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犬山城 (01/22)
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東南アジア考古学会研究大会「東南アジア水中考古学最前線」 から(3) [2012年11月28日(Wed)]
先日の東南アジア考古学会研究大会で,
参加していた学生から,
「水中考古学を学びたい.学ぶにはどうしたら良いのか」
という質問もありました.

質問した学生は複数いて,いずれも考古学専攻生でした.

この種の質問は,よくあります.
とくに,このような学会で多いですね.
学生も興味があるから,参加するのでしょうし,
「水中考古学」という学問へのアクセス方法がわからないために,質問をするのでしょう.
在学している大学に明瞭な専好がない,だから誰に質問をして良いのかわからいない,
という事情もあるのでしょう.

答えは,いつも同じです.
研究大会でも話したように,また,このブログでも再三書いているように,
「水中考古学」といっても,あくまでも「考古学」の一分野です.
対象とるモノ(遺物・遺構・遺跡)が,たまたま水中(水底)にあるだけのことです.


研究の方法論は,陸の「考古学」と何ら変わることはありません.

ですので,大学で
「考古学をきちんと勉強しなさい」
「考古学でモノを見る目をしっかりと養ってください」

と答えます.
「考古学」の基本を学んで欲しい,ということです.

留学という選択肢もありますが,私は少なくとも学部レベルでは無理をして留学する必要は感じません.
国内の大学で十分に学べるのですから.

また,学生の多くは,「水中」にあるものを特別視する傾向
「水中考古学」を「考古学」と異なる特別な学問とみる傾向があります.
(これは,一般の方および研究者の一部にも見られる傾向でもありますが)
この点にについても,
「対象物は,陸上に残されたモノでも水中(水底)残されたモノでも,違いはありません.ヒトがつくったモノ・ヒトが残した痕跡であることに変りはないのですから」
と答えます.

また,調査(発掘調査もふくめる)についても
「基本的には,陸上と同じ方法でおこなうので,まずは陸上で経験を積んでください.水中でもそれを応用するだけですから」
「水中調査では,遺跡へのアクセスには潜水が必要になりますが,そのスキルは通常の潜水技術を習得するだけですから,考古学とは別の問題です」
と答えます.

この点に関しては,Randall J.佐々木さんが,よく言っています.
「ダイバーを考古学者にすることは難しいが,考古学者をダイバーにすることはそれほど難しいことではない」と.
まさにそのとおりで,この言葉に「水中考古学」(水中考古学研究)にたいする姿勢が述べられていると思います.

ですので,「水中考古学」(水中文化遺産研究)に興味をもっている学生諸君には,
声を大にして言います.
「水中考古学は,考古学の一分野でなので,学部では考古学をしっかりと学んでください」と.

そして,そのなかから水中文化遺産に興味を持てば,それを研究すれば良いし,
それにたいして,水中での調査(作業)が必要であればは,その技術はその後にマスターしてゆけば,良いのですから.
けっして「水中文化遺産」を特別視するようなことだけは,しないように,
あくまでも「ヒトがつくったモノ・ヒトが残した痕跡」なのですから.