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犬山城 (01/22)
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『大阪府水中遺跡関連文化財調査報告書T』の刊行 [2020年08月21日(Fri)]
『大阪府水中遺跡関連文化財調査報告書T』大阪府教育委員会(2020年3月)が刊行されました.
2015年度から4ヵ年にわたる大阪府内の水中・沿岸地域の遺跡および関連文化財の分布調査成果をまとめたもので,大阪府が主体となっておこなった「水中」調査に関する初の報告書です.

また,2016年に「水中遺跡」にたいする行政指針として文化庁が公表した『水中遺跡保護の在り方について』(報告)後,初の行政による「水中」調査の報告書でもあります.

内容は,
1.水中遺跡の存在の可能性について検討するための文化財担当課およびダイビングサービス,漁業協同組合,海事・潜水工事関係会社へのアンケート調査,および市町村史誌等に掲載されている海事記録についての調査
2.古代から近代まで大阪と京都を結ぶ重要な水上交通路であり物流の根幹であった淀川流域沿岸部と水中遺跡の分布調査
3.水中遺跡関連文化財として,引揚げられた近世城郭石材(石垣石材)の調査
です.

「何が,どこに,どのように」あるのかという基礎的データー収集のための調査報告書で,「水中遺跡」のみならず,現在陸上にある水中からの引き揚げ遺物や沿岸・潮間帯などの「水際の遺跡」,というような「目に見える」「水中」遺跡も対象とした「水中遺跡関連文化財」,すなわち「水中文化遺産」の調査報告書です.

「水中」調査に関しては,
「沈没船」「潜水調査」など,調査をするにしても「ハードルが高い」という先入観(偏見)が行政にあるようで,
それが「水中」調査への躊躇に繋がり,関心が広がらない要因のひとつになっています.

それを払拭するために,まとめ上げたのが『水中遺跡保護の在り方について』(報告)だったのですが,その意図の浸透は広がりを見せていないのが現状です.

そのようななか,“水の都”と呼ばれ,歴史が水と深く関わってきた大阪府が水中文化遺産の基礎的データー収集のための調査報告書を刊行したことは,意義深いことです.

「総括」では,大阪の歴史を解き明かすには「陸上の遺跡だけではなく水中にも遺跡があることを意識した調査が必要である」「関連文化財や水際,埋立地等,かかわりがある遺跡の状況を見落とさず,水と関連があったことを意識して調査することにより,・・・・・より多くの情報が得られるにちがいない」と,結んでいます.

「水中」調査に関しては,行政が地域の歴史的特性を見極めながら,できることから取り組むこと(ハードルを下げる)が必要です.それを大阪府の報告書では実践しているので,行政の「水中」調査にたいする取り組み方へのモデルともなり得る内容です.
これを契機に,より多くの行政が「水中」調査への偏見をなくして,取り組み始めることに期待したいと思います.


なお大阪府の報告書は,奈良文化財研究所が公開している「全国遺跡報告書総覧」からPDF版をダウンロードすることができます.
https://sitereports.nabunken.go.jp/ja