先日,東京湾海堡ファンクラブ主催の
東京湾海堡の海上視察に参加してきました。
東京湾海堡は,
明治から大正時代にかけて東京防衛のために、
東京湾につくられた人工島の海上要塞で,
3基(第一〜第三海堡)がつくられました.
人工島として,水中文化遺産ととらえられる遺構です.
水深5m前後ともっとも浅い位置につくられた第一海堡で,8年,
水深39m前後のもっとも深い位置につくられた第三海堡は,29年,
という長い年月をかけて完成されました.
当時の土木技術の粋を結集してつくられたもででしたが,
第二・三海堡は,大正関東大地震により,被災し.
その後は要塞として使用はされなくなりました.
第一海堡のみは,太平洋戦争まで要塞として使用されました.
暗礁化していた第三海堡は,通航の妨げになるとのことで、
2007(平成19)年に完全撤去され,
おもな遺構のみが,
横須賀市の
うみかぜ公園(平成町)と
国土交通省関東地方整備局東京湾口航路事務所・
第三海堡構造物 追浜展示施設(浦郷町)
で,
保存・公開されています.
東京湾海堡の詳細については,
国土交通省関東地方整備局東京湾口航路事務所のH.P.
http://www.pa.ktr.mlit.go.jp/wankou/index.htmをご覧ください.
少し前置きが長くなりましたが,
視察したのは,現存する第一・第二海堡です.
現在は,いずれも許可なくは上陸できないもこととなっています.
第一海堡にある「立入禁止」の看板今回は,富津港から出港。
近くで見る両海堡は,思いのほか大きいものでした.
第一海堡全景(北から)第二海堡は,現在土砂流失を防ぐための工事がおこなわれているようとのことで,
周囲がフェンスで覆われており,状態を確認できませんでした.
第二海堡全景(西から)第一海堡は,ほとんど手付かずの状態のようで,まるで自然の島のようでした.
ただし,建造物や土台の石垣を見ることでき,人工島であることを確認できます.
また,南側では,
土砂が大きく崩落し,
建造物や石垣が崩れ,そのままになっている状態も確認できました.
第一海堡南側の崩落状況(南から)遺構としての現状は,かなり荒れている状態で,保全措置もとられていないようですので,
かなり危うい状態のようです.
第一海堡に見られる崩れ落ちたままの建造物第二海堡については,保全措置をとっていることからも,
国土交通省は何らかの利用を考えているようですが,
第一海堡は,保全に関する具体的な動きはないようです.
このままでは,今後も崩壊は進むでしょう.
なお,富津港近くにある富津埋立記念貨には,
東京碗海堡についての図面・写真資料展示されています.
http://www.infochiba.ne.jp/FAINS/spot/0102/1581.html