バイア海底遺跡 [2013年12月07日(Sat)]
今日の「世界ふしぎ発見!」では,
南イタリアのバイア海底遺跡が紹介されていました. このブログでも何度か紹介しています. https://blog.canpan.info/ariua/category_12/1 バイア海底遺跡は,古代ローマ時代の海底に没した都市遺跡で, 今は「バイア水中公園」(Parco Sommerso di Baia)として, 整備・保護されているとともに, 一部は厳重な管理の元,一般の方も見学することができます. 遺跡には,当時の構造物(建物跡や浴場等)が調度品とともに残されています. 遺構の主な材質が石,レンガや漆喰などであることもあり, 何も手を加えないことを原則として保存されています. 痛みのある遺物や可動遺物は,引揚げられ,出土地点にはレプリカが置かれています. 見学エリアの水深は最大で6mほど,透明度も20m見えることもあるといいます. 見学方法は3種類あります. グラスボトムボートとよばれる船の船底のガラス窓越しに見学する方法, 専門のダイバーが撮影する海底の映像を船の上の大きなモニターで見学する方法, そして,実際に潜水して見学する方法です. また,陸上から続く遺跡なので,陸上の遺跡を見ること, 海底遺跡を見下ろす岬の突端に建つバイア城を利用した 考古学博物館(museo archeologico dei campi flegrei castello di baia)で, 出土・引揚げ資料を見ることができます. これらを見てから海底遺跡を見ることで, 遺跡の理解がより深まります. 沈没船遺跡では,このような見せ方は多くのばあい難しいでしょう. 水没遺跡だからこそ,できる見学方法です. 私たちが実施した水中遺跡見学会においては, その見せ方や保護・管理方法を参考・目標にしました. バイア海底遺跡の陸上や海上・海底の環境は, 遺跡公園として非常に恵まれています. なかなか,このような環境を合わせ持つ海底遺跡はきわめて限られることでしょう. 海底遺跡を「見せる」ことは難しい. 見せる側の工夫だけではどうしようないことが多々あります. 遺跡内容は良いのだが海況がよくない, 海況が良いが水深が深すぎる,などというように. でも,いつかバイア海底遺跡のような遺跡にめぐり逢い, 多くのひとに「海底の遺跡」を見て,理解してもらいたい, と映像を観て,あらためて感じました. |