WOWOW ノンフィクションW トレジャーハンター・オブ・カリビアン〜海底に眠る秘宝を追え!〜 [2013年07月28日(Sun)]
今朝,WOWOWで放映された
ノンフィクションW トレジャーハンター・オブ・カリビアン〜海底に眠る秘宝を追え!〜 を観ました. http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/100504/ 番組自体は,昨年の4月に放映されたものの再放送ですので, すでに観られた方もいるのかもしれません. 私は,初見です. 内容は,アメリカのトレジャーハンティングをビジネスにてしているメルフィッシャー・トレジャー社が 創業者であるメル・フィッシャーの代から手がけているカリブ海に1622年に沈んだスペイン船・アトーチャ号の「遺物」探索・引揚げのようすを取材したものです. 映像では,かなり乱暴な「発掘」のようすが映し出されています. 詳細な出土状況が作成されている場面もみられませんでした. 「財宝」引揚げを目的に,それにより利益を得る会社なので, 彼らには対価に相当する「財宝」以外は必要ないのでしょうから, 「財宝」が引揚げられれば,それで良いのでしょう. 彼らの行為は,ユネスコの「水中文化遺産保護条約」には明らかに違反するものです. ただし,番組のなかではメル・フィッシャーが1985年に発見したときにアメリカでくだされた 「沈没船の所有権,当該海域での採掘権」はいずれもメルフィッシャー社のもの という司法判断について,触れていました. 彼らの行為は「合法的」になされているという. 番組中では,「水中文化遺産」「水中考古学」という 学術的な用語は使われていませんでした. その点に,製作者側の「良心」があったのかもしれませんが, 観た方は,沈没船=財宝=引揚げ=売買=対価, 水中(海底)での文化遺産「発掘」(水中文化遺産調査)が映像に映し出された方法でおこなわれている. というような(間違った)認識をもつことでしょう. そこに沈没船自体が「水中文化遺産」で, 陸上にある法に厚く守られている「文化遺産」と同じである, という認識は持てない,持ちにくいでしょう. 水中文化遺産とその保護・研究(水中考古学)それぞれの社会的認識が その立場によって,異なるという現実は確かにあるのですが, だからこそ,制作側には視聴者が「誤解」が生まれるような内容で, このような題材を取り上げることはやめていただきたいと.切に思います. 1月にはトレジャーハンターを肯定的に取り上げた「世界遺産」関連番組もありました. https://blog.canpan.info/ariua/daily/201301/20 そのときにも書きましたが, テレビの影響は大きいですから, 「間違った認識」が広まることになりかねません. ところで,この番組は,WOWOWのオリジナルなのでしょうか? |