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犬山城 (01/22)
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沖縄県恩納村の「水中文化遺産」にたいする取り組み [2022年05月07日(Sat)]
沖縄県恩納村博物館から『恩納村博物館紀要』第12号が刊行された.
論文8編のうち,「水中」に関するものが3編.
恩納村博物館の「水中」にたいする力の入れようがみえてくる.


このうち,崎原恒寿さんの「恩納村の水中遺跡・沿岸遺跡−調査成果の検討・新発見と活用について−」は,
2006年から村主体事業として取り組んできた「水中」の調査・研究,保護・公開・活用について,
現状や課題がよくわかる報告だ.

博物館では,地域に根ざし,地道に「水中」に関する調査・研究・周知・活用を継続しておこなってきた.
調査・研究成果を活かした遺跡見学会・展覧会・村内学校への出前講座の実施は,その一例だ.

継続して事業をおこなってこられたのは,限られた予算やマンパワーのもと,できる範囲で,できることをおこない,
調査成果を広く周知・活用することで,社会に還元するというスタンスを貫いた結果であり,
行政事業のあり方としては,理想的ともいえる.
とくに周知で「何がわかる」「何がわかったのか」を丁寧に伝える姿勢には,
より多くのひとに「知ってもおう」とする担当者の熱意も伝わってくる.

近年では,予算やマンパワーを補うためのひとつの方策として,
他機関(研究団体・大学・地元ダイビングサービス等)との連携や協働調査もおこなうなど,
「水中」調査方法の工夫や模索する姿勢もうかがえる.

ただし注意したいのは,「水中」の調査はそれに特化したものではなく,
あくまでも陸上もふくめた文化財保護行政のもとにおこなわれたものであることだ.
その結果,保護の対象として特定された遺跡数は,水中のみならず,陸上も増えている.
この点も事業が継続できていることとの理由のひとつだろう.

加えて事業が継続しておこなわれてきた背景には,
沖縄という土地柄や約27kmにわたる海岸線の存在もあろうが,担当者の地道な活動による行政・住民が協力できる体制構築を無視できない.

恩納村は,沖縄本島中央部の西海岸に面した,人口11,000人ほどの村.
このような行政的規模の小さな村の「水中」にたいする取り組みだが,
その内容は,他の自治体にも大いに参考になる事例だと思う.
それとともに,ぜひ多くのひとにこの取り組み方を知ってもらい,「水中」へ関心を持ってもらうためのヒントを得てもらいたい.