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和賀江島と座礁 [2012年07月22日(Sun)]
7月14日(土)20:00に,
登録している第三管区海上保安部からの「海の安全情報メール」で.
和賀江島にプレジャーボートが座礁した,との連絡が入りました.

和賀江島は,先日もご紹介したように,
1968(昭和43)年に国史跡に指定された水中文化遺産です.

その和賀江島にボートが座礁したというのですから,事件です
少なくとも陸上の国史跡でしたら,話題にはなるでしょう.

ただし,この事故についてその後,世間一般はもとより,
埋蔵文化財関係者間にもまったく話題にはなっていません

なぜでしょう?

早速,保安部と県教育委員会に問い合わせたところ,
県教委からの回答はまできていませんが,
保安部からは,今回のような事故については,
国史跡としての担当行政である鎌倉市・逗子市教育委員会および神奈川県教育委員会に,
連絡を入れるようなルールはない
とのこと.

また,海での事故については,港湾内ではその所管である市町村あるいは都道府県の所轄官庁に連絡は入れるが,
今回のような港湾外のいわゆる公海においては,
特定の官庁に,とくに連絡は入れない
とのことでした.

これは,公海の所有者が国であるとのこととも関係があるのでしょう.

船の処置については,持ち主にまかせるとのことでした.

今回のような事例については,
史跡であっても,港湾外であれば担当教育委員会には,連絡は入らない
言い換えれば,教育委員会はその事実も知らされない,ということのようです.

それでは,陸上のばあいはどうでしょう.
県内のある市教委に聞いたところ,
同じように史跡内で事故があったばあい,
事故処理の担当は警察になるが,警察との直接の連携(連絡体制)はとくにはない,とのこと.
ただし,警察からその土地の持ち主(公有のばあいは担当部署,個人所有のばあいはその個人)に連絡は入り,
持ち主から,市教委へ連絡が入るということです.

ですので,事故の事実を担当教委が知らない,ということはないはず,とのことです.
担当教委は,事故の事実を知り,それにたいする処理はできるのです.

しかし,公海上(中)の水中文化遺産は,それができない.

ここでも,陸上のものと水中あるいは水上にある文化財(水中文化遺産)で,
その取り扱いに違いがある
ようです.

これでは,水中文化遺産を守ることはできません.
本来は,陸上のものと同様に扱われるべきものであるにもかかわらず.

やはり,水中文化遺産への正しい理解の欠如と無関心が根底にはあるのでしょう.
いすれも,意識的なにそのような状況がかたちづくられたのではなく,
むしろ無意識にそのような状況になっているのでしょうから,
そのことのほうが根深いと,思います.

IMG_1774.jpg
     事故翌日の和賀江島(中央の島状部分)

IMG_1772.jpg
   座礁したボートが見えます(島の左側にみえる黄色ボート)

IMG_1771.jpg
         和賀江島と座礁したボート

※写真はすべて,長谷川典子さん撮影
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コメント
斉藤さん コメントありがとうございます.
海にある遺跡の保護・保全は難しいです.
とくに,和賀江島のように絶えず波浪の影響や海上交通の影響を受ける遺跡のばあいは,その方法がないというのが現状です.
もう少し,水中文化遺産についての一般の理解が高まれば,その影響を減らすことはできることと思います.
Posted by: T.Hayashibara  at 2013年03月27日(Wed) 00:42

水中遺跡の維持・管理の体制維持だけでも大変なことですね!
たまたま事故翌々日、現場を見学した私は、江戸時代の遺構にある種の
感動を感じました。当時の土木建築技術を具現化した遺構として、あるいは当時の海上交通のあり方・考え方を示したものとして素人ながら大切にしたいものだと思いました。
同時に、私の胸には2つの懸念が沸き起こりました。その一つは、押し寄せる波を見て、この貴重な遺構もやがては自然の力に押し流されて消滅してしまうのではという懸念。 もう一つは、この海域に慣れないボートやボーダーの座礁事故の再発の懸念。この2つの懸念は杞憂であれば良いのですが・・・。
Posted by: 斎藤 敏行  at 2012年07月29日(Sun) 21:00