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東京駅・丸の内駅舎の復原 [2012年07月04日(Wed)]
今,東京駅・丸の内駅舎は創建時の姿への復原工事が最終段階に入っているとのことです.
10月に完成予定とのことです.

この丸の内駅舎は,1914(大正3)年に創建されたが,
戦災により被害を受け,戦後の復興により,現在のかたちになったものです.
(創建時との大きな違いは,当初の3階建が2階建になったことです)
Tokyo_station01_1920-2.jpg
        復原前の丸の内駅舎(Wikipediaより)

2003(平成15)年には,
「煉瓦造で最大規模,首都東京を象徴する建築」
として、
「意匠的に優秀なもの,歴史的価値の高いもの」
という指定基準から、
国の重要文化財(建造物)に指定されました。

この復原なのですが,賛否両論があるそうです.

重要文化財に指定された理由には,
「わが国の明治・大正期を代表する建造物のひとつである。
とありますが,指定されたものは,戦後に復興された建物です.

重要文化財に指定された建造物を「復原」とはいえ,
「かたち」を変えてしまう.
「現状変更」してしまう.
指定理由からなのでしょうか?

違和感があります.

現地・現状保存が原則の「埋蔵文化財」では考えられません.

この原則を破って,重要文化財に指定された建造物の例として,
旧横浜船渠・第二船渠(1896年竣工)があります.
位置を少しずらし,しかも少し長さを短くして,整備されています.
さらに,現状はドックヤードガーデンとして,多目的に使用されています.
保存・活用型の重要文化財として,
大都市での重要文化財の在り方もふくめ,従来の文化財概念を変えたともいわれたものでもあります.

ただし,旧横浜船渠・第二船渠のばあいは,実際に使われた部材で移築復原をしていますが,
今回の丸の内駅舎のばあいは,
現状にない部分の部材は,あらたに作り,使用しているそうです.
たとえば,煉瓦については,色や風合いを過去のものと同じように復原をしているようです.
それを復原した業者は,
現在の技術で,過去の劣った技術のものを復原するのはむずかしい
とも言っているようです.

この復原は現在残っているものをもとに復原をしているのでしょうから,
将来の経年変化も同じように復原ができているのでしょうか?
素朴な疑問です.
他の部分についても,同じような疑問はあります.

建造物とはいえ,創建時のものを現代の技術で復原することがその遺構(建造物)にとって,
最良なことなのでしょうか?
しかも,指定建造物の現状を変えてしまう.
無いものを作ってしまう.
それが,重要文化財.......?

何か,現代技術の自己満足,のようにも感じられます.

へそ曲がりのたわ言かもしれませんが,
今回のNewsを聞いて,何か違和感を覚えましたので.

皆さんは,いかが思いますでしょうか?
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コメント
安田さん コメントありがとうございます.
おしゃるように,元に戻すことはひとつの方法としてあるものと思います.ただし,モノは絶えず変わるのですから,どの時点に戻すのかかを議論することは必要でしょう.東京駅のばあいは,元に戻すことありきで,その点の十分な議論がなされたとは思えないのです.
Posted by: T.Hayashibara  at 2013年03月27日(Wed) 00:46

文化財の復元は、できるだけ元の通りにするのがよいのは当たり前だと思います。しかしそれを極端に純化すると、奈良の大仏、法隆寺金堂、金閣寺などほとんどのものは文化財ではなくなりますね。
大切なのは、その文化財を作った当時の人々の心を伝えることではないでしょうか?それを第一に考えて復元作業を進めてもらいたいものだと思います。
Posted by: 安田冨郎  at 2012年07月08日(Sun) 08:34