石原 渉著 『碇の文化史』 佛教大学研究叢書25 [2015年05月31日(Sun)]
アジア水中考古学研究所の事務局長を務められている石原渉さんが,
『碇の文化史』を上梓されました. 佛教大学研究叢書25 『碇の文化史』 思文閣出版 2015年2月25日刊行 http://www.shibunkaku.co.jp/shuppan/shosai.php?code=9784784217915 石原さんが長年,ご研究されてきた「碇」について, 日本を中心にその変遷を追った学位論文をもとにまとめられたものです. 実物資料(遺物)が限られてることもあり,先行研究がほとんどない繋船具としての「いかり(イカリ,碇,錨)」について, 縄文時代から近世での素材や形態上の変化・発展の系譜を実物資料のほか文献・絵画資料をもちいて丁寧に考察されています. 繋船具という船体付属する「いかり」という遺物から見えてくる船体や航海技術側面のみならず,船を用いた交通・交易という文化史的側面にまでその視点を広げられており, 遺物としての「いかり」を理解することで,多方面の問題解決・提起ができることもしめされています. 大変意義深い研究と感じました. 内容は専門的ですが,多くの方に読んでほしいと思いましたし, とくに水中文化遺産研究を目指す学生や若い研究者には, 研究資料,研究姿勢・方法とその可能性を知ってもらうために,ぜひ読んで欲しいとも思っています. なお,5月6日付・日本経済新聞・朝刊・文化面にご自身による紹介記事も掲載されています. 研究の動機や方法についても語られています.こちらもお読みください. ![]() |