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GAP活用で先を行くアセアンの流通企業たち [2022年01月07日(Fri)]
GAP総合研究所 所長の武田泰明です。

あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

日中韓ASEANなど15カ国が参加する経済協定RCEP(アールセップ)が1月1日に発効しました。
TPPを超えるインパクトがあるのではないかとも言われています。

今年は成長著しいアセアンマーケットに注目するところから始めてみましょう。

12月にアセアン事務局主催のシンポジウム「GAP webinar for buyers of agri-product in ASEAN」が開催されました。
アセアンの流通企業や政府関係者が参加していましたが、ここで発表されたデータを共有しましょう。

■アセアンの流通企業 GAP活用の状況

調査先:小売業、食品卸売業、食品加工業、飲食業 合計669社
調査国:アセアン6か国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

★GAP認知度

アセアン6か国平均 知っている29% 聞いたことがある49% 合計 78%

シンガポール 知っている52% 聞いたことがある46% 合計 98%

タイ 知っている33% 聞いたことがある56% 合計 89%

ベトナム 知っている20% 聞いたことがある57% 合計 77%

参考までに、ほぼ同時期に日本で行われた同様の調査(流通・加工業1,183社)の結果は以下の通り。
https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/g_summary/index.html

日本 知っている7.5% 聞いたことがある20.6% 合計 28.1%


★GAP活用度(産地にGAP認証を要求、または優先取引)

アセアン6か国平均 21%

シンガポール 41%

タイ 28%

ベトナム 21%

日本 1.9%(上記の調査より)


この数字に、私は大きな衝撃を受けました。
日本企業は、GAP認知度・GAP活用度ともに最下位です。

皆さんは、どう思われるでしょうか。

日本産農産物は基本的に安全だから、意識が向かないという人がいるかもしれませんが、それは違うでしょう。
日本産農産物も、欧米やアジアと同じく、食品衛生法違反が起きてます。
また加工・流通業の立場に立てば、扱っている商品の半分は輸入農産物やその加工品です。


GAPは欧米から始まり、アジアに広がりつつある、というのが大きな歴史の流れでしょう。
人も農産物も、グローバルに動くのが当然になってきている。
その流れの中で、上記の数字をどう考えるか。

日本の流通・加工・外食業は十分な企業発展スピードを保てているでしょうか?
GAPなど世界の潮流に関する情報収集能力(GAP認知度)、サプライチェーンを通した品質管理の能力(GAP活用度)、どちらも心配になる状況です。

アセアンの企業の方が、もっと熱心に勉強し、国際的な動きをキャッチしています。

日本の流通業で働いている人が劣っているとは思いません。
そのようなミクロな話では、ここまでの数字の差が出ません。

たぶん、この数字の背景には、日本経済の深い病巣があるのかもしれません。


バブル崩壊後の「失われた30年」の間に、日本企業は「安いこと」だけを戦略に進んできたのではないでしょうか。
その結果として、物価は上がらず、実質賃金は約10%マイナス、日本人は国際相対的に貧乏になりつつあります。(参考:米国は同時期に実質賃金が約20%上昇)
物価が上がっている海外では、日本が買い負けすることも増えています。

一握りの富裕層と、その他多くの生活が苦しい中間層。
まるで、どこかの発展途上国のようです。
大半の消費者が貧乏になった日本マーケットは、ますます安くないと売れなくなります。

国産のイモ、タマ、ニンジン、キャベツ、ダイコン、、、
日本の店頭価格は30年間、同じです。(コメ、茶は下落している?)
その間に輸入中心の肥料コストは2倍、外国人労働者を雇うトータルコストは日本人以上になりつつあり、経費は確実に上がりました。
日本の農業は、ますます儲からなくなっています。

店頭価格が上がらない以上、農産物・食品の流通企業も当然儲けにくいです。
しかし物流費などコストは上がっている。
市場の仲卸の半分以上が赤字という統計もあります。

この30年の間に、農家だけでなく、流通企業(特に中小)も弱り、GAPなど世界の潮流に関する情報収集(GAP認知度)や、サプライチェーンを通した品質管理(GAP活用度)にコストをかけられなくなっているのではないでしょうか。


平たく言えば、日本の農業界・流通業界ともに、30年間で企業も人も余裕が無くなっており、3年後・5年後に向けた投資や教育ができなくなっているのではないでしょうか。

再び、日本がアジアの先頭を走りたいものです。

低物価・低賃金の悪循環を止める方法を考えること、これが2022年の日本の課題かなと思います。


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