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犬山城 (01/22)
https://blog.canpan.info/ariua/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/ariua/index2_0.xml
今年もありがとうございました [2015年12月31日(Thu)]
今年も研究所の活動にご理解・ご協力をいただきましてありがとうございました。
来年も水中文化遺産の周知・研究に尽力しますので、よろしくお願いいたします。

皆さま、良いお年をお迎えください。
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展覧会情報 [2015年12月29日(Tue)]
先日お知らせした
新潟県立歴史博物館で開催中の
2015年度冬季企画展「UMIAGARI−海揚がり−」
(2015年12月19日〜2016年3月21日)

のほかにも現在開催中およびこれから開催される水中文化遺産関連の展覧会情報をお知らせします.

神奈川県立歴史博物館
平成27年度かながわの遺跡展「縄文の海 縄文の森」

開催期間:2015年12月19日(土)〜2016年1月30日(土)
http://ch.kanagawa-museum.jp/tenji/tenji.html
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宮崎県立西都原考古博物館
平成27年度企画展II「それは何を運んだのか 〜古墳時代のフネ・舟・船〜」

開催期間:2016年1月16日(土)〜3月21日(月)
http://saito-muse.pref.miyazaki.jp/home.html
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詳細は,各博物館のホームページでご確認ください.
Posted by T.Hayashibara at 21:50 | 展覧会 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
NHK-BS『キャッチ! 世界の視点』特集「300年前の沈没船財宝の行方は」 [2015年12月28日(Mon)]
少し前になりますが,12月11日(金)朝,NHK-BSでの国際ニュース番組「キャッチ! 世界の視点」で,
歴史的沈没船の話題をあつかった「300年前の沈没船財宝の行方は」と題した特集が放映されました.

先日,ニュースとして報じられたコロンビア沖海底で発見されたスペイン・ガレオン船「サンホセ号」に関しての内容です.

発見したのはアメリカのトレジャーハンター(会社)で,その所有権をめぐって発見場所のあるコロンビアと起源国のスペインとが争っているとのことです.

この手の話題があると必ずと言って良いほど,関連報道がなされますが,
関心はもっぱら,その沈没船が積んでいた「財宝」の経済的価値(時価)やその沈没船の所有権の問題です.
そして,必ず関連法の専門家がそれに対するコメントを求められてきました.
最近ではユネスコの水中文化遺産保護条約が発効したことから,条約がらみのコメントも聞かれるようになりましたが,それでもその経済的価値や所有権に関心の中心があるのはかわりません.

このようなことが,NHKそして民放でも事あるごとに繰り返されてきました.
今回もタイトルに「財宝」「行方」とあるように関心の対象は同じです.

今回は,歴史的沈没船とそれにかかわる国際法に詳しい東京海洋大学准教授の中田達也さんがコメントされていました.
ただし,今回の中田さんのコメントは,これまでの専門家のコメントとは一線を画すような内容でした.
中田さんは,所有権や経済的価値云々というような法律的な側面のみではなく,沈没船とその積荷に歴史的価値を認め,それこそが水中文化遺産保護条約の精神であり,単に所有権や経済的価値に焦点を当てるのではなく,文化財として正しくとらえよう,ということを強調されていた.
このような,歴史的沈没船=文化財ということを強調した内容のコメントは,この種の番組では初めてではないようでしょうか?

同事例でコメントを求められた専門家(関連法)で,中田さんのようなコメントをできる専門家はいるでしょうか?
これは,歴史的沈没船を文化財として,どれだけ正しく認識しているのかとも関連してきます.
逆に言えば,専門家の多くは歴史的沈没船を文化財としてとらえていないということの裏返しにも見えます.
(関連法の専門家だけではありません,実際には文化財や考古学研究者のなかにも正しく理解していない方もいますので,彼らにも言えることです)

もちろん中田さんは,所有権に関しても十分な知見はあります.
中田さんはARIUAの会員で,私たちとも日ごろから議論をしており,水中文化遺産を正しく理解し,現場にも足を運び水中文化遺産調査の最前線も見ています.
だからこそ,言うことのできたコメントだったのでないでしょうか.

ただし,全体を通じての関心事が所有権や経済的価値であったこともあり,今回の特集を観た方に歴史的沈没船が文化財である,という認識がどれだけ伝わったでしょうか.
最後にキャスターは「人類共通の文化遺産として保全されることを望む」と締めていましたが.

歴史的沈没船にたいする多くの方の興味の対象が「財宝」「時価」などの経済的価値およびその所有権であること,これには報道する側の扱い方が大いに反映されている結果と言えます.
今回の特集でも「商業的利用を禁じた」水中文化遺産保護条約触れながら,このありさまです.

また,今回の特集ではトレジャーハンターの撮影映像,彼らのコメントを使っていました.
それも彼らを肯定するかのように,無批判に.この状況も毎度みられることです.
トレジャーハンターは,水中文化遺産保護条約では違法行為として明確に否定しています.
たしかに彼らを認めている国もありますが,世界の趨勢は文化財保全の立場から否定しています.
このような行為を報道側が無批判に肯定的にあつかうことそれ自体に,この問題の本質があらわれているのかもしれません.
(陸上の事例だったら,こんな報道はありません.このようなところにも,報道側の歴史的沈没船が文化財であるという認識の希薄さがみられます.)

そろそろ,歴史的沈没船=積荷・経済的価値,ではく,歴史的沈没船=水中文化遺産=文化財という認識に立った報道をしてほしいものです.

TBSテレビでは,正月特番で今年に引き続き「歴史的沈没船」の「お宝」関連の番組が放映されるようです.
その対象は,トレジャーハンターが発見した「歴史的沈没船」です.
遺物の引揚げもなされるのかもしれません.
私の願望の達成は,まだまだ先のようです.
新潟県立歴史博物館・2015年度冬季企画展「UMIAGARI−海揚がり−」 [2015年12月06日(Sun)]
新潟県立歴史博物館で,2015年度冬季企画展「UMIAGARI−海揚がり−」が開催されます.

開催期間:2015年12月19日(土)〜2016年3月21日(月・休日)

新潟県域の「海揚がり陶磁器」が展示されます.
期間中の3月6日(日)には,岩淵聡文理事(東京海洋大学教授)による講演会もあります.
(「水中考古学入門」.要事前申込)

詳細は,博物館のホームページおよびポスターでご確認ください.
http://nbz.or.jp/?p=11060

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Posted by T.Hayashibara at 16:33 | 展覧会 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
初島での調査報告会 [2015年12月05日(Sat)]
29日(日)の夜,19時から漁協の会議室をお借りして,島の方々を対象とした調査報告会を開催しました.
「遺跡」については,さまざまな伝聞とともに多くの島の方々が知ってはいるのですが,実際に見た方はごく少数です.
そのような島の方々に,より正しく遺跡を知ってもらいたい,というのが報告会を開催した目的です.
開催にあたり,調査同様に漁協を初めとする多くの方の協力をいただきました.

報告会の内容は以下のとおりです.
1.「初島沖海底遺跡と新しい水中考古学」 岩淵聡文(東京海洋大学教授)
2.「初島沖海底遺跡−江戸城修理瓦を積んだ沈没船−」 林原利明(ARIUA理事)
3.「初島沖海底遺跡調査と水中工学機器」 近藤逸人(東京海洋大学准教授)

報告会には,日曜日の夜にもかかわらず,予想を超える38名の方に集まっていただきました.
38名の大半は島の方々です.
ちなみに,初島に代々住まれている方の世帯数は41戸ですので,38名という人数がどれほどのものであるかは,おわかりいただけると思います.

DSCN1720.JPG
           報告会のようす

報告会は,予定の時間(1時間)をオーバーし,盛会で終了できました.
島の方々からは,多くの質問とともに,複数の新しい情報もいただきました.
このなかには,先に触れた「他の集積地区」についての情報もふくまれています.

報告会を通して,「遺跡」にたいする島の方々の関心の高さが伺えたとともに,
調査にたいする「期待」も感じました.

今後の調査に励みにもなる報告会でした.
ご協力いただいた方々,参加された方々,ありがとうございました.
初島沖海底遺跡調査のようす [2015年12月04日(Fri)]
11月27日(金)から12月1日にかけて実施した初島沖海底遺跡の調査は,予定通りに終了できました.
調査は,お知らせしたように朝日新聞文化財団・助成事業としておこなう3カ年調査の初年度にあたり,
今年度は,調査作業の省力化・効率化を目指し,水中工学機器(水中ロボット)を使用した遺構(遺物集積地区)検出状況図作成を主目的に実施しました.

遺跡の詳細については,これまでに説明してきましたので,そちらをご参照ください.
https://blog.canpan.info/ariua/archive/566

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遺物集積地区全景・手前側に平瓦が整然と並んでいる

調査チームは,ARIUA会員と東京海洋大学関係者(教員・学生)からなり,調査全体を通じて初島漁業協同組合,初島ダイビングセンターおよび島の方々に協力をいただきました.

調査は,初日のみ強風・高波のため現地での作業はできませんでしたが,
他日は天候・海況ともに恵まれ,海中も連日,視界は20mと撮影には最適の状況で,大きな作業変更はなく,進めることができました.

水中ロボットについては,東京海洋大学・近藤逸人研究室に協力をいただきました.
使用した水中ロボットは,近藤研究室が今回のプロジェクのために開発したROVで,他の水中文化遺産調査で使用しているもの(主目的は映像撮影)よりやや大型のもの(約100×60×50cm,重量約50kg)です.
また,光源(LED)のみ内蔵バッテリーから電力供給し,スクリュー等の主要装置の駆動には外部から電力を供給するタイプで,それに測量用のカメラを搭載しています.

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        海中で稼働中の水中ロボット

水中ロボットは,2回投入しました.
スクリューに不具合があり,水中ではダイバーのアシストが必要でしたが,映像の撮影には成功しました.
今後データー処理の後,図化をおこないます.
水中文化遺産調査で,水中文化遺産調査用に開発された水中光学機器による遺構検出状況図の作成は,恐らく国内では初の事例と思われますので,
図化に成功すれば,水中文化遺産調査にとり大きな成果になります.

ダイバーは,ロボット稼働中はロボットのアシストに集中しましたが,それ以外では遺構(遺物集積地区)の詳細観察をおこないました.
これまでの調査は,時間的な制約から潜水回数も限られて詳細な観察はできませんでした.
今回は,瓦類の種類・並び方・遺存状態・他の遺物の確認を主におこないました.
その結果,遺物集中地区の遺物は,鬼瓦(三葉葵紋)・軒丸瓦(三巴文)・平瓦の3種の瓦および擂鉢,砥石を確認しました.
他の遺物は,確認できませんでした.

このうち,もっとも数の多い平瓦は1〜3段に積まれた6列が,やや崩れは見られるものの全体としてはきれいに並んだ状態,
それに次ぐ軒丸瓦も2段1列,やはりきれいに並んだ状態が確認できました.

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        遺物集積地区・軒丸瓦の集積

これらは,ほぼ水没時の状態を保っているものと考えられます.
鬼瓦と砥石は,集積は見られず,遺物集積地区から散在したと考えられる状態でそれぞれ複数,
擂鉢は,乱れはあるものの十数個が重ねられた状態でまとめられた状態が複数個所で確認できました.

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        遺物集積地区・擂鉢の集積

これらの詳細も検出状況が図化されれば,より詳細に観察・検討ができます.

なお遺物集積地区では,丸瓦および軒平瓦は確認できませんでした.
この2種の瓦については,これまでの調査では遺物集積地区から離れた状態で,すべて単独で確認されていました.
それらは遺物集積地区から散在したものであろうと考え,これまでの報告では遺物集積地区の瓦種に加えていましたが,今回の調査で無いことが明らかになりました.
このような状況ですので,この2種の瓦の由来が問題になります.
瓦の様相から遺物集積地区で確認されている他の瓦と同時期・同種のものと考えて差し支えのないものですので,
遺物集積地区と同じ時期に水没した可能性が高いものです.
ですので,他所にこの2種の瓦をふくむ集中地区がある可能性を考える必要がありそうです.
この点について,付近で調査地区とは異なる瓦の集積を見た,との情報をダイバーや島の方から得ています.
その可能性を探るために,最終日に情報をもとにサーチしましたが,確認することはできませんでした.

今回の調査ではデーター処理はまだ終了していませんが,現地調査では,多くの成果を得ることができました.
それとともに,新たな課題も生じました.
これら課題解決については,今回の成果を精査したうえで整理・検討し,
次回(来年度)調査の内容・方法に反映したいと考えています.
初島の調査が終了しました [2015年12月02日(Wed)]
初島沖海底遺跡の調査(朝日新聞文化財団・文化財保護助成事業)が昨日,終了しました.
調査の詳細につきましては,あらためてお知らせしますが,
とりあえず,予定していた作業が,事故もなく無事に終了したことに,安堵しています.

調査中は,島の方々には大変にお世話なりました.
ご協力をいただきました方々とともにお礼申し上げます.

調査に参加された方々,お疲れさまでした.

なお,調査に関する記事が,昨日(12/.1)の朝日新聞web版に掲載されました.
http://www.asahi.com/articles/ASHCW62T3HCWUQIP03H.html

また,YouTubeにも調査の動画がアップされています.
https://www.youtube.com/watch?v=F-Ax4jzuga0

ご覧になってください.