界遺産」やNHK「ダーウィンが来た!」などの水中撮影を担当している日本トップクラスの水中カメラマン佐藤長明さんの指導を受け、中学生・高校生が数名ずつのチームに分かれ、自分たちでテーマを決めて撮影・編集を行い、最終的に自分たちで作った映像を用いて小学生向けの「海の授業」を行うことを目指しました。

【チームAによる映像発表と「クイズ 函館の海」】
高校生1名と中学生4名からなるチームAは、まずは函館の海について知ってもらおうと、自分たちで撮影・編集した映像で小学生を海の探検に誘いました。函館の海はプランクトンが豊富なため、にごって見えること、海藻は魚のすみかでウニのエサにもなっていることのほか、魚や海の生き物を写真や動画で紹介。続いて、クイズを出題し、函館ではおよそ3,100トンもの昆布が生産されていて、昆布がたくさんとれる理由として、昆布に必要なケイ素を含む酸性岩が多く、森からの栄養が豊富に注ぎ込むこと、そして市民が丹精込めて昆布を育てていると説明しました。楽しくて学びのあるクイズに、参加した小学生も一緒に来た大人も大盛り上がり。
03.JPG

【チームBによる海流の授業と映像発表】
中学生3名のチームBは、「海流」についての授業。函館には北から親潮(寒流)が、日本海側から津軽海峡を通って暖流が流れ込み、親潮と津軽暖流がぶつかることで、夏に涼しく、冬は温かい海であることを説明。なかでも親潮に着目し、ロシアのアムール川河口で凍ってできた栄養豊富な流氷が親潮にのって北海道まで流れてくると伝えました。
07.jpg

続く映像では、海の生き物、海藻と海草、磯の生き物を紹介し、多種多様な生き物がすんでいる函館の海は、親潮のおかげでとても豊かであると伝えました。最後に、講師となった中高生全員が登壇し、「今日の授業を通して、海に興味を持ってもらい、気になることがあれば、自分でも調べてみてほしい。」と締めくくりました。
05.JPG

【参加した子どもの声】
「海のことにもっとふれあいたいと思った。」
「この授業で海に詳しくなれたので、友達に自慢したい。楽しかったし、面白かった。」
「函館の海に、いろいろな種類の魚や昆布があるということを教えたいです。私も海に入ってみたいと思いました。」
「南かやべの海しか知らないけれど、この海が世界一だと思った。」

はこだて海の教室サイトへ
「まさがよ〜!」イワシ爆釣の函館で、釣った魚を試食&海を学ぶ「親子de海釣り自然塾」を開催しました! [2023年10月10日(Tue)]
一般社団法人Blue Commons Japanは、2023年9月24日(日)、小学生とその保護者を対象に、海での魚釣り体験と釣った魚の試食を行うイベント「親子de海釣り自然塾」を実施しました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
DSC02511.jpg

「親子de海釣り自然塾」とは
「親子de海釣り自然塾」は、三方を海に囲まれていながら水族館や大きな海水浴場がなく、海に親しんだり海について学んだりする機会がごく限られている函館において、海との距離を身近に感じる子どもたちを育成するための取り組みです。

海釣りは単なるレジャーと思われがちですが、視点を変えて取り組むことで、海の中にいる魚たちと糸を介して向き合い、その生態に触れ、実際に食べて命の大切さや食材としての特徴を知ることができる多面的な海洋教育プログラムとすることを目指しました。

<イベント概要>
イベント名:親子de海釣り自然塾
日時:2023年9月24日(日)
会場:港の庵・緑の島
イベント内容
9:45 主催者挨拶、イントロダクション
10:00 函館の海とそこで暮らす魚についてのミニ授業(講師:齊藤 いゆ)
10:45 釣り体験の事前説明(講師:浜ちゃん&スーさん)
11:00 緑の島での釣り体験
11:30 釣ったイワシでアンチョビ作り実演(講師:岡本 啓吾)
12:00 魚のさばき方実演(講師:齊藤 いゆ)
12:20 釣った魚の試食(調理:齊藤 亘胤)
12:50 「わが家の海宣言」発表、記念撮影など
参加者:小学3〜6年生とその保護者13組26名
協力:一般社団法人ローカルレボリューション

函館の海とそこで暮らす魚についてのミニ授業
すがすがしい秋晴れが広がったこの日、147組の応募から抽選で選ばれた13組26名の親子が参加しました。イベントの冒頭、一般社団法人Blue Commons Japanの國分晋吾から今回のイベント内容を説明。最近、イワシが大漁だと聞いた参加者は、ワクワクした表情に。

続いて、海や魚について深く知るために、北海道のおさかな先生でお魚専門シンガーソングライターとして活躍する齊藤いゆさんを講師に迎え、「潮と汐のちがいってなんだろう?」「どうして海は動くの?」など、7問のクイズで学びました。最初は表情が硬かった子どもたちも緊張がほぐれてきて、どんどん手があがるように。
DSC02395.jpg

イワシの危機検知能力が自動車の衝突回避システムの開発の参考になったことを知ると、参加者から驚きの声が。海が変わってきていることについて「変わった魚がとれても、それは私たちの住む『函館の魚』。どんな魚が来てもウェルカムようこそと受け入れてあげるように」といゆさんからのメッセージに、多くの参加者が共感していました。
DSC02407.jpg

函館湾に浮かぶ人工島「緑の島」でサビキ釣りにチャレンジ
釣り具のテスターも務めるいゆさんから釣りの心得を聞いた子どもたち。待ちきれない様子で、海釣りの会場「緑の島」へ移動しました。ここからは、函館のローカルテレビ番組「釣りバカZ」に開始当初から出演する釣り人コンビ「浜ちゃん&スーさん」が釣り講師として登場。サビキ釣りのしかけは針の数が多く、釣り針に「かえし」があるので気をつけるなど注意事項のほか、虫エサを使わないので初心者が釣りを始めやすいことなど、函館なまりで軽快に説明する浜ちゃん&スーさん。参加者の笑いが起こります。
DSC02458.jpg

今回の釣りのルールとして、限りある海の資源を無駄にしないために食べられる分だけ釣る「おかず釣り」を実践することが伝えられ、親子1組4匹までの釣り体験が始まりました。さっそく、海にサビキしかけを投入していく参加者たち。あれよあれよとイワシがあがり続け、開始から20分足らずで、全組が4匹を釣り終えました。
DSC02502.jpg

マイワシを使って家庭で簡単に作れる「ハコダテアンチョビ」実演
釣り体験があまりに早く終わってしまったため、このイベントに協力してくださっている一般社団法人ローカルレボリューション代表の岡本啓吾さんによる、とれたばかりのイワシを使ったアンチョビ作りを急きょ実演してもらうことに。岡本さんとこの日最初の講師を務めた斎藤いゆさん、このあと試食を提供してくれたシェフの斎藤亘胤(のぶつぐ)さんの3人で構成するローカルレボリューションは、未活用・低利用の地元資源に価値を見出す活動を展開する「地域課題解決型法人」。その一環として、近年大量に水揚げされるようになったものの値段がつきにくく、ほぼ未活用だった函館産マイワシを使った「ハコダテアンチョビ」を開発・販売しています。岡本さんは、「アンチョビはイタリアの家庭料理に欠かせない”出汁”。簡単に作れるので、函館でも各家庭でアンチョビを作るようになり、新しい食文化になってくれたら」と話し、家庭でできる作り方を説明しました。簡単すぎて、先ほどの釣り講師の浜ちゃんからは「まさがよ〜!(まさかそうとは思わなかった)」の声が。
DSC02545.jpg

魚屋さん直伝、家庭で実践できる魚のさばき方実演
斎藤いゆさんが再び登場。普段魚屋さんで働くいゆさんは、1日に何百匹と魚をさばくこともあるそう。今回は、家庭でもさばきやすい「イナダ」のさばき方を教えてもらいました。地域によって魚の鮮度を保つために行う血抜きの方法が異なることや、胃袋を開いて見るとどんなものを食べていたかがわかるなど、魚が大好きないゆさんらしいさばき方講座となりました。興味津々に見つめる子どもたちの後ろには動画で記録するお父さんお母さんの姿も。食べられる部分を無駄しないいゆさんの手さばきに見入っていました。
DSC02638.jpg

シェフが腕を振るった南蛮揚げとタコスで、釣ったばかりの魚を試食
ここからはレストラン「pokkedish(ポッケディッシュ)」のシェフを務めるノブさんこと、斎藤亘胤さんの試食会タイム。さっき釣ったばかりのイワシは甘辛いタレにからめた南蛮揚げに、そして、10年前と比べて90倍も函館で水揚げされるようになったサバを使ったタコスを提供してくれました。
DSC02659.jpg

南蛮揚げはイワシのフィレに米粉をまぶしてから卵にくぐらせ二度揚げすることで、小骨が気にならずガリッと仕上がり、タレが絡みやすくなると調理のコツも伝授。美味しさに思わず参加者の笑顔がこぼれます。
L1070841.jpg

親子で考える「#わが家の海宣言」
最後に、イベントに参加して感じたこと、海への思いやこれからの向き合い方を親子で相談してもらい、発表タイムを行いました。「海にごみを捨てない」「海が大切だということを友だちに広めたい」など、思い思いの宣言が出ました。
DSC02793.jpg

DSC02786.jpg

参加した子ども・保護者からの声
子どもからの声
「海の楽しさと危なさ、月と海面の関係や魚のさばき方など色々知ることができた。海に行ったら、まず釣りをしてみてほしい。」
「海は2050年にはごみのほうが多くなることを知った。」
「このイベントを通して、もっと海について知りたくなった。このイベントを友だちにすすめて、もっと海について学校で広めようと思いました。」

保護者からの声
「生態系の変化により、函館でとれる魚が変化していくということ。変化を悪いことと受け止めるのではなく、今とれるお魚を味わうことの大事さを学びました。」
「海のことを知っていたと思っていましたが、意外にもたくさん知らないことがあり、学べて楽しかったです。」
「いゆさんの講話がとてもおもしろくてわかりやすく、シリーズで定期開催してほしいです。」

はこだて海の教室サイト
昆布日本一のまち・函館で、昆布に一番詳しい小学生になろう 「子ども海そうアカデミー 目指せ!コンブの博士ちゃん」を開催しました! [2023年09月06日(Wed)]
⼀般社団法⼈ Blue Commons Japanは、2023年9月3日に、子どもたちが海について学び、海の未来を考えることを目的に、「子ども海そうアカデミー 目指せ!コンブの博士ちゃん」を開催いたしました。当日は、専門家による昆布についての講義、生の昆布に触る体験などを行い、ホテルのシェフが作った特製ランチで海藻料理を味わいました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して⼈と⼈とがつながる“⽇本財団「海と⽇本プロジェクト」”の⼀環として実施されました。

DSC_2155.jpg


【スタッフによる昆布概論】

1日かけて昆布について学び、「コンブの博士ちゃん」を目指そうという今回の講座。最初に、前回からの宿題としていた「スーパーや自宅の台所で見つけた海藻」と「前回の講座から今日までの間に食べた、海藻が入った料理」を子どもたちに発表してもらいました。「見つけた海藻」としては、食卓でも身近なワカメや昆布、ヒジキ、モズク、メカブなどの名前が挙がりました。
「海藻が入った料理」としては、ワカメの味噌汁、海藻サラダ、ヒジキの炒め物、ところてんなど、バラエティに富んだ料理名が次々に飛び出しました。

L1070084.jpg

続いて当法人スタッフの佐々木康弘が、今回の講座のテーマである昆布の「意外と知らない豆知識」を紹介しました。海藻は日本近海だけで2000種類以上あると言われていること、その中で食用にされているものはごくわずかで、昆布はその代表格であること、函館は昆布の生産量日本一(※)であることなどを子どもたちに伝えました。さらに、北海道の昆布は1200年前の奈良時代から朝廷に献上されていたこと、江戸時代には北前船で本州に送られ、特に北陸地方と京都・大阪の人々がだし用・食用として好んでいた歴史などを説明しました。北海道でとれるだし用昆布は、産地とその特徴によって「真昆布・利尻昆布・羅臼昆布・日高昆布」の4種類に分かれていることにも触れました。子どもたちは、メモを取ったり講師からのクイズに答えたりしながら、興味深そうに耳を傾けていました。
(※)北海道水産統計(2021年実績)より

L1070086.jpg


【函館朝市ミニ水族館で昆布が育つ様子を学び、老舗昆布店で豊富な昆布製品を見学】

函館が昆布生産量日本一であることを学んだ子どもたち。しかし、実はそのうち天然昆布はごくわずかで、総生産量の9割以上を占める養殖昆布が函館の昆布産業を支えています。そこで、昆布の養殖を身近に感じてもらうため、当法人が函館朝市「えきに市場」内に開設している「函館朝市ミニ水族館」に移動し、「種苗を植え付けたロープを海中に沈める」という昆布養殖をミニサイズで再現した水槽を見学しました。昆布といえば岩に生えているイメージを持っていた子どもたちにとって、ロープから昆布が伸びている光景は驚きだった様子。真横からも上からも水槽をのぞき込み、細部まで観察していました。

DSC_2093.jpg

続いて、函館朝市ミニ水族館の水槽のすぐ隣にある老舗「梶原昆布店」を訪問。函館産の真昆布を筆頭に4種類のだし用昆布が店頭に並んでいること、昆布がさまざまな加工品に形を変えて販売されていることを確認し、昆布が幅広い用途で活用されていることを実感しました。

DSC_2102.jpg


【昆布に触れて感触を確かめ、函館が昆布生産量日本一である理由を知る】
 
函館朝市での昆布のミニ養殖と老舗昆布店の見学を終えた子どもたち。今度は、海の中での昆布の姿をリアルに感じてもらうため、昆布の収穫期に採集して冷凍保存していた生の真昆布とガゴメ昆布を触ってみる「昆布のタッチプール」を体験しました。真昆布のずっしりした重さと厚み、表面のつるつるした感触と、ガゴメ昆布のねばねばした表面の感触を両手で触って確かめた子どもたち。ガゴメ昆布のねばねば成分をスライムのように伸ばして楽しむ子や、「肌に良い成分が含まれている」と聞いて手の甲や腕に塗り始める子もいました。

DSC_2152.jpg

続いて、海藻の有効活用や産業化を推進する産学官連携団体「海藻活用研究会」事務局長の布村重樹さんが登壇。函館近海は千島列島沿いに南下する寒流(親潮)と日本海側を流れる暖流(対馬海流)とがぶつかり合う栄養豊富な海域であり、昔から昆布が良く育つことや、魚の繁殖にも適していることなどを紹介しました。さらに、函館の昆布産業を支える養殖昆布の漁と加工の様子や、函館産の真昆布が大手外食チェーンでも活用されていることなどについて、動画を交えながら子どもたちに話していただきました。

DSC_2243.jpg


【昆布尽くしのスペシャルランチで昆布のうまみと多彩な活用法に触れる】

この日のお昼ごはんは、函館国際ホテルの総料理長を務める木村史能シェフがこの講座のために特別に考案し、すべて自ら調理した「海藻スペシャルランチボックス」。駒ケ岳ポークの真昆布入り特製酢豚、海老と真昆布のチリソース、真昆布とたまふくら大豆の炊き込みご飯、函館産ガゴメ昆布入り中華スープなど、ほぼすべての料理に真昆布またはガゴメ昆布を使った全10品目の豪華なお弁当を作っていただきました。

DSC_2276.jpg

それぞれの料理に昆布がどのように使われているかを木村シェフにお話ししていただいてから、みんなで「いただきます!」とあいさつ。本格的な中国料理を楽しみながら、昆布の多彩な利用法を実感しました。

DSC_2295.jpg

あまりのおいしさに箸が止まらず、当初は静寂に包まれた教室。やがて、「おいしいおいしい」「昆布のスープお代わりしたい」など、喜びの声が子どもたちから上がりました。


【函館真昆布について「伝えたいこと」をキャッチコピーと絵でポスターに】

見て、聞いて、触って、においをかぎ、舌で味わい、五感を活用して昆布について学んだ子どもたち。講座の締めくくりは、函館特産の真昆布をPRするポスター作り。函館の観光ポスターや函館市電のラッピング車両、商品パッケージなど幅広い分野で活躍するグラフィックデザイナーの岡田暁さんが講師を務めました。
最初に「今日、函館真昆布について見聞きしたことの中で、誰かに伝えるとしたら何を伝えたいか、思いつくかぎり書き出してみよう」と呼び掛け、「その中で一番伝えたいこと」を子供たち自身に選ばせた岡田さん。続いて、その「伝えたいこと=ポスターのコンセプト」を表現するキャッチコピーと、それをどんな絵で表現するかを岡田さんが子どもたち1人1人と相談しながら決めました。

DSC_2368.jpg

コンセプトとその具体的な表現方法をしっかり決めたおかげで、実際に手を動かし始めると迷いなく描いていく子どもたち。函館近海に昆布が密集している北海道地図に「函館は昆布収穫量日本一」の文字、キラキラ輝く手の甲と昆布のねばりを表現した絵に「このネバネバはスベスベのもと」の文字など、さまざまな角度から函館の真昆布を紹介するポスターの原画がそろいました。

DSC_2389.jpg

子どもたちが描いたイラストは、岡田さんが文字や背景などを足したり調整したりしてポスターに仕上げ、函館市主催の「函館真昆布展」(11月に函館蔦屋書店で開催予定)で展示します。

========
はこだて海の教室
公式サイトはこちら
海洋体験は磯観察やビーチコーミングだけじゃない!専門家に学ぶ『児童教育×海釣りの可能性』を開催しました! [2023年09月06日(Wed)]
一般社団法人Blue Commons Japanは8月29日(火)、放課後児童クラブ・放課後等デイサービスの指導員など児童教育に携わる方々を対象に、児童向け余暇(レジャー)活動の事例を紹介する講座「専門家に学ぶ『児童教育×海釣りの可能性』」を開催いたしました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

230829um41.jpg


【「専門家に学ぶ『児童教育× 海釣りの可能性』」企画の背景】

これまで当法人は、小学生を主対象とした講座を開き、さまざまな切り口から海に親しむ機会を提供してきましたが、今年度は対象を中高生にも広げ、函館エリアにおける「人と海との接点」を広げることに努めています。その一方で、学校や放課後児童クラブ・放課後等デイサービスなど児童教育の現場において、実践的な海洋教育を行う機会が限られているとの現状も見聞きしてきました。理由の一つとして、函館は三方を海に囲まれているにも関わらず、小さな海水浴場が1カ所あるのみで、安全に海に親しめる場所が非常に限られていることが挙げられます。

そこで今回は、子どもたちの安全を確保しながらできる海洋体験の事例紹介やその効果を学ぶとともに、海に入らずにできる海洋体験の例として釣りを体験し、児童と海をつなぐ人を増やすきっかけ作りの場とするとともに、ゆくゆくは各教育現場でその成果を活用してもらうことを目標に掲げました。


【海について多面的に学べる「釣り」は児童向け海洋教育に最適】 

今回の参加者は、放課後児童クラブ・放課後等デイサービスの指導員などとして日常的に子どもたちと接している方が大半。実践的な海洋教育・海洋体験の事例について知るため、磯の観察会や海に関するワークショップなどを数多く開催しているNPO法人ディスカバーブルー(神奈川県二宮町)代表理事の水井涼太さんから、オンラインでお話を聞きました。

230829um08.jpg

同法人が取り組んでいる海洋体験の事例として、磯観察やプランクトンの観察、ビーチコーミングなどを紹介し、さらに「磯の生き物観察をした後に、磯の生物多様性が高い理由を話す」「砂浜と磯の両方を観察し、環境によって生き物の種類や数が違うことを知る」など、海洋体験の学びを深める手法を説明した水井さん。何度も函館の海を訪ねた経験を踏まえて「函館には海について学べるコンテンツが多く、水産・観光・造船などさまざまな切り口がある」「海辺と市街地が近く、歴史に裏打ちされた海洋都市としてのアイデンティティーがある」「海洋環境に多様性がある」と話し、函館が海洋教育に適したまちであることを強調しました。

230829um09.jpg

児童教育としての海釣りについては「海の中を想像し、糸を通して海の中をのぞきこむことができるうえに、体験としての魅力がある。さらに、釣った魚を食べることを通して『海と暮らしの結びつき』を実感し、海の生態系への理解も深めることができる」と説明。さまざまな側面から海についての理解を深めることができる「海釣り」は、優良な海洋教育プログラムになりえることを指摘しました。


【海が直面する課題について考えるために、海をしっかり楽しむ】

続いて、釣り具のテスターを務めるほか、地元ケーブルテレビNCVの釣り番組「釣りバカZ」に出演するなど、釣り普及のために幅広く活動するフィッシングアドバイザーの鈴木遊介さんが登壇。当法人スタッフとのクロストーク形式で、釣りについての基礎知識や心構えなどを参加者に伝えました。

230829um18.jpg

「釣りをする時は、まず楽しんでほしい。思いっ切り楽しんだら、海のいろいろな問題について自然に興味を持てるはず」と鈴木さん。「釣れている時に釣りをやめるのは難しいが、たくさん釣れたからと言って食べきれないほど持ち帰ったら、命を粗末に扱うことになるし、魚が減っていずれは釣れなくなってしまう」とも話し、食べきれる分だけ釣って持ち帰る「おかず釣り」をしようと呼び掛けました。


【函館湾の岸壁でサビキ釣りに挑戦!意外な魚との出会いが待っていた】

いよいよ待ちに待った海釣りの時間。会場すぐ前の岸壁へ徒歩で移動し、まずは鈴木さんから仕掛けの付け方などの説明を聞きます。釣り初心者も多く、糸の通し方やリールの扱い方に戸惑う場面もありましたが、鈴木さんやスタッフのサポートを受けながら参加者自身で釣り竿と仕掛けをセッティング。準備ができた人から、次々に海へ釣り糸を垂れました。

230829um37.jpg

この日は、函館湾を回遊しているイワシやサバをねらってサビキ釣りに挑戦。当初は全く当たりがありませんでしたが、しばらくするとコマセ(撒き餌)の効果で岸壁から魚の姿がはっきりと見えるように。イワシと思われる小型の魚が釣り針のすぐそばを泳ぎ、コマセを食べている様子も見えました。

そんな中、岸壁に響き渡る「釣れたー!」との声。リールを巻いて海面から姿を現したのは、ぷっくりとした体長15センチほどのフグ。透明のケースに入れてみんなで観察し、普段遠い存在のように感じていたフグが身近な海にも生息していることを実感しました。

その後もわずかに当たりが来ましたが、釣れたのはいずれもフグ。参加者は自然を相手にする釣りの厳しさと、すぐそこに見える魚たちと竿と糸で対話する楽しさに触れ、笑顔で釣り体験を締めくくりました。

230829um43.jpg


【参加者からの声】

「単に釣りを楽しむだけでなく、未来につなげる環境保全を続けていく大切さを学んだ」
「実際に海に行くだけでなく、海に関連する事業などからアプローチする海洋教育にも可能性があると感じた」
「身近な場所で学べることはまだまだたくさんあり、海で泳ぐ以外にも子どもと一緒に楽しめることは多いのだと感じた」
「教育者側も、海洋教育が重要であるとの認識はありつつも、どう教えて良いか、情報をどう得たらよいかなどに困っているのが現状なのだと知った」
「児童に海洋体験をするときにライフジャケットなどをそろえられないので、貸出しなどがあると良いと思った」


【協賛について】                                 

今回の「専門家に学ぶ『児童教育×海釣りの可能性』」をはじめ、当法人が主催する「釣り」を取り入れた海洋教育体験プログラムに対し、世界的な釣具ブランド「DAIWA」を事業展開するグローブライド株式会社より、釣具やライフジャケット、児童を対象とした海洋体験の参考書籍などの協賛をいただきました。

230829um23.jpg
ライフジャケットの着用を実演する当法人スタッフ

========
はこだて海の教室
公式サイトはこちら
【募集終了】親子de海釣り自然塾 [2023年08月22日(Tue)]
一般社団法人 Blue Commons Japanは、2023年9月24日(日)、函館市ならびに近郊の小学3〜6年生とその保護者を対象に、釣りを通して海の中の世界を知るイベント「親子de海釣り自然塾」を開催します。事前申込制で、15組30名を募集します。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環として実施します。

01.jpg

まず、函館の人工島「緑の島」の周りにはどんな魚がいるのか、なぜ函館の海にはいろんな魚が集まってくるのかを講師から学びます。
続いて、緑の島での釣りにチャレンジ。資源を守るために、食べられる分だけを釣る「おかず釣り」を実施します。
最後に釣った魚の一部は、シェフが調理をして、参加者全員で美味しくいただく、盛りだくさんの内容です。

開催概要※募集は締め切りました
開催日  2023年9月24日(日)
     ※小雨決行、荒天の場合は屋内プログラムに変更
時間   9:30〜13:30
対象   小学3〜6年生とその保護者
     ※保護者1名につき小学生1名まで
参加費  1組1,000円
募集人数 15組30名
締切   2023年9月4日(月)
     ※当選者にのみ9月6日(水)までに連絡いたします
集合場所 港の庵(緑の島そば 函館市大町8-26)
服装   汚れてもよい服、動きやすい靴(スニーカーなど。サンダル不可)または長靴
持ち物  飲み物、ハンドタオル、帽子、日焼け止め、レインコート(多少の雨であれば釣りをします。傘は不可)
釣った魚を持ち帰る場合はクーラーボックス
※釣り竿などの釣りに必要な道具は、主催者で用意します。

申込方法
応募フォームにアクセスし、必要事項を入力してください。
募集は締め切りました

<お問い合わせ先>
 団体名:一般社団法人 Blue Commons Japan
 電話番号:0138-86-7602(平日9時〜17時)
 担当:吉田
 メールアドレス:hakodate-umi@umi-nippon.com

はこだて海の教室 公式サイト
函館の中高生が磯での生き物観察と釣りで「近くて遠い海」にふれる1日かぎりの部活「はこだてOceans」を開催しました! [2023年08月16日(Wed)]
一般社団法人 Blue Commons Japanは、2023年8月3日(木)、函館市ならびに近郊の中学生と高校生を対象に、磯での生き物観察と釣り、海洋の専門家による講話を1日に凝縮して体験する海洋教育プログラム「はこだてOceans(オーシャンズ)」を開催いたしました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

230803ho47a.jpg

「はこだてOceans」は、三方を海に囲まれていながら水族館や大きな海水浴場がなく、海に親しんだり海について学んだりする機会がごく限られている函館において、海を「自分ごと化」する若者を育成するための1日体験プログラムです。これまで当法人は、小学生を主対象とした講座を開き、さまざまな切り口から海に親しむ機会を提供してきましたが、今年度は函館エリアにおける「人と海との接点」をさらに広げるため、中高生を対象とした本プログラムを初めて企画・実施しました。


【磯に入って生き物を観察「はこだて磯活コレクション」】

朝、漁港近くの海に集合した中高生たち。顔合わせの最初に、最近海に行ったかを尋ねてみると、夏休み真っただ中にもかかわらず「この夏海に行った」と答えたのは数人。「3年以内に海に行った人」と尋ねてみても、手が上がったのは参加者の半数程度。函館で暮らす子どもたちにとって、身近なはずの海が意外と遠い存在であることが浮き彫りになりました。
その原因のひとつは、安全に遊べる海水浴場が函館市内にほとんどないこと。そこで今回は特別に許可を得て、磯場と砂浜が隣り合う函館市の住吉海岸に足まで入り、磯遊びと磯の生き物観察を行いました。

班に分かれ、思い思いに海の中をのぞき込んだり、石をひっくり返したりしながら磯の生き物探索を始めた中高生たち。まず驚いたのは、磯場を歩く小さいヤドカリの数の多さ。足首を覆うか覆わないか程度の浅瀬にもたくさんの小魚が泳いでいることも実感しました。徐々に目が慣れてくると、磯に住んでいるさまざまな生き物の姿がはっきりと見えてくるようになります。鋭い目つきでカニがいそうな場所を見極め、右手と左手で同時に別のカニを捕まえる「カニ専門ハンター」と化した子もいました。岩のすき間でひっそり育っていたカメノテを見つけて観察したり、石にぴったりと貼り付いているヒザラガイを手ではがして「取れたー!」と歓声を上げたり、それぞれに興味のあることを見つけながら磯観察を満喫しました。

DSC_0146a.jpg

ひと通り磯観察したところでいったん集合し、魚と海の生き物に詳しい「おさかな専門シンガーソングライター」の齊藤いゆさんに、集めた海の生き物を実際に掲げながら、その名前や生態を解説していただきました。北海道では食材として身近で、お祭りでは焼き貝としてよく販売されている巻貝「青つぶ」の正式名称が「ヒメエゾボラ」であること。「ヒメ」は小さいという意味で、単に「エゾボラ」と言えば刺身用として流通している「真つぶ」を指すこと。青つぶや真つぶを食べる際は、テトラミンという毒素を含む唾液腺を取り除くことなど、海の生き物に関する意外と知らない情報が次々に飛び出し、中高生たちも身を乗り出しながら耳を傾けていました。

DSC_0194a.jpg


【函館湾の人工島で釣り糸を垂れる「はこだて釣活チャレンジ」】

昼食後、函館湾に浮かぶ人工島「緑の島」へ移動。ここは2013年と2018年に5万人規模のライブが開催されたこともある広々とした空間。橋で陸地とつながっており、普段は市民が芝生の広場で体を動かしたり、散歩したりしている憩いの場です。湾内を回遊する魚たちをねらえる絶好の釣り場としても人気があります。今回はこの「緑の島」を会場に、海釣りを体験しました。
参加者のうち半数が「釣り経験なし」とのことで、参加者を5グループに分け、釣りに慣れている5人に各グループのリーダーになってもらいました。グループごとに竿を2本持ち、1本はアジやイワシ・サバが釣れる「サビキ釣り」、もう1本はカレイやアイナメなどの海底近くにいる魚が釣れる「遊動式仕掛けの釣り」を体験することに。釣り具のテスターを務める腕前を持つ齊藤いゆさんから「釣ろうとする魚の生態を考え、魚へのおもてなしの気持ちを持って準備する」「あせらず、落ち着いて行動することが結果的に釣果を多くする」など釣りの心得を学び、さっそく湾内に向かって釣り糸を垂れました。すると、次の瞬間に早くも竿に手ごたえが。

DSC_0363a.jpg

どうやらこの日はマイワシの群れが函館湾を回遊していたようで、サビキ仕掛けを海に入れると瞬く間に2〜3匹が針にかかる「爆釣」が続きました。次々に釣れるため参加者も大忙しで、各グループのリーダーが文字通りリーダーシップを発揮。釣り経験のない参加者に竿の持ち方を教えたり、釣り針から魚を外したりと大活躍してくれました。

DSC_0240a.jpg

この日のマイワシはサイズが比較的大きく、20センチを超えるものも。ほかに、マサバやマフグなどが釣れました。ここで、釣れた魚の特徴や生態について、再び齊藤いゆさんが解説。「青魚の背が青くて腹が銀色なのはなぜか」など意外と知らない魚の謎についても教えてもらい、魚をより身近に感じることができました。


【海の魅力や課題について学ぶ「はこだて海活ワーク」】

磯での生き物観察で実際に海に入り、海釣りでは直接入れない深さにいる魚たちと糸を介して向き合った中高生たち。さらに深く海について知るため、海を活かした地域振興や海の環境保全・社会教育などに精力的に取り組む環境学博士、水井涼太さんによるリモート講義に耳を傾けました。
美しく豊かな海と暮らしていける社会の構築を目指して活動するNPO法人ディスカバーブルーの代表理事も務める水井さん。海の多様性は、植物プランクトン、動物プランクトン、小魚、大型の魚という食物連鎖で成り立っており、さらには森林から川を通って海に流れ込む栄養素が重要な役割を果たしていること。海洋ごみが世界中で深刻な状態にあること。地球温暖化の影響で日本近海の様子が変わりつつあることなど、海の豊かさと課題、あきらめずに一歩ずつ解決に向けて取り組むことの大切さなどについて話しました。

DSC_0374a.jpg

紙にびっしりメモを取り、真剣な面持ちで聞いていた子どもたち。海で一日遊んだからこそ、「海を大切にしよう」との思いが強く刻まれた様子でした。


【一日かけて海に親しんだ中高生19人による「わたしの海宣言」】

朝から夕方まで一日かけて海を体験し、海について学んだ19人の中高生。最後に、この日の経験や気づき、海に対して思ったことなどを1枚の紙にまとめ、「わたしの海宣言」として発表してもらいました。

DSC_0405a.jpg

「普段の生活の中からプラスチックを減らしてみる」「ごみは持ち帰る」「砂浜はごみが多いので、ごみ拾いなどの活動に積極的に参加する」「食べられる魚を増やしていきたい」「磯での生き物探しと釣りで、待つことの大切さを学んだので、どんな時でもじっと待つようにしたい」など、素敵な「海宣言」の数々に、互いに拍手を送り合いました。


【参加した中学生・高校生からの声】

「海をどう扱うかによって、海以外の環境や地球全体が大きく変化してしまうことを知った」
「海の素晴らしさや、人と協力することの大切さを学んだ」
「こんなにやさしい先生たちはいないと思った。楽しかった」
「魚を釣って自分たちで調理して食べるイベントがあったら参加したい」
「環境を守るには大きすぎる目標を立てるのではなく、小さい目標を立てて実行していくことが大切だと学びました」
「一つ一つにたくさん内容が詰まっていて、学校ではできないこと、スマホでは分からないことがたくさんできた」
「中高生向けのイベントは少なく、小学生が含まれると参加しにくいので、今後もあればぜひ参加したい」

========
はこだて海の教室
公式サイトはこちら
| 次へ