今年の鷹島海底遺跡・床浪地区の調査が26 日に終了しました.
調査をコーディネートされた長崎県教育委員会,松浦市教育委員会の担当職員の方々をはじめ,
調査に参加された皆さん,お疲れさまでした.
協力いただいた方々,ありがとうございました.
今回の調査は,雨天続きで,海況も良くない状況でしたが,
当初の予定どおりに,しかも事故なく調査が終了できたことに,
潜水調査に主体的にかかわったもののひとりとして安堵しています.
突然のスコール(車内から撮影)調査成果の詳細については,調査主体者である長崎県教育委員会から後日正式発表がありますが,
遺跡を評価できる多くの成果を得ることができ,今後に繋がる調査でした.
調査スナップ(岸壁にて)今回の調査には,先日このブログでも紹介したように,
複数の担当行政の職員が調査員として参加しました.
さらに,学
生(学部生・大学院生)の参加も多くありました.
彼らも調査員のひとりとして,調査実務に奮闘してくれました.
考古学的調査における海中(水中)と陸上の作業は基本的に変わりはありません.ただし,
海中は環境が陸上と異なります.
遺跡にアクセスするために,海底(水底)まで潜らなくてはなりません.深ければ,スクーバ潜水の技術が必要となります.
スクーバ潜水の技術向上には,ファンダイビングなどで経験を積めばいいのですが,
調査となると,プラスして考古学的調査,それも海中での作業のスキルが必要となります.
これを向上させるためには,
より多くの調査に参加するしかありません.
調査スナップ(ウエットスーツ)遺跡には,同じものはありません(このことに陸上・水中の区別はありません).
遺構・遺物の種類,そして環境等,それぞれです.
それぞれに,臨機応変に対応できなければ,調査はできません.遺跡の大半は,土に埋もれています(これも陸上・水中の区別はありません).
表土(撹乱層)を排除してはじめて,遺跡のようすがわかるのです.
ばあいによっては,予想と異なるモノに遭遇することもあります.
その
予想外のモノにたいして適切に対処・判断ができないと,調査は進みませんし,
結果的に正しい記録をとれずに遺跡を壊してしまうことになりかねません.
正しい対処・判断をするためには,経験するしかないのです.
考古学的調査については,国内各地でおこなわれている陸上での調査で経験することは可能です.
それにたいして,
国内での水中での調査おこなっている海域(水域)は,非常に限られていますので,水中調査を経験することは難しいのが現状です.
若い,これから経験を積まなくてはならない世代の研究者が経験を積みたくても,積めない.
調査を経験し,技術を磨く場は限られいるのです.
悩ましいことです.
この点からも,
行政により継続的に調査がおこなわれている鷹島海底遺跡は,
「国史跡」であること以上に貴重で,重要な遺跡だと思います.
鷹島海底遺跡・神崎地区(国史跡)