『神秘の海底と湖底』 [2008年12月21日(Sun)]
本の紹介です。
『神秘の海底と湖底』 1959(昭和34)年・京都新聞社刊行(A4版)です。 この本は、1959(昭和34)年に、滋賀県の琵琶湖でおこなわれた京都新聞社・創刊80周年記念事業「びわ湖湖底総合科学調査」を記念して刊行された調査報告と当時気運が高まっていた海底資源調査を紹介したものです。 水中カメラでとらえた写真をふくむ、たくさんの写真が掲載され、当時の水中調査や海底・水中のようすがよくわかります。 当時は珍しかったであろうカラー写真も多く掲載されており、本書にも記されていますが、「海底図鑑」といった趣もあります。 潜水探測機による調査のようすや,水中カメラ・水中テレビ・水中スクーターなどの当時の水中調査機器の紹介も写真とともにあります。 巻末には、国産初の潜水探測機「くろしお」のテスト潜水とその後の調査のようすの記事もあり、当時の水中調査の意義やようすがわかりやすく記されています。 ふるい本なので、手に入れるのは難しいかもしれませんが,都道府県立レベルの図書館には、あるようなので水中調査やその歴史に興味があるかたには、一読をお勧めします。 なお、「びわ湖湖底総合科学調査」は、琵琶湖の成因や様相を明らかにすることを目的に、海洋学・歴史学・地理学などの専門家により、湖底数ヶ所にたいして音響調査、ボーリング調査、写真撮影、水温・透明度測定などがおこなわれ、調査には当時の最新鋭の水中探査機器やプロダイバーによるスクーバ潜水が採用されました。 調査では、琵琶湖の湖底遺跡としてふるくから知られていた「葛籠尾崎湖底遺跡(つづらおざきこていいせき)」も対象とされました。 遺跡の成因・性格を特定することはできませんでしたが、遺跡についての多くの情報を得ることとなりました。発掘調査はおこなわれませんでしたが、このような水中文化遺産にたいする大掛かりな調査は、日本はもとより,アジアでも初めてのことでした。 |